「データ×AI」の視点で顧客課題に寄り添うプロ集団。MBKデジタル CTOが語る受託×プロダクトの二刀流開発

2025-12-03 11:00

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転職ドラフトスカウトで積極採用中のデータ系ベンチャーのMBKデジタル。LTV向上や業務効率化など多くの企業が取り組むテーマに対して、「データ」と「AI」を切り口にソリューションを提供しています。加えて、顧客案件で培った知見を自社プロダクトにも還元し、展開しています。

案件対応とプロダクト開発の両軸で活躍するデータエンジニアに求められるスキルや仕事の醍醐味、ベンチャーらしいスピード感と親会社である総合商社の安定感がミックスしたカルチャーなどについて、CTO岩尾さんに伺いました。

株式会社MBKデジタル
執行役員 CTO 岩尾 一優
富士ゼロックスでコンビニ向けネットプリントの開発に携わった後、DeNAではデータエンジニアとして全社横断のデータ基盤構築・運用を担い、エンジニア組織の統括にも従事。2021年からは Hogetic Labの取締役 CTO として、自社プロダクトの立ち上げやデータ基盤/生成AI関連案件を推進。2025年、三井物産グループ参画と経営統合を経て、MBKデジタル 執行役員 CTO に就任し、事業スケール拡大と技術革新をリードしている。

データ・AIの活用の悩みを技術力で解決し、自走まで導くプロ集団

ーーまずは事業内容からご紹介ください。

岩尾:「データとAIの力で志をカタチに」というミッションのもと、エンタメ、EC、インフラなど幅広いお客様から寄せられるお困りごとの解決に取り組んでいます。具体的には、ニーズに応じたデータ基盤を構築し、BIツールなどで可視化して、適切な意思決定へとつなげる仕組みを整えます。対象となるデータには、売上推移、商談管理、顧客属性などの社内データのほか、Xの投稿内容のような社外データも含まれます。

加えて、最近は「AIを活用して業務効率化したい」というご相談も増えてきました。AI活用も当社の強みの一つ。データ分析の際にも、社内のアナリストやお客様担当者が自然言語を使って手早く必要な情報を引き出せるよう工夫しています。

お客様に対しては、ソリューション提案から実装、効果検証まで伴走し、当社メンバーが抜けた後も先方社内で自走できるようサポートします。エンジニアにとっては、自分たちがつくったデータ基盤やダッシュボードなどが何に使われ、どんな意思決定に貢献しているのか、近い距離で確認しながら携われる環境です。

お客様からの依頼案件に対応するだけでなく、自社プロダクトも展開しています。さまざまなお困りごとに取り組むなかで見えてきた共通部分をプロダクト化することで、お客様により低コスト、かつ短いリードタイムでソリューションをお届けしたいと考えています。

ーーどんな自社プロダクトを開発されているのでしょうか。

岩尾:これまでに3つのプロダクトをローンチしました。最初に手がけたのがデータエンジニアが培ってきたノウハウを投入した「Collectro(コレクトロ)」。必要なデータを誰でも簡単に収集・管理できるサービスです。ユーザー企業ごとに完全に独立したデータベースにできる点も、セキュリティに厳しい企業から支持をいただいています。

次に開発した「BI Suite」は、「BIツールは無料のものでは機能が足りないけれど、1ライセンス月1万円を超えるようではコストが見合わず、ちょうどよいサービスがなかなかない」というお客様の声を受けてつくったものです。データを単に可視化するだけでなく、分析結果を受けた次のアクションもAIが提案してくれる機能が喜ばれています。

ーーコスト面でも既存の有料サービスよりリーズナブルなのでしょうか。

岩尾:10分の1程度とかなりリーズナブルです。当社は今、コーディングにAIをフル活用しているおかげで、従来よりかなり低い開発コストで済むようになっています。BIツールは本来、たくさんの方にライセンスを使っていただいてこそ価値を高めていけると考え、業界スタンダードにとらわれない価格設定にしました。

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最近ローンチしたばかりの「AI Craft」は、AIアプリをブラウザで簡単につくれるサービスで、慣れれば1アプリ数分で完成できます。アプリを使う側のUIも極力シンプルにしており、フォーム入力するだけで成果物が得られます。AIツールはプロンプトを適切に書ける人には便利でも、コツがつかめないと「あまり使えないな」という感想で終わってしまいがちな現状を変えるべく、アプリを「誰でもつくれて、誰でも使える」世界観を目指しました。

「AI Craft」はもともと社内で活用していたプロダクトです。今後、「議事録作成」などよく使われそうなアプリはプリセット化するなど、社外のユーザーの方々にもより親しみやすい形に進化させたいと考えています。

――今年4月、LegolissとHogetic Labの2社が合併し、新たにMBKデジタルとしてスタートされました。岩尾さんはHogetic Labのご出身ですね。三井物産グループにジョインし、Legolissと合併という変化をどのようにとらえていますか。

岩尾:2社の合併は、データ基盤づくりの経験豊富なLegolissとプロダクトづくりを得意とするHogetic Labの強みを掛け合わせ、お客様への提案力を高めることを目指したもので、この10月からは開発組織も完全に一体化しました。親会社である三井物産との関係性もスムーズで、お互いリスペクトを持ってコミュニケーションできています。

三井物産グループにジョインしたことで、グループ内外のネットワークを活用できるようになったこともとても大きいです。お客様の業種もエリアも広がっており、先日はインドネシアに出張したメンバーがいたり。インパクトの大きな仕事ができる環境を、今後最大限活かしていきたいと考えています。

導入先のリアルな課題に触れているから、プロダクト開発に還元できる

ーーエンジニアは現在20名規模で、引き続き採用強化中と伺っています。御社で活躍できる人材像とは?

岩尾:データ基盤構築とAI活用、どちらの要素が大きい案件に関わるかによって、少し異なります。

データ基盤構築に関しては、システム開発系の知識・経験をベースとして、データ周りの知見も身に付けていくことが必要です。システム開発経験者で、データ領域に染み出していきたいという方にはぴったりなポジションです。

案件の規模によって、エンジニア1人で担当する場合もあれば、5、6人のチーム体制を組む場合もあります。とくに1人で案件を回せるような、リードレベルのエンジニア人材の増員に注力しています。

一人立ちできるエンジニアに求められるスキルというと、単にSQLなどを書く技術に留まらず、お客様に最適な基盤設計を考えることも含まれます。パフォーマンスとコストのバランスを見極め、技術選択においても、たとえばBigQueryとSnowflakeとDatabricksの中で最もマッチするものを検討する。お客様との商談フェーズから入ることもあります。

一方、生成AI絡みの案件では、システム開発力も問われるものの、より企画味の強い役割になります。たとえば、「原稿チェックをAIで効率化したい」というリクエストに対して、「この部分をAI化しましょう」で終わるのではなく、「チェックのクオリティを担保できるよう、この部分をAI化したうえで、こんなふうに人の作業と連携させましょう」と、UI/UXまで含めた提案ができるか。お客様のニーズを起点に、周辺の情報も積極的に取りに行ったうえで、実効性の高いソリューションに仕立て上げることが求められます。

ーープロダクト開発は、顧客対応とは別のメンバーが担っているのでしょうか。

岩尾:今後、会社のフェーズに合わせて見直しが必要な部分ですが、今は大半のメンバーが両方に関わっています。お客様がどんなことを求めているのか、どんなデータ基盤にするためにはどんな機能をプロダクトに盛り込むとよいのか、お客様の現場に深く入り込んでいるからこそ精度高く見極められる部分があります。一番プロダクトの比重が大きい人は、リソースの7、8割をプロダクトに充てつつ、案件も1件担当しているといった状況です。

当社としては基本、お客様から人月をいつまでもいただき続けるよりも、自走していただける道筋をつくるよう意識しています。その分、課題解決に貢献できるお客様の数を増やすことができ、得られた経験値をプロダクトに還元するスピードも早められるからです。

それでも、なかには「今度はこんな課題に取り組みたいので、また力を貸してほしい」と、リピートしてくださるお客様もいらっしゃいます。ご担当者様が転職された後、次の職場でも私たちに依頼してくださったケースもあります。お客様にしっかり寄り添えていた、方向性は間違っていなかったと実感できるのは、やはりうれしいですね。

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インパクトの大きな仕事を通じ、提案力も技術スタックも高められる

ーーエンジニアにとって、MBKデジタルだから得られる経験値というと何でしょう。

岩尾:当社は今まさに急成長のフェーズにあり、社員数も年に数十人単位で拡大中です。個人としてもチームとしても、未経験のチャレンジに直面し続けており、仕事を通じてワクワクしたい人には面白い環境です。

案件とプロダクトの二刀流であることを活かし、お客様への提案内容に幅を持たせられる点も醍醐味です。直接お客様の声を聞き、最適なソリューションを考え、実装まで自分たちで、それも最新のAIを活用しながら進められる。今後どこへ行っても活躍する人材になれると思います。

ーー三井物産グループのネットワークを介して、関わる案件の幅は今後さらに広がりそうですね。

岩尾:対面する業界の多様さに加えて、扱うデータの量や種類、プロジェクトの規模感といった面でもエンジニアとしての力が付くと思います。誰もが知っている会社のデータ基盤づくりに関われるという意味では、キャリアに箔が付く部分もあるでしょう。

技術的にも、メインで扱うのはGoogle Cloudですが、お客様によっては「うちはAWS使ってます」「Snowflakeの基盤はすでにあります」などそれぞれの状況があり、都度キャッチアップすることが求められます。

どんどん新しいチャレンジをしたい人、いろいろなドメインに関わりたい人、技術スタックの幅を広げたい人にとって、チャンスの多い環境ということは間違いなく言えると思います。

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外部発信も活発。トップエンジニアたちとの交流がよい刺激に

ーー岩尾さんはGoogle Developer Expertに認定され、Google Cloud Partner Top Engineerも受賞されているそうですね。

岩尾:Google Developer Expertは、世界で1000人ほどが認定されているコミュニティで、Google Cloud関連の技術力のほか、発信力や影響力も評価されます。日本にも50人ほどいて、頻繁に情報交換していますし、カンファレンスなどの機会には、私も社内のメンバーを連れていき、一緒にディスカッションしたり、ときには食事をご一緒したり。ハイレベルなエンジニアたちから直接刺激を受けることで、自分の将来像が見えてくることもあるかなと思っています。

Partner Top Engineerの方は、日本国内のGoogle Cloudパートナー企業の中から、年間100数十名表彰される制度で、当社では今年、私ともう2名を選んでいただきました。こちらも外部発信に貢献していることが評価基準で、認定メンバーは「Google Cloud Next」のような海外のカンファレンスに招待してもらえます。

「Google Cloud Next」は毎年ラスベガスで開催され、約1万人が集まるイベントです。私も去年、社内メンバーと一緒に参加しましたが、すごい熱気でしたね。「この技術、日本ではまだ流行っていないけど、各セッションで取り上げられてるな」などと、少し先のトレンドもキャッチできます。

こうしたコミュニティ活動や外部発信は、個人のキャリアにとってプラスになるのはもちろん、会社としてのプレゼンスの向上にもつながるため、積極的に後押ししています。

ーー読者のなかには、「こんなにレベルの高い人が集まる会社でやっていけるかな」と不安を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが……。

岩尾:大丈夫です! ジュニアのメンバーもいますよ。人材育成にも力を入れていて、一人ひとりのキャリアに関する希望や大切にしたい軸などをふまえて、アサインしています。「この領域はあまり経験がない」「ちょっと苦手意識がある」といった場合でも、すでに持っている強みをコアにすえつつ、周辺にも無理なく染み出していけるよう、サポートしたいと考えています。

育成経験豊富なメンバーもたくさんいますし、全体にフレンドリーな社風です。「周りに相談したいけれど、声をかけていいのか……」と不安になるような場面もあまりないかと思います。

面接に来られた方がよく「ウェルカム感が印象的だった」と言ってくださるんです。オフィス内のご案内などしていると、みんないったん仕事の手を止めて集まってきて、1時間くらいラウンジで雑談したり。そんなオープンさ、明るさも、MBKデジタルらしさかなと思っています。

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「8%の壁」をともに打ち破る仲間を増やしたい

ーーLegoliss出身メンバーとHogetic Lab出身メンバーで、カラーの違いはありますか。

岩尾:あえて言うなら、Legoliss側は真面目な頑張り屋さんが多く、Hogetic Labの方は少しやんちゃ寄りかな(笑)。この半年ほどで、いい関係性ができてきました。

毎月の全社会後には、部門の違うメンバーが同じ組になるシャッフルランチも設定しています。実務では接点の薄い人とも仲よくなり、プライベートで遊んだりしている人たちもいますね。

ーーLegolissとHogetic Labは、どちらも三井物産グループに入るまではベンチャーとして歩んできた会社ですね。

岩尾:ちょうど今、ベンチャーのスピード感は残しつつ、大企業のきちんと感も備わってきたフェーズです。意思決定は速いですし、裁量もどんどん任せていく一方、たとえば情報セキュリティなどの面では三井物産のレギュレーションに沿っています。「ベンチャーに興味はあるけれど、ちょっと怖い」と感じている方には、まさにフィットする環境だと思います。

ーー最後に、この記事を読んでいるエンジニアの皆さんにメッセージをお願いします。

岩尾:DXが叫ばれる今でも、実際にデータ活用の成果を実感できている日本企業は8%程度という調査があります。とくに私がもったいないと感じているのは、データ活用やAIの導入が進んでも、リーダーの異動などで活動が下火になり、元の状態に戻ってしまいがちな点です。

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組織として継続的に取り組んでいくためには、特定の人に依存しない仕組みをいかに整えるかが問われます。リーダー人材が持つスキルをAIにしっかり教え込んでおけば、誰もが同じ成果を出せるようになり、さらに一歩進んだ取り組みが生まれる土壌もできる。そんな現場を日本中に増やしていくことが、当面の当社の役割です。ここに共感いただける皆さんには、ぜひ仲間になっていただきたいと思います。

プロダクトの新規開発も積極的に進めています。AIの進化が目覚ましいおかげで、新規開発を始める際のハードルもぐっと下がっています。社内ではよく「こういうツールもあったらいいね」「こういうリクエストがあったから、試してみよう」といった会話が交わされています。有望なものはどんどん製品化していきたいですね。

ちなみに、プロダクトは海外進出も視野に入れています。案件ではすでに、三井物産ネットワークを通じて海外の仕事が出てきていますから、そうした現場で得られるリアルな課題感をふまえ、プロダクトにも反映させていきたいなと。三井物産の力もうまく活用しながら、MBKデジタルの技術力を世界に届けていく。そんな私たちのチャレンジに興味をお持ちくださった方は、ぜひ一度話を聞きに来てください。

転職ドラフトの株式会社MBKデジタル紹介ページはこちら

(取材・文/中名生 明子)

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