提示年収と指名承諾・採用の関係性レポート【データサイエンティスト調査】
2025-04-25 18:00
この記事でわかること
提示年収が指名承諾や採用に影響しているのかを調査した結果、提示年収の金額が高いと面談承諾率も高くなることがわかりました。一方で、提示年収と採用率との間には相関がみられないことがわかりました。
エンジニアは提示された年収だけで転職先を決めているわけではなく、「企業がエンジニアのレジュメを読み込んで理解して指名を送っているか」「エンジニア自身がその企業で活躍できるイメージが湧くか」を、指名内容から総合的に判断して指名承諾に至っています。
そのため、提示年収が平均より低くても、そのエンジニアにとって魅力的な指名内容であれば承諾される可能性は十分にあります。提示年収だけでなく、エンジニアのレジュメを丁寧に読み込み、その人に合わせた適切な指名内容を作成することが重要です。
転職ドラフトスカウトは、企業様がエンジニアのレジュメを元にファーストコンタクトで年収付きの指名を送り、その指名を元にエンジニアが面談を希望するか決定する仕組みです。そのため、「指名時の提示年収が高くないと面談に繋がらないのでは?」と心配する企業様の声もよく聞かれます。
そこで今回、転職ドラフトスカウトでの平均提示年収と、指名承諾や採用との関係を調査しました。
平均提示年収とは、開催回ごとに企業がエンジニアに提示した年収を平均したもので、その時点でのエンジニアの市場価値と考えられます。
市場価値を知ったエンジニアがその後どう行動するのか、企業が提示した年収がそのエンジニアの市場価値よりも低いと指名を承諾されないのか、また企業が提示した年収が採用に影響しているのかを、実際のデータから調査していきます。
目次
1.提示年収と指名承諾の関係性
2.指名承諾提示年収と平均提示年収との差分ごとの指名承諾率
3.好印象な指名は年収60万円ほどの価値
4.指名承諾提示年収と平均提示年収との差分ごとの採用率
5.返答率や承諾率を高めるために
6.お気軽にお問い合わせください
提示年収と指名承諾の関係性
まずは、該当の承諾指名件数が全体指名承諾数に占める比率をみてみましょう。
指名承諾した提示年収がその人の平均提示年収と同一の指名は全指名のうち10.1%、0〜25万円高い指名は全指名のうち21.2%であることを表しています。
およそ3/4が平均プラスマイナス50万円に集中しており、ほぼ市場価値と同額で指名承諾されていることがわかります。
全体を見ると、平均提示年収よりも高い提示年収の指名が多く承諾されていますが、平均提示年収より高くないと指名承諾されないわけではないようです。
しかし、平均提示年収より著しく低い場合は、承諾されるケースは少なくなります。
指名承諾提示年収と平均提示年収との差分ごとの指名承諾率
続いて、指名承諾率についてもみていきましょう。
提示年収が平均より高くなるほど、指名承諾率が高くなる傾向があることがわかります。
予想通りといえばその通りですが、指名承諾のされやすさは提示年収だけで決まってしまうのでしょうか?
好印象な指名は年収60万円ほどの価値
転職ドラフトでは、エンジニアが指名内容についてどう感じたかをアンケート調査しています。
以下のグラフは、その回答別の指名承諾率を示しています。
データからもわかるように、指名内容が好印象だと承諾率がとても高く、逆に印象が悪いと指名承諾率も低下しています。
特に「この会社の魅力が伝わってきた」、「高く評価されていると感じた」、「簡潔かつ明確で要点がわかりやすかった」の3つは指名承諾率に影響しています。これらは、提示年収に換算すると60〜70万円程度の年収アップと同程度の価値があります。
指名承諾率と指名内容の関連性はとても強く、指名時の提示年収が平均より低くても、好印象の指名内容であれば、提示年収の低さを逆転できることがわかります。
提示年収が低くても承諾されている指名は、こういった印象要因が大きく関わっているのでしょう。
そのため、承諾率を上げるためには、レジュメをよく読みエンジニアに合わせた適切な指名をするのが大事だと言えます。
また、指名内容ほどではないものの、指名が早いと承諾されやすいこともわかっています。
提示年収だけで指名承諾されるかが決まってしまうほど、単純な話ではないようです。
指名承諾提示年収と平均提示年収との差分ごとの採用率
最後に、採用率への影響についても調べてみました。
指名承諾提示年収と平均提示年収の差が0のときの採用率を基準として、基準との差分を示しています。 例として、指名承諾提示年収との差が0のときの採用率が10%、0〜25万円のときの採用率が15%ならば0〜25万円のところは5%となっています。
差分金額が大きくなるほどデータが少なく誤差が大きいため、採用率を見ると100万円〜200万円では高く-200万円〜-100万円で低くなっていますが、-100万円〜100万円の間では採用率に大きな違いはありません。提示年収が平均より高いか低いかは採用率にあまり関係ないことがわかります。
企業様は自社基準に見合った年収を提示し、エンジニアは満足のいく金額のときに承諾しています。 つまり、指名承諾の時点で双方が年収金額に同意しているので、提示年収が採用率に影響しにくくなっていると考えられます。
「転職ドラフトスカウトの指名年収が高いのは見せかけで採用されるときの年収は低いのでは?」と考える人もいるかもしれませんが、実際には市場評価とほぼ同じです。 採用では、指名時の提示年収は有利にも不利にもならないでしょう。
返答率や承諾率を高めるために
ここまでの結果から、提示年収だけでなく指名内容から受ける印象が承諾率に影響していることがわかりました。
エンジニアは指名内容から、レジュメをしっかり読んで自分のことを理解してもらえているか、その会社で自分が活躍できそうか、魅力的な会社か、などを考えて指名を承諾しています。 そのため、提示年収よりも指名内容の評価のほうが承諾率に影響する傾向にあります。指名承諾率を向上させるためには、レジュメをよく読んで適切な内容の指名をすることが大事だと言えます。
例えば、指名時に以下のようなポイントを意識してみるのもおすすめです。
- 候補者のレジュメをよく読み、具体的なスキルや経験を評価する
- 入社後に活躍できるイメージを持てるよう、指名したポジションでどんなスキルや姿勢を活かせるかを記載する
- より詳しく聞きたいポイントなどを記載して、面談で話すことをイメージしてもらう
転職ドラフトスカウトは年収を先に提示するのが特長のサービスなので、年収だけで採否が決まってしまうイメージをもたれがちですが、実際には異なることをご理解いただけたらうれしいです。
お気軽にお問い合わせください
今回の調査でわかったことは、以下の通りです。
- 提示年収を高くするほど承諾率は高くなる
- 指名内容の評価が高いと承諾率は大幅に高くなる
- 指名承諾後の採用率には提示年収はほとんど影響しない
いかがでしたでしょうか。転職ドラフトスカウトの具体的な活用方法やエンジニアの採用全般についてご相談を承っております。ご希望の方は以下リンクよりお気軽にお問い合わせください。