COVID-19(以下、新型コロナ)の流行によって働き方が大きく変わり、リモートワークでの勤務も広がりを見せています。
しかし、そうはいっても実際どれくらいの企業がリモートワークになっているのでしょうか。ニュースの報道からは、いったんリモートワーク体制をとったものの、対面型の勤務体制に戻した企業もあると耳にします。
そこで今回は直近の転職ドラフトの参加企業を対象にしたリモートワーク状況と、エンジニアのリモートワーク希望度について調査してみました。
【目次】
リモートワークOKな文化がある企業の推移
リモートワーク条件提示指名の推移
リモートワーク検索の項目別の内訳
リモートワーク希望のエンジニアの割合
まとめ
最後に
リモートワークOKな文化がある企業の推移
最初にリモートワークOKな文化がある企業の推移は、新型コロナ流行前からどのように移り変わっているか見てみましょう。
こちらは、各参加企業の会社詳細ページにある文化欄から確認することができるタグになります。
昨今の状況を見てみると、増加傾向にあるかと思いますが、どうなのでしょうか。
上記では、2019年1月回から2021年8月回までの転職ドラフト参加企業のリモートワークOKな文化のある企業の割合を示しています。
2021年はリモートワークOKの企業は全体の74%となりました。こうしてみると、新型コロナが流行する前の2019年の59%と比べると、リモートワークOKな企業のドラフト参加が15ポイント増加していることがわかります。
リモートワーク条件提示指名の推移
ここでさらに、指名の際にリモートワークを条件として提示した指名の推移も確認してみます。
転職ドラフトでは「リモート可(週3日以上)」「リモート可(週4日以上)」のいずれかの条件が提示された指名(年収付きスカウト)も可能になっています。当該条件は、新型コロナの影響による一時的なリモートワークには用いることができません。
全体の指名のうち、どれくらいの割合がリモートワーク可能な環境を前提とした条件提示をしているのでしょうか。
上記では、2021年1月回から2021年7月回までに行われたドラフト指名の内訳(総合計7631指名)を示しています。
直近では69%がリモートワークを条件として提示された指名でした。前回の調査では26%だったので大幅に増加しています。
もちろん、採用面談後に実はリモートだった、逆に双方の話し合いの結果リモートワークではないということもあるかと思います。
しかし、指名の段階で週3日以上リモートワーク可能な環境を前提とした条件提示であること、新型コロナウイルス対策の一時的なリモートワークではないことなどの条件下での指名であることを考えると、企業内の文化としてリモートワークが定着している企業数が増えていると言えそうです。
リモートワーク検索の項目別の内訳
続いて、リモートワーク検索の項目別の内訳を見ていきましょう。今回の調査対象は2021年1月回から8月回までの転職ドラフト参加企業です。
転職ドラフトでは、リモートワークに関連する条件で企業を検索することが可能です。関連する条件とは、主に以下のような項目になります。
- 選考のオンライン対応
- 必要出社日数
- リモート継続方針
- 居住地の制限
こちらは参加企業に対して定期的にアンケートが行われ、都度情報が更新されるものです。
今回はそれぞれ項目別に企業数の内訳を見てみましょう。
最初に、選考のオンライン対応を確認してみます。
新型コロナの流行に伴い、選考もリモートで行われることも多くなりました。リモート採用は企業に赴く必要が減るので面談調整の融通が効く一方で、人柄が見えにくい、社内の様子が確認しにくいなどの課題もあると思います。
どのような結果になるでしょうか。
201社回答のうち、入社まですべてリモートで完結する企業が69%、内定前に対面での面談が必要な企業は合計26%となりました。
約7割の企業が、入社まですべてリモートで採用活動を行っているというのは数年前では考えられないことでしたが、新型コロナをきっかけにしてさらに拍車がかかっているようです。
一方で内定前に対面での面談が必要な企業も一定数あり、会社の雰囲気やその人の人となりも相互に確認してより良いマッチングを図っていることもみてとれます。
続いて必要出社日数について見てみましょう。選考はリモートでも、実際の働き方はどのようになっているのでしょうか。
212社回答のうち、出社日数週0日(フルリモート)の企業が57%、週1日出社が22%、週2日出社が12%、週3日出社が7%、週4日出社が2%という結果になりました。
こちらの結果を受けて、フルリモート企業が多いと思うか少ないと思うかは個人によって異なると思います。約6割がフルリモート体制で勤務している一方で、約4割の企業が対面を必要としています。それはコミュニケーションや業務上必要があるためと考えられます。
こうしたリモートワークはまだまだ課題がありますが、場所にとらわれず採用ができ、遠方からも勤務ができることからメリットもある働き方です。
こうしたリモートワークはあくまで一過性の制度なのか、それとも今後継続されるのか。エンジニアの皆さんは気になるところだと思います。そこで、こうした勤務体制は今後継続されるのかについて見てみます。
206社回答のうち、新型コロナ収束後もリモートが継続する方針の企業は約7割という結果になりました。
ではこのリモートワークの範囲はどの程度を企業は想定しているのでしょうか。居住地についても見てみましょう。
こちらは、205社回答のうち約6割の企業が通勤可能な距離を推奨または制限していることがわかりました。リモートワークではあるものの、通勤可能な距離を想定しています。ここからは、対面を含めたハイブリッド型のリモートワークが可能な環境を模索中であることがわかります。
リモートワークは、新型コロナの動向や、エンジニアの働きやすさ、業務の円滑さなど検討すべきことが多い制度です。今後、各社独自のリモートワークの形が生まれていきそうです。
リモートワーク希望のエンジニアの割合
続いてエンジニアのリモートワーク希望について見てみたいと思います。
これまで、企業側のリモートワーク実施状況を確認してきましたが、求職者であるエンジニア側のリモートワークに対する希望はどのようになっているでしょうか。
以下のような結果となりました。
なお今回は2021年1月回から7月回までの、転職ドラフト審査通過者のうち希望勤務地でリモートワーク希望について回答したユーザー(合計494名)を対象としています。
希望勤務地でリモートワークを特別希望しないユーザーは55%、リモートワークを希望するユーザーは45%となりました。
リモートワークを希望するかしないかには大きな違いは現れませんでした。むしろ特別リモートワークを希望しないユーザーの方が多いようにもみえます。
続けて、リモートワークを希望するユーザーが、どの程度希望するかについて見てみます。
222名回答のうち、集まる必要性がない場合は基本リモートが許可される環境が必要は58%、家庭の事情や体調など、都合に合わせてリモート出来れば問題ないは32%、常時リモートが必要は10%となりました。
ここからは、リモートワークを希望するユーザーにおいても常時リモートというよりは、新型コロナの動向や体調、コミュニケーションが必要なときなど臨機応変にリモート制度を活用できれば好ましいという思いがみてとれます。
まとめ
以上をまとめると以下のような結果となりました。
- リモートワークOKな文化がある企業のドラフト参加は新型コロナ流行前と比較して15ポイント増加
- 約6割の企業がフルリモートワークを採用
- 現在リモートワーク可能な企業の約7割が新型コロナ収束後もリモートワークを継続する方向
- エンジニアとしては、ケースバイケースで臨機応変にリモートワークを利用したいという割合が強い
全体としてみると、リモートワークが可能な企業はたしかに増加していました。しかしながら、詳細をみるとフルリモートよりも対面とのハイブリッド型を望んでいる様子が見られました。
また求職者であるエンジニア側は、どうしてもリモートワークがいいというよりは、新型コロナの動向や必要性に伴って、臨機応変にリモートワークが可能であるとよいという傾向があるということがわかりました。
このことから、今後も対面とリモートワークをハイブリッドにした働き方が拡大していく可能性が高いといえそうです。
最後に
いかがだったでしょうか。新型コロナが流行した2020年から1年を経て、今リモートワークにはいいところばかりだけでなく、課題もみられるようになりました。
作業が集中しやすくなった、勤務時間が減ったという声がある一方で、家族がいるので集中ができない、気軽な質問がしにくい、雑談がほぼなくなってしまったなどコミュニケーション上の課題も出てきています。
今はちょうど転換期にあるかと思います。いったんフルリモート体制をとったものの、対面での業務の必要性が高まったことなどから出社に切り替える企業も現れ始めています。
まだまだ課題も多いリモートワーク。対面での働き方においては自然と創出されることの多かった、一体感や偶然の発見、知識共有。そうしたものをリモートワークでもできないかと各社模索している最中だと思います。今後はさまざまな試行錯誤を経た各社オリジナルのリモートワークが拡大していきそうです。
転職ドラフトでは、リモートワーク検索から自分の希望にあった企業を調べるだけでなく、なかなか調べにくい企業独自の文化などを確認できます。企業の情報集めの際にもぜひご活用ください。