
転職成功に関する事例記事は数多くありますが、入社後のリアルな活躍が語られることはそう多くありません。転職者は本当に、思い描いた未来を実現できたのでしょうか。本連載は、その答え合わせをするための企画です。
第5回に登場するのは、2025年9月に株式会社カンリーへ入社した福井さんです。SESやECスタートアップで経験を積んだ後、業務委託の期間を経て、再び「モダンな開発環境でチームで開発したい」と転職を決意。一方で、それまでの技術経験がどこまで通用するのか、確信が持てない部分もあったと言います。
そんな中、なぜカンリーへの転職を実現できたのか。入社後、実務をキャッチアップするために取り組んだこととは。福井さんを上長として支えるカンリーの佐々木さん、転職をサポートした転職ドラフト キャリアアドバイザーの須賀とともに振り返ります。
プロフィール
福井 翼(写真中央)
株式会社カンリー
エンジニア本部 Dev2チーム(※1)
株式会社カンリー 店舗検索ページチーム フルスタックエンジニア。SES企業、ECスタートアップで開発業務に従事した後、2025年9月にカンリーへ入社。店舗検索プロダクトの機能開発や保守運用、共通基盤化などを担当。現在はカンリー全体のAI活用を推進するギルドチームにも参加し、開発プロセスの改善に取り組んでいる。
佐々木 健(写真右)
株式会社カンリー
エンジニア本部 Dev2チーム(※1) EM
株式会社カンリー 店舗検索ページチーム エンジニアリングマネージャー。SES企業やフリーランスとして開発経験を積んだ後、2021年にカンリーへ入社。店舗検索CMS化プロジェクトの立ち上げ・推進などを経て、現在は100社以上の店舗検索ページを担当する店舗検索ページチームを統括。AI活用による開発効率化を推進するほか、メンバーのキャリア形成や組織づくりにも注力している。
須賀健一郎(写真左)
株式会社リブセンス
転職ドラフト事業部 Tech Agentグループ キャリアアドバイザー
通関業務を経て、2005年から人材業界へ。2008年から5年間、IT/WEB系を中心とした人材紹介会社にてリクルーティングアドバイザーを経験。2013年にソフトバンクのグループ企業に移り、人材紹介事業の立ち上げをリード。同社で11年半にわたり、リクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを務める。2024年11月から現職。
https://job-draft.jp/articles/608
(※1)以下、店舗検索ページチーム
──福井さんの現在のお仕事について教えてください。
福井:カンリーの店舗検索ページチームで、フルスタックエンジニアとして、店舗検索ページの基幹となる機能開発や保守運用などを担当しています。システムのバージョンアップや共通基盤化のような、「目立たないけどインパクトの大きい仕事」にも関わってきました。また、社内でAI活用を進めるチームに参加していて、開発フローの改善にも取り組んでいます。

──かなり幅広い領域を担当されているんですね。ただ、エンジニアとして働き始めた当初は、なかなか思うような働き方ができなかったとうかがいました。
福井:情報系の専門学校を卒業してすぐ、SESで働き始めたんですが、ちょうどコロナ禍が重なってしまったんですよね。「顧客企業のもとで、がっつりプログラミングするぞ」と思っていたのに、そもそも訪問すらできない状態が続いてしまって。
その後、訪問できるようにはなったんですが、任されたのは講師として顧客企業の社員を教える仕事でした。「もっと自分で手を動かして開発したい」という思いが強くなって、転職を決意しました。
──そのときは、どのような企業を目指していたんですか。
福井:「自社開発を行っている企業」というのが一つの軸でした。SESやSIerも含めていろいろな企業を受けたんですが、言われたものをそのまま作るより、自分で考えながら改善し続けられる環境の方が性に合っているなと思ったんです。それで、あるECスタートアップに転職しました。
──そこではどのような仕事を?
福井:Webアプリケーションの機能開発や改修ですね。フロントエンドからバックエンド、インフラまで、かなり幅広く挑戦させてもらいました。業務の幅も技術スタックも一気に広がったので、キャッチアップは大変だったんですが、周囲のフォローが手厚くて、なんとか乗り越えられた感じです。エンジニアとしての土台を作れましたね。
あと、自社開発ならではの面白さも感じました。自分が開発した機能で購入数や売上がどれだけ上がったとか、業務工数をどれだけ削減できたとか、成果を数字ですぐ見られるのが嬉しかったです。
その後、「場所にとらわれずに働いてみたい」と思って一度正社員は辞め、業務委託として働き続けていました。
──そこから、なぜ再び転職を考えたんでしょうか。
福井:もう一度、首都圏に腰を落ち着けて働こうと思ったタイミングで、「ちゃんとチームで開発できる環境に行きたい」という気持ちが強くなったんです。
というのも、前職ではエンジニアメンバーが減って、一人のエンジニアが一つのプロジェクトや機能開発をすべて担うような状態だったんです。もちろん、一人で黙々と作業するのも嫌いではないんですが、やっぱり誰かと一緒の方が楽しいなと。成果を共有できますし、フィードバックをもらえることで学びも深まるので。
あと、「モダンな開発環境に身を置きたい」という思いもありました。ちょうどAIが開発現場に一気に浸透し始めていた時期だったので、AIを含めて新しい技術を積極的に取り入れている環境に移った方が、長く価値を出し続けられるんじゃないかなと思ったんです。
それで、「チーム開発」と「モダンな開発環境」を軸に転職活動を始めました。
──転職ドラフトを利用し始めた経緯を教えてください。
福井:知人のインタビュー記事が転職ドラフトに掲載されていたこともあって、もともと存在は知っていたんです。ちょうど自分が転職することになったので、登録してみました。
スカウト機能だけを使って、自分で転職活動を進める方法もあったんですが、業務委託を挟んでいて少しイレギュラーなキャリアでしたし、自分の技術スタックが市場でどう評価されるのか、正直あまりイメージが持てなかったんですよね。だったら、誰かに相談しながら進めた方がいいかなと思って、エージェントサービスも利用することにしました。
──担当アドバイザーとして須賀さんがつくことになりましたが、実際話してみてどんな印象を持ちましたか。
福井:忖度せず、率直に話してくれる人だなと思いましたね。
特に印象に残っているのが、自分の技術経験についての話です。前職では少し古めの言語やフレームワークを使っていたので、「これからモダンな開発環境に挑戦するなら、最初から選択肢を狭める必要はない。福井さんが大事にしている軸に少しでも重なっていれば、まずは受けて実際の話を聞いてみよう」と言ってもらえたんです。
自分でも、「技術スタックはそこまで新しくないよな」という感覚はあったので、そこをちゃんと言葉にしたうえで方針を示してもらえたのは、むしろ安心感がありました。
──須賀さんとしては、福井さんの希望やキャリアをどのように見ていたのでしょうか。

須賀:大企業よりは、勢いのあるスタートアップの方が相性は良さそうだなと思っていました。
開発組織が大きいと、どうしても分業が進んでいるケースも多いので、福井さんが目指していた「チームで連携しながら、幅広く開発に関わる働き方」とは少しズレる可能性もある。あと、AIを含めて新しい技術をスピード感を持って取り入れているスタートアップも多かったので、その中で若手を積極的に採用している会社を中心に紹介していきました。
──その後の選考は、どのように進んでいったんですか。
福井:10社ほど応募して、7割くらいはカジュアル面談まで進みました。
実際に話を聞いてみると、求人情報には「AI活用を推進している」と書いてあっても、まだそこまで浸透していない会社も結構あったので、そういう企業は途中で辞退しながら、徐々に候補を絞っていった感じです。
──その中の一社がカンリーだったんですね。
須賀:はい、最初の候補企業リストにも挙げていました。ただ、福井さんは応募するか迷っていましたよね。
福井:求人情報を見る限り、メインで使っている言語が前職と同じだったので、「これだと、あまり変わらないんじゃないか」と思ったんです。
でも、そのとき須賀さんが「受けてみたら」と背中を押してくれたんですよね。「求人情報が更新されていないだけで、実際には開発環境が変わっている可能性もあるから、面談で質問してみればいい」と。
須賀:福井さんが一番大事にしていた「プロダクトを全員で良くしていく熱量」がある企業だったので、求人票の言語指定だけで「ここは違う」と弾いてしまうのはもったいないと思ったんです。まずは直接会って、今後の技術的な展望を福井さん自身に確かめてきてほしかったんですよね。
福井:それで実際に面談で話を聞いてみたら、「むしろGoやNext.jsがメインになっている」とわかった。一気に志望度が上がりましたね。
──「最初から選択肢を狭めない」という方針が、結果的にハマったわけですね。一方、カンリーで面接を担当した佐々木さんから見て、福井さんはどのように映っていましたか。

佐々木:経歴を見た段階で、「ポテンシャルはかなりありそうだな」と感じていました。
店舗検索ページチームは、「カンリー店舗検索ページ」というプロダクトを担当しているチームなんですが、開発だけでなく、保守・運用まで含めてチームで見ているんです。なので、フロントエンド、バックエンド、インフラまで幅広く経験してきたところは、かなりマッチしているなと。
実際に話してみても、相手の話をしっかり聞いてくれる方ですし、受け答えもすごく丁寧で、一緒に開発を進めていくイメージが自然に持てましたね。
唯一気になったのは、やっぱり技術スタックの違いでしたが、そこも自分でちゃんとキャッチアップしてくれそうだなと思いました。前職でも、実務経験がほとんどない状態から、複数の言語やフレームワークに挑戦しながら、守備範囲を広げてきたようだったので。
──福井さんが、最終的に入社を決めた理由はどこにあったんでしょうか。
福井:ちゃんと「チームで開発している」感じが見えたことですね。
選考の中で、店舗検索ページチームのメンバーとカジュアルに話せる機会があって、普段どうやって業務を進めているのか聞いたんです。そのとき、「困ったら気軽に相談できるし、みんなフォローしてくれる」という雰囲気が伝わってきて、「一人で抱え込まずに開発できそうだな」と思えたのが大きかったです。
──入社後は、どのように業務をキャッチアップしていったんですか。
福井:最初はクエスト形式の研修を受けました。テーブル調査や、不具合・アラートの原因特定のようなタスクを順番にクリアしながら、実務を理解していく形ですね。次に何をやるのかが明確だったので進めやすかったですし、詰まったタイミングでメンバーとコミュニケーションも取れたので、自然にチームへ入っていけました。
さらに実務理解が深まったのが、研修が終わってすぐ、Node.jsのバージョンアップを任されたタイミングでした。システム全体に影響が出る変更だったので、自分でQAを設計して、QAエンジニアの方にレビューしてもらったり、モブプログラミングをしながら進めていったんです。
結構重いタスクではあったんですが、各機能がどういう役割を持っていて、どこに影響するのか、だいぶわかるようになりました。
──入社直後から、かなり影響範囲の大きい変更を担当されていたんですね。その後は、どのような業務を担当していったんでしょうか。
福井:新機能の開発や不具合修正、クライアントごとのUIカスタマイズなどですね。あとは、クライアントごとに分かれていたシステムの共通部分を統合して、まとめて管理できるようにしました。
佐々木:チーム内で進めていた別プロジェクトにも、同時並行で入ってもらいました。
というのも、店舗検索ページチームでは今、店舗検索システムをリニューアルして、導入いただいている100社以上が新しい環境へ完全移行するプロジェクトを進めていて、その土台づくりとして、Dev環境やステージング環境の最新化を福井さんにお願いしたんです。
触ると他にも影響が出かねない領域だったので、かなり慎重に進める必要があったんですが、横断的に検証しながらうまく環境を構築してもらえましたね。
──福井さんを信頼されている様子が伝わってきます。

佐々木:正直、想像以上でした。
まずよかったのが、カンリーのバリューの一つでもある「正直であれ」の「報連相」がすごくしっかりできるところです。わからないことがあるとき、ずっと一人で止まったままだったり、独断で突き進んだりせず、ちゃんと相談してくれるんですよね。業務量が多いときも、「ここはもう一人いた方がいいです」と早めにアラートを出してくれる。だからこそ、システム全体に影響するようなリスクの高い改善も、安心して任せられました。
あと、AIを積極的に活用する姿勢も頼もしかったですね。GoやNode.jsのような経験が浅い言語やフレームワークも、AIを活用しながらコードを読み解いたり、エラー調査や影響範囲の確認を進めたりして、かなりスムーズにキャッチアップしていってくれました。
それもあって、今はカンリー全体でAI活用を推進するギルドチームにも、店舗検索ページチーム代表として参加してもらっています。
──そのギルドチームでは、どのようなことをされているんですか。
福井:週に1回ミーティングをして、各チームのAI活用事例を共有しています。最近は、AIを単なる補助ツールとして使うだけじゃなくて、AI主体で開発を進めるにはどうしたらいいかといった話も増えてきましたね。
チームごとに開発スタイルも違うので、それぞれに合う活用方法を探りながら、意見交換している感じです。店舗検索ページチームでは今、リリース作業の効率化の一環でリリースノートの自動化のAI実装を進めています。また、他チームのモノレポでのAI読み取り最適化の事例を参考に、統合リポジトリで各クライアントの必要最低限の情報を一元管理できる仕組みを取り入れました。
佐々木:会社として進めなければいけないけど、なかなか手が進まない領域ってあるじゃないですか。そういうところにも、前向きに取り組んでくれるのが福井さんのすごくいいところですね。
──入社してまだ半年ほどで、大きなチャンスがあるんですね。不安はなかったんでしょうか。
福井:それが、あまりなかったんですよね。他のチームと関わるのが初めてだったので、むしろワクワクしていました。わからないことがあっても、メンバーに質問すればすぐに答えてくれますし、不安が大きくなる前に解消できる環境なので。
あと、「この作業って本当に必要なんですか?」と率直に聞いても、嫌な顔をせずに背景を説明してくれるんです。おかげで、もやもやした状態を抱え込まずに進められました。
今はむしろ新しいことを任せてもらえるのが楽しいですし、無事に終えられたときはかなり達成感があります。
──今後は、どのようなことに挑戦していきたいですか。
佐々木:店舗検索システムのリニューアル、リリースが完了したので、移行を完璧にやり遂げたいと思います。加えて、標準機能では対応しきれない部分については追加開発も行っていく予定です。
一方で、カンリー全体としてAI活用もさらに進めていかなければいけない。その部分は、福井さんにぜひ引っ張っていってもらいたいと思っています。
福井:AI活用推進の取り組みって、言ってみれば開発フローそのものを設計していくことなんですよね。今までやってきた実装や保守・運用とは業務の性質が異なり、また違う視点が必要なので、難しさも感じていますが、だからこそ楽しみでもあります。
他チームの事例も参考にしながら、店舗検索ページチームに合う形を探って、少しずつ開発プロセスを作っていければと思っています。
佐々木:新機能開発や不具合対応も並行して進めてもらうので、しばらくはかなり忙しいと思います。ここを効率的に進められるよう、福井さんには主体的に動いていただけると嬉しいです。
──かなり期待されているんですね。最後に須賀さん、担当キャリアアドバイザーとして、福井さんへメッセージをお願いします。
須賀:まだ入社から半年ほどですが、私が想像していた以上に大きな責任を持ち、それを前向きに捉えて取り組まれている印象を受けました。「モダンな開発環境で、チームで開発したい」という転職時の希望も実現できているようですし、応募の背中を押した立場としてもすごく嬉しいですね。
今後は、後輩育成やマネジメントのような役割にも、少しずつ挑戦していくのかなと思っています。人に教える経験もされてきていますし、きっとそういうポジションも合っているはずです。チームや組織全体に影響を与えられるようなエンジニアになっていってほしいですね。

(取材・文/山田 奈緒美)