プロポーザル採択の秘訣は”相手”への想像力にあった【イベントレポート】

2025-08-19 17:30

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2025年6月28日、転職ドラフト主催のオンラインイベント「採択されるカンファレンスプロポーザルの秘訣」が開催されました。

ITエンジニアにとって、カンファレンス登壇は自身の知見を社外に発信する絶好の機会です。しかし、「テーマが見つからない」「プロポーザル(発表企画書)の書き方がわからない」「採択される自信がない」といったハードルを感じている方も多いのではないでしょうか。
本イベントは、そんなエンジニアの皆さんがアウトプットへの一歩を踏み出す後押しとなることを目的に実施しました。

登壇いただいたのは、株式会社コドモンのnrsさんとさかうえさん。プロポーザル作成の全体像を捉える視点と、初登壇をチームで乗り越えた実践的な視点、その両面から具体的なノウハウを語ってくださいました。

この記事では、当日のセッションのハイライトをお届けします!
「もっと詳しく知りたい!」と感じた方は、ぜひ記事の最後にご紹介するアーカイブ動画をご覧ください。

登壇者情報

今回、プロポーザル作成の秘訣を惜しみなく語ってくださったのは、株式会社コドモンで活躍するお二人のエンジニアです。

執行役員CTO nrs(なるせ)さん
2025年4月より株式会社コドモンの執行役員CTOに就任。多数のカンファレンスでの登壇経験を持ち、直近の2023年、2024年にはそれぞれ約50回の登壇を重ねた実績を持つ。
プロポーザルのレビュワー経験も豊富で、イベント当日は、自身の経験から導き出した「採択されるプロポーザルの型」について、論理的かつ情熱的に語る姿が印象的でした。


さかうえ ひかるさん
2024年3月コドモンに入社して以来、新潟よりフルリモートで勤務するソフトウェアエンジニア。初登壇はPHPカンファレンス新潟2025のLTで、つづけてPHPカンファレンス 2025ではセッション登壇を経験。
本イベントでは、登壇を決意したきっかけや、チームメンバーに支えられながらプロポーザルを完成させた実体験を赤裸々に語ってくれました。

プロポーザル作成の「思考法」「実践法」両面を学べるイベント

本イベントは、プロポーザル作成の「思考法」と、それを形にする「実践法」の両輪から学べるよう、以下の二部構成で行いました。

一部:プロポーザルを作るコツ:多角的視点編(nrsさん)
豊富な登壇・レビュー経験を持つnrsさんが、プロポーザルを構成する要素や、採択側に「刺さる」ポイントを解説。

二部:組織&チームで取り組むプロポーザル企画の実践法(さかうえさん)
初登壇を果たしたさかうえさんが、テーマ設定から資料作成まで、チームのサポートを受けながら乗り越えたリアルな体験談を共有。

「何から手をつければいいかわからない」という方から「もっと採択率を上げたい」という方、「登壇の活発な組織を学びたい」という方まで、幅広い層にとって学びの多い時間となりました。

「プロポーザルを作るコツ:多角的視点編」(by nrsさん)のハイライト

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nrsさんのセッションは、「プロポーザルはラブレター」というキャッチーな言葉から始まりました。その心は、「誰に、何を伝えたいのか」という”相手”への想像力が何よりも重要だということ。

セッションで語られた、プロポーザル作成の具体的なコツを4つご紹介します。

ポイント1:ターゲットは2種類存在する

プロポーザルは、レビュワーとカンファレンス参加者を読者として意識する必要があります。

レビュワーには「この人にぜひ登壇してほしい!」と思わせる熱意や独自性が伝わり、参加者には「この話、面白そう!」と思わせる魅力や得られる学び(ベネフィット)が魅力的に映るように、それぞれ意識して書くことが重要です。

nrsさんは、Developers SummitやPHPカンファレンス新潟2025の際に自身が発表した実例を交えながら、その秘訣を解説してくださいました。ぜひ動画でご覧ください。

▼nrsさんが実際に発表した内容はこちらから!
nrsさんの具体的プロポーザル内容を聞く - YouTube

ポイント2:「なぜ、今、自分が話すのか」を明確にする

技術的なトピックは多くの人が取り上げるため、他の方とテーマが被ってしまうこともあります。だからこそ「なぜそのテーマを自分が話すのか?」という問いに答えることが、プロポーザルの核となります。
まずは、自身の失敗談やチームでのユニークな取り組み、ニッチな領域での深い知見など、「自分だからこそ語れること」を棚卸しすることが、テーマを考える際の第一歩だとnrsさんは語ります。

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ポイント3:タイトルと概要で心を掴む

数多くのプロポーザルの中で埋もれないためには、タイトルと概要が鍵になるという話も興味深いポイントでした。

たとえば、「〇〇をやってみた」だけでなく、「〇〇という課題に対し、△△という方法で挑んだ結果、□□という学びがあった」のように、課題・アクション・結果が具体的にわかるタイトルが理想的といえます。

ポイント4:ストーリーで語る

聞き手が共感し、自分ゴト化できるストーリーを意識することも重要です。

単なる技術の羅列ではなく、【課題設定 → 試行錯誤 → 解決策 → 結果・学び】という王道のフレームワークを用いることで、聞き手の興味を引きやすくなります。
nrsさんはこれを「聴衆の心を動かす魔法」と表現していました。

以上の4点を実例を交えて紹介してくださったnrsさん。
最後は「完璧なプロポーザルを目指す必要はない。まずは自分の想いをぶつけることが大事」と締めくくり、参加者に力強いエールを送りました。

▼nrsさんの具体例満載のセッションをフルで視聴したい方はこちら!
nrsさんの発表を聞く - YouTube

「組織&チームで取り組むプロポーザル企画の実践法」(by さかうえさん)のハイライト

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続いて、さかうえさんが自身のリアルな体験談を語ってくれました。

さかうえさんは元々、「自分なんてまだまだ…」と登壇に踏み出せずにいた一人。背中を押したのは、チームでアウトプットを推奨し、サポートするコドモンの文化でした。

きっかけは、チームの「やってみようよ!」の声

日々の業務で得た知見についてチーム内で話した際に、「これ、カンファレンスで話せる良いネタじゃない?」と声をかけられたことが、プロポーザル提出を意識したきっかけだったと、さかうえさんは語ります。

一人では「大したことない」と思ってしまうような経験も、他者からのフィードバックでその価値に気づくことは意外と多いものです。

テーマの壁打ちと具体化

最初のアイデアは漠然としたものでしたが、チームメンバーとの壁打ちを重ねる中で、「誰に一番伝えたいか」「この話のどこが面白いか」がシャープになっていきました。

nrsさんのような経験豊富なメンバーから、プロポーザルの構成について具体的なアドバイスをもらえたことも大きかったと、さかうえさんは振り返ります。

「自分だから話せること」の見つけ方

PHPカンファレンス新潟のプロポーザルを作成する際、さかうえさんは、若手メンバーがコードリーディングに時間をかけている姿をみて、自分の実体験が誰かの助けになるかもしれないと考えました。
しかし、それだけではありきたりな内容になりそうだと考え、「自分が感じている”味わい深いコード”って共感してもらえるのだろうか?」という「自分だから話せる視点」を追加しました。そして、それが自身のモチベーションになったそうです。

技術的な正しさだけでなく、自身の葛藤や成長のプロセスや感じていることを正直に語ることが、聞き手の共感を生むと気づいたからこそのアプローチと言えます。

プロポーザル提出後も続く、チームのサポート

プロポーザルが無事採択された後も、チームのサポートは続きます。

発表資料のレビューや、本番を想定した練習会に何度も付き合ってもらったことで、安心して本番に臨むことができたとさかうえさんは語りました。まさにチーム一丸で掴んだ登壇と言えるでしょう。

さかうえさんの体験談は、「すごいエンジニアじゃなくても登壇していいんだ」という勇気と、「仲間と一緒に挑戦することの価値」を教えてくれるものでした。

▼さかうえさんの発表の詳細を知りたい方はこちら!
さかうえさんの発表を聞く - YouTube

質問タイム

イベントの最後には、参加者からのリアルな質問に登壇者が答えるQ&Aセッションも行われました。

Q1. プロポーザル作成にAIは使える?

nrsさん:AIに頼りすぎて発表できなくなるのは避けるべきですが、内容の質が担保できるならどんどん使えばいいと思います。僕は話したいテーマや構成をAIに入力して叩き台を作ってもらい、それを自分で調整しています。ただ、特に初登壇の場合は、まず自分で書いてみて、その後AIにチェックしてもらうのがいいかもしれません。

AIが生成した文章をそのまま使うと、熱意が伝わらなかったり、当日に自分の言葉で話せなくなったりする危険性もあるので、「本当に自分が話せるか、話したいか」を自問自答することが重要だと思います。

Q2. すごい技術や特別な経験がないと登壇は難しい?

nrsさん:そんなことは全くないです。むしろ、日常業務でのちょっとした工夫や、派手ではないけれど着実な改善活動にこそ、多くの人が共感する学びがあるものです。

さかうえさん:私の提出したプロポーザルも「多くの人が悩む実体験」という等身大のストーリーが元になっています。だからこそ、同じ悩みを持つ人に響いたのだと思います。そこに、「自分だから話せること」を追加することで、オリジナリティを出しました。

Q3. プロポーザルがなかなか採択されない時はどうすれば?

nrsさん:諦めずにフィードバックを求め、改善し続けることが大切です。信頼できる同僚や、登壇経験のある知人にレビューを依頼するのが効果的だと思います。

また、一つのカンファレンスに固執せず、複数のカンファレンスに提出してみるのも一つの手段です。カンファレンスのテーマやターゲット層によって、求められる内容は異なるので、少し角度を変えるだけで採択される可能性もあります。

このほかにも、当日は以下のような質問が寄せられていました。

  • 登壇のテーマ(ネタ)はどうやって見つけていますか?
  • プロポーザル提出や登壇などエンジニアの自発的な発信を醸成・支援する文化作りについてお聞きしたいです
  • 発表してみたくても、自分が話せるトピックのどれが他者にとって価値があるのかよくわかりません。他の人にとって有益なものかどうかをどうやって判断していますか?
  • はじめは趣味などからLT始めるとのことですが、本格的なプロポーザルを目指すためのネタはどのように見つけているのでしょうか?

あなたの経験が、次の誰かの力になる

今回のイベントでは、カンファレンスプロポーザルというテーマを通して、個人の技術的な挑戦と、それを支える組織文化の重要性を学ぶことができました。

  • 採択者と聴講者の視点を持ち、自分のリアルな経験をストーリーにする。
  • チームで称賛し、高め合う文化が、個人のアウトプットを後押しする。

この記事を読んで、「自分もカンファレンスプロポーザルに挑戦してみようかな」と感じた方がいればうれしいです。

イベントの全編アーカイブ動画では、さらに具体的なプロポーザルの事例や、ここで紹介しきれなかった質疑応答など、より深い内容をご覧いただけます。

ぜひご覧ください!

▼イベントの全編視聴はこちらから!
【転職ドラフト】採択されるカンファレンスプロポーザルの秘訣 - YouTube

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