せっかく転職をするなら年収を上げたいと思っている人も多いはず。
実際に転職ドラフトで転職した人の中でも、94.6%(2022年7月〜2023年6月)のITエンジニアが年収アップを叶えています。
しかし、登録ユーザーが見ることができる提示年収は、あくまでレジュメやアウトプットからの推測。実際に転職を決めた人が、どのくらいの金額と変化幅だったのか気になりますよね。
そこで、転職を決めた人の属性や傾向、そして年収の変化幅について、2023年度版として調査結果をお届けします。※転職前の年収は、転職ドラフト参加時には非開示ですが、転職成功の報告時に自己申告いただいています。
どのくらい年収アップしているのか?
まずは年収アップした94.6%のITエンジニアが、どのくらいの年収アップを叶えたのかを50万円単位で調べてみました。
年収アップ額 | 割合 |
---|---|
50万円未満 | 6.1% |
50万円〜100万円未満 | 20.5% |
100万円〜150万円未満 | 21.5% |
150万円〜200万円未満 | 19.9% |
200万円〜250万円未満 | 19.2% |
250万円〜300万円未満 | 7.4% |
300万円以上 | 5.4% |
データ出典:2022年7月〜2023年6月の期間において、転職ドラフトを通じて内定を承諾した人
今回の調査では、100万円〜150万円未満の割合が最も多くなりましたが、50万円から250万円未満の間でみるとどのセグメントも20%前後と大差はありませんでした。
なお、経年で調査結果を振り返ると、2021年に行った調査では年収アップ額50万円未満が10.7%ほどに対して、今回の調査で6.1%に減っています。一方、200万円〜250万円未満の割合は、11.9%から19.2%へ増えています。
250万円以上などの大幅な年収アップをしている人の割合は減少傾向ですが、全体を見れば年収アップ額もまだまだ高水準と言えそうです。
年収アップしている人の傾向
1回の転職で250万円年収アップというのは、なかなか夢がありますよね。
一体どんな人が年収250万円アップを叶えているのでしょうか?
今回は年収の大幅アップが叶ったみなさんのレジュメをチェックしてみました。(転職ドラフトでは、転職ドラフト参加ユーザーが公開しているレジュメを見ることができます。)
レジュメの傾向としては、
- ITエンジニアとして取り組まれた実績や目的を果たすためのスキルをしっかり持っている
- 上述の実績やスキルを保持しているだけでなく、マークダウンを活用したり、プロジェクトの全体像から成果まで体系的に伝えたりしている(つまり、非エンジニアの人事担当者や管理職の人にも実力が伝わりやすい書き方を工夫されている)
といった2点を押さえている人が引き続き多いです。
また、レジュメの文字数は平均5000字を超えており、アウトプット欄でも36%の方がURL以外の情報(特にアピールしたいアウトプットなど)を記載しているなど、お手本にしたいレジュメが多かったです。
年収が250万円以上アップしている方の転職後年収の中央値は704万円ですが、マネジメント経験がある方は全体の20%ほどで、年収アップにはマネジメント経験が必須というわけではなさそうです。
指名の多い方や高額で指名されている方のレジュメは以下のリンクから検索できますので、ぜひチェックしてみてください!
レジュメを見てみる→https://job-draft.jp/users
年代別アップ額の中央値
年代別に違いがあるのか、自分の年代がどのくらい年収アップしているのかも気になるところ。
ということで、次は年代別に年収アップ額の中央値が経年でどのように推移しているかを見ていきましょう。
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
20代 | 158万円 | 162万円 | 180万円 | 126万円 | 131万円 | 159万円 | 166万円 |
30代 | 75万円 | 134万円 | 80万円 | 87万円 | 111万円 | 125万円 | 136万円 |
40代 | - | 13万円 | 140万円 | 130万円 | 78万円 | 118万円 | 71万円 |
データ出典:2017年1月〜2023年9月の期間において、転職ドラフトを通じて内定を承諾した人
20代の年収アップ額中央値は集計開始から高い水準をキープしています。
30代・40代はすでに転職を経験していたり、現職でも評価され転職前の年収が高くなっていたりするため、年収アップ額は少し低めです。
これまではある程度の経験年数を過ぎるとマネジメント経験の有無が評価対象になりやすい傾向がありましたが、近年はスペシャリストとしてのキャリアパスも実力として給与に反映されやすくなってきているため、転職をすることで給与を上げることもまだまだ可能です。
以下の評価制度の記事で紹介した3社でも、スペシャリストとしてのキャリアを評価する制度が運用されています。もしスペシャリストとしての転職を考えている場合は会社選びの基準の一つにしてみてもいいかもしれません。
エンジニアの評価制度はどうあるべきか? -事例紹介編-
もちろん、スペシャリストとしての技術+αを持つ人は、年齢問わず相変わらず需要は高いままです。
主なスキル・言語別の年収アップ額の中央値
続いて主なスキルや言語別のアップ額についても見ていきます。
今回のデータで年収アップ額の中央値が高かったのはTypeScript・C#・Railsでしたが、これらは転職前の年収の中央値が520万円以下であり、その他のスキルと比べても少々低めです。
一方、転職前の年収、年収アップ額ともに高かったのが、PythonとKubernetesでした。
Pythonはそれなりに長い歴史を持つプログラミング言語ですが、AI分野で活用されていることや、ビッグデータの分析・解析などを得意としていることから、近年、注目が高まっています。
Kubernetesは大規模システムの運用管理の工数削減に役立つことから、サーバーサイドやインフラで採用される際の+αの付加価値として評価される傾向があるようです。
大量データの管理や分析に使われるスキルの需要の高まりが見てとれます。
職種・役割別の年収アップ額中央値
最後に職種・役割別でも見ていきましょう。
※その他には、コーポレートIT/情シスやゲームプログラマなどが含まれます
年収アップ額の中央値が一番高かったのはネットワークエンジニアでした。
クラウドやAIなど最新技術の発達もあり、ITインフラを支える重要なポジションとしてその需要は健在です。システムの自動化などによって以前よりも業務が効率化されてきているものの、人数もそこまで多くないので、転職前の年収と年収アップ額ともに高めだと考えられます。
一方、他の職種・役割と比べて、転職前の年収が高めのプロダクトマネージャーやエンジニアリングマネージャー、エンジニア採用・人事などは、年収アップ額はそこまで高くありません。
その他にも、SREや機械学習エンジニアは転職前の年収の中央値が600万円を超えており、引き続き需要が高く、多くの企業が評価し給与を上げている職種・役割であることがわかります。
まとめ
ここ数年のITエンジニア採用界隈は売り手市場と言われていました。しかし最近は「勢いが少し失速しているのでは?」という声も聞こえはじめています。
今回の調査でも、250万円以上の大幅な年収アップした人の割合は、2021年に行った調査と比べて少し縮小しました。
一方で給与が上がりにくくなっている環境かというと、50万円以下の上がり幅の割合は少なくなっていますし、一概に言い切れないと考えています。ここ数年の売り手市場と言われる環境の中で、需要の高いスキルや実力がある人が現職でもしっかり評価され、転職をしなくても市場と乖離しない報酬制度や年収があがる土壌が整いつつある見方もあるのではないでしょうか。
そのような環境の中で、着実にスキル・キャリアアップを目指すことができるよう、転職ドラフトでは、ITエンジニアに特化したレジュメの無料フィードバックや公開競争入札制、現年収の非提示といったサービスや仕組みを用意しています。
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