
先日開催されたイベント「プロダクトエンジニア2025 〜キャリアとしごとの“今”〜」では、生成AIの進化で開発者の仕事が変わりつつある今、プロダクトエンジニアという職種が各社でどのような役割を担っているのかがテーマとして取り上げられました。
この記事では、株式会社リンクアンドモチベーション(以下、LM)の小宮 慎ノ介さんのセッション「プロダクトエンジニアは目指すものじゃない―価値創出にコミットし続けた結果、役割がついてきた話」を紹介します。
小宮さんの話の軸にあるのは、「プロダクトエンジニアという肩書きは、目標として掲げるものではなく、価値を生み出すために全力を尽くす中で、後から自然とついてくるもの」という考え方です。
キャリアの形が明確に定義されていないプロダクトエンジニアという職種を志す方にとって、今すぐ実践できる指針になる内容でした。
株式会社リンクアンドモチベーション 小宮 慎ノ介さん
2019年に株式会社リンクアンドモチベーションへ新卒入社。約5年間、主力サービスである「モチベーションクラウド」の開発に一貫して従事。現在は、生成AIをフル活用した新規プロダクト開発を担う。
セッションの冒頭で小宮さんは、AIの進化によって「誰にでもできること」が増えている今、
「自分の価値とは何か」
「人間にしかできないことは何か」
と不安を抱くエンジニアが増えている現状に触れました。
その上で、自身がどのようにプロダクトエンジニアという役割を担うようになったのかを、LMが掲げる「モチベーションの公式」に重ねて語りました。

公式を構成する3つの要素のうち、小宮さん自身は特に“危機感(やらなきゃ)”に突き動かされるタイプだといいます。
「今やらなければチームとしてまずい」と感じたときには、スキルが足りなくても、専門外でもとにかく飛び込む。そうした行動を積み重ねてきました。
この“危機感ドリブン”な姿勢は、LMの開発方針とも深く噛み合っています。
LMでは、さまざまな組織課題を解決するために、AIを活用した新たな開発に挑戦しています。
この挑戦では、3人前後のチームでドメイン理解から要件定義、UXデザイン、実装、QA、リリースまでを一気通貫で進めています。
そのため、誰もが専門領域を越えて動く“越境力”が求められるのです。
小宮さんは役割を意識するよりも、とにかく「目の前の課題に向き合うこと」に集中し続けた結果、気づけば周囲から「それがまさにプロダクトエンジニアだよね」と言われるようになっていたといいます。
小宮さんにとって「プロダクトエンジニア」は、目標として掲げてきたゴールではなく、価値を生み出すことにひたむきに取り組んだ結果、自然とたどり着いた役割でした。
つまり「キャリアは肩書きで定義されるものではなく、行動とオーナーシップの積み重ねが形づくるもの」だということを示しています。
プロダクトエンジニアの役割は、「テクノロジー」「UXデザイン」「ドメイン」の3つの領域すべてに深く関わり、その境界を越え続けることにあります。小宮さんは、この3つの領域をどのように横断しているのか、具体的な取り組みを紹介しました。
以前は、仕様の議論から要件定義、デザイン、プロトタイプを経てチームメンバーが実際に触れる環境ができるまでに1週間以上かかることもありました。

しかし今では、生成AIを最大限に活用することで、議論の文字起こしデータをAIに渡し、「議論したわずか数時間後には触れるプロトタイプが完成している」状態を実現しました。

例えば、ミーティングが終わって3時間後には「こんなイメージですか?」と動くものを見せながら、「やっぱりこの辺に違和感があるよね」といった本質的な議論をその場ですぐに行えるようになります。
この高速化によって、フィードバックサイクルが劇的に短縮され、プロダクトの質も飛躍的に向上しました。AIが越境をサポートすることで生まれた、プロダクトエンジニアならではの価値創出の好例といえます。
エンジニアの仕事はコードを書くことだけではありません。
小宮さんは、パイロットテストを行った顧客のもとへ自ら出向き、ユーザーインタビューを実施しています。
特に新規プロダクト開発では機能をミニマムで作っているため、「実際の体験はどうだったか」というリアルの声を聞くことが不可欠です。
実際に使っている人の生の声を聞くことで、「次はどういう機能を作ればいいか」という要件定義の精度が上がるだけでなく、顧客が何を感じているのか、どんな課題に向き合っているのかを深く理解することができます。このインタビューがドメインへの理解を更に深めていくのです。

新しい機能の要件や優先順位を決める際には、競合プロダクトの調査も欠かせません。
単なるベンチワークにとどまらず、サービスサイトの分析や情報収集、さらには実際に契約して使ってみるところまで徹底的に行います。

こうして得た知見から差別化ポイントを明確化し、プロダクトマネージャーと一緒に「どうすればもっと価値を生み出せるか」を議論していくのです。
「言うは易く、行うは難し」と小宮さんは認めながらも、今はAIが伴走してくれることで、越境のハードルは大きく下がっていると話します。
「できるかどうかより、一歩踏み出せるかどうかが大事。」
──小宮さん
AIが、未経験領域でのプロトタイプ作成や情報収集を支えてくれる今こそ、エンジニアに必要なのは「越境する勇気」。つまり、目の前の価値にコミットし、一歩を踏み出す行動力なのです。
セッション後には、参加者から多くの質問が寄せられました。その一部をご紹介します。
──議事録をAIに渡してプロト実装をするときは、議事録は文字起こしをそのまま入れるのですか?
小宮さん:私たちのチームでは、ミーティングの文字起こしデータを取得し、それを一度Claudeに挟んで成形してからAIに投入しています。
──なるほど。議事録を突っ込むという発想がなかったのですが、どうやって考えたのですか?
小宮さん:LMはコンサルティング事業の背景もあり、議事録を資産として活用する文化が根付いていたため、高速化がスムーズに実現しました。このプロセスにより、議論を単なる「議事録」として終わらせず「実行可能なプロトタイプ」や「イシュー」に即座に転換し、高速でフィードバックループを回せる点が、生産性向上のカギだと考えています。
──プロダクトエンジニアの役割を説明する3つの領域(テクノロジー・UXデザイン・ドメイン)の円図は、どこから着想を得たのですか?
小宮さん:あの3つの円の図は、元々外部のプロダクトエンジニアに関する記事で拝見したものです。それを自分のやっていることに当てはめてみたところ、非常にわかりやすく腹落ちしました。結果的に、私自身の価値創出へのコミットメントと、業界でいわれるプロダクトエンジニアの定義が自然と一致していた、ということになります。
プロダクトエンジニアという未踏の領域に挑む小宮さんの歩みは、キャリアとは組織の梯子を登ることではなく、「危機感」と「オーナーシップ」で自ら切り拓くものだと教えてくれました。
小宮さんが活躍するLMは、「少人数チーム」「多プロダクト戦略」「生成AIの活用」という三拍子が揃った環境です。越境せずにはいられない文化が、エンジニアの成長とインパクトを最大化させています。
もしあなたが、
と考えているなら、LMは理想的なフィールドかもしれません。
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