※写真左から株式会社リブセンス 取締役 桂大介、株式会社トレタ CTO 増井雄一郎
前編の「トレタ増井氏×桂対談-エンジニアが年収700万円台の壁を越えるためには何が必要か?」に引き続き、後編では採用選考における日本と海外の違いや、@masuidriveこと増井さんがCTOを務めるトレタについて、いろいろお伺いします。
オシャレなカウンターに人が集うトレタ
桂: みなさんカウンターで仕事をしていらっしゃるんですね。
増井: そうなんですよ、朝カウンターに座ってそのまま夜まで作業して、オフィス内の自分の席に座ることなく帰る人もいるくらいです(笑)
桂: 確かにすごく居心地がいいですね。コーヒーもあるし、スタンディングデスクにちょうどいい高さだし。
増井: 奥に集中部屋もあるので、話しかけて欲しくない場合はそっちでヘッドホンして作業するときもあります。が、それ以外は結構こうやって話しながら作業しています。ここで戦略決めたりとかもしちゃうくらい。
桂: すごいフランクですね。コミュニケーションしやすそう。
増井: エンジニアと営業がどうやってコミュニケーションをとるかをよく考えるんです。ワークスペースだと一種のバリアが張られているような感じがあるじゃないですか。カウンターなら、営業が通りすがりに「今お客様からこういう話があったんだけど」と話しかけやすい。そこでエンジニアも「その要望はこの機能をこう使うと解決できますよ」とか答えたりしていますね。そして金曜日の夜は、みんなこのカウンターで飲んでそのまま帰ります。夜7時以降は、お酒が飲み放題なんですよ。
桂: すごくいい環境ですね!
コードのレビューに、ビールまで出てくるユニークな採用選考
桂: 今、トレタのエンジニア採用ってどうなっているんですか?
増井: トレタのサービスって飲食店向けなので、ほとんどのエンジニアが使ったことがないサービスなんですよね。自分が使ったことないものの会社に応募する人ってなかなかいない。だから求人出してもトレタはエンジニアに選ばれにくくて、今までは紹介にかなり頼っていました。最初に入ってきてくれたエンジニアは、僕のブログを見ていてくれた人なんですよ。一人目のiOSエンジニアは、僕がたまたまカレー屋で飯を食ってたら、出口で突然話しかけられたのがきっかけだったりします(笑)
桂: すごい出会いですね。紹介以外の応募の場合はどうしてるんですか?
増井: レジュメ出してもらって、それがOKであれば、ほぼ全員に会うようにしていますね。一次面接で同職種の人がスキルチェックして、二次面接では職種関係なく「出られる人はみんな出て〜」みたいな感じでやっています。なので、いつもこちら側は4〜5人はいますね。
桂: 4〜5人も!
増井: みんなでお茶を飲みながらとか、場合によっては後半ビールを飲みながらとか(笑)
桂: 座談会みたいな感じですね。楽しそうでいいですね。
増井: あと、例えばサーバサイドの採用選考の段階として、コードレビューしてまずいところを指摘してもらう、というのをやっています。
桂: レビューなんですね!一般的にはコードを書いてもらうほうが多いと思うんですが。
増井: コードって、書く回数より読む回数の方がはるかに多いんですよ。実際入社してもらったら今あるコードを読んでもらわなきゃならないので、ちゃんと正しく意図が読めるか、読んだ上で問題点を指摘できるか、が大事だということで、レビュー形式にしています。
桂: なるほど。
増井: ちなみに今は、『クソコードをレビューする』っていうのをやっています。
桂: それ面白いですね!コード以外のスキルはどうやって見ているんですか?
増井: 実際のアーキテクチャの話などは会って話しますね。今直面しているアーキテクチャの課題を見せて、「どう思う?」と聞いてみたりもします。あと、RubyだとRuby技術者認定試験もあるので、そういうものを出してもらうのもアリだと思っていますね。まぁ僕、その試験に落ちてるんですけどね。落ちたことをまつもとさんのブログに書かれ、さらし者にされるっていうひどい思いをしたことがあります(笑)
桂: えぇっ?!なんで落ちたんですか?
増井: 僕いまだにリファレンスみながら書いているんですよ。Dashとか色んなツールがないと、プログラム全然書かないんです。だから、ペーパーでは全く書けなくて。まつもとさんには「まさかの!落ちた」って書かれ、「増井さんは受かっても落ちてもおいしいね」って言われましたね。
桂: さすが増井さん。ネタが尽きない(笑)
採用選考の、日本と海外の違い
桂: 増井さんは海外経験がおありですが、アメリカの採用選考ってどうなっているんですか?
増井: レジュメを出して、電話スクリーニングがあって、面接、という流れですね。紙のレジュメは「ちゃんと働く気があるか」くらいの最低限を見るだけなんですよ。テクニカルな話のスクリーニングは電話。ここが日本との大きな違いですね。あと、リファレンスをちゃんと取るところも大きく違いますね。面接で人の能力を推し量るってすごく難しいじゃないですか。「会って一時間で一体何がわかるんだ」みたいな。だから向こうでは、リファレンスをかなり重要視している感じがします。
桂: リファレンスはどうやってとるんですか?
増井: 過去にその人と一緒に働いたことのある人を何人か指名して、電話をかけて聞く、という感じだそうです。僕はトレタでも何らかの形でできるだけリファレンスを取りたいと考えていますね。
桂: ちなみにトレタでは今、どのように提示年収を決めているんですか?
増井: 市場価格に沿って、会社の中で能力をランク分けして年収を定義しているんです。それと前職の年収を見て決めていますね。
桂: 自社の定義と前職年収が大きくずれる場合はどうしているんですか?
増井: その人と話し合いですね。ソーシャルゲームバブルの頃にゲーム会社に入った方だと、年収が異様に高いことがたまにあって。ご本人から「この年収だと転職先がないから年収下げるつもりなんです」という話が来ることもあります。
桂: 前職年収が必ずしも市場価格でもないですしね。増井さんは市場価格をどうやって把握されているんですか?
増井: 僕はいろんな会社で仕事をしているし、人事の知り合いも多いので、だいたいどのくらいかは元々把握しているって感じですね。
好きな本でカルチャーフィットを推し量る
桂: 転職ドラフトではレジュメで年収を決めて指名しますが、正直、レジュメで選ぶのって難しいですよね。
増井: トレタはカルチャーフィットを大事にしているんです。トップダウンで管理する文化はないので、同じ気持で働けるかが大事。ただ、カルチャーフィットをレジュメでどう測るについては、今もすごく苦労しています。だから、転職ドラフトにある「エンジニアとして影響を受けた本を教えてください」「野望を教えてください」「あなたが一番パフォーマンスを出せるのはどんな環境ですか?」はいい質問だと思いますね。
桂: ありがとうございます。その辺りにはその人のキャラクターが出ますよね。
増井: 実際トレタでも、選考で本の話をしているんです。思考の仕方の背景は、やっぱり好きな本に出る傾向があるので。採用媒体に出すときは本を載せていますよ。
- 37signals本 (Getting real, RE:WORK)
- How Google Work
- ハッカーと画家
- Joel on Software
- 闘うプログラマー
- Team Geek
- リーンスタートアップ
- 人月の神話
桂: いいラインナップ。
増井: 最初はもっと多かったんですよ。そしたら「意識高すぎて怖い」って言われて(笑)
桂: あるあるですね(笑)『リーンスタートアップ』と『闘うプログラマー』が両方入っているというのが、両極端で面白いですね。
増井: 『闘うプログラマー』は僕のイチオシです。
桂: 渋いですね(笑)
増井: あと、僕らにとって、仕事時間外にコードを書く人かどうかは大事なポイントなんです。土日に手を動かして自分で何か試してみたりとか。そういうのが全くない人は合わないと思うんです。だから2週間に1回くらい、僕もみんなもオフィスでもくもく会をしているんです。それは僕が言いだしたわけではなくて、他のメンバーが勝手にやり始めて、みんな参加するようになったという感じ。結局家に帰ってもやるから、どこでやっても同じだし、聞ける人もいるからいいよねって。こういうのは、会社の文化として作っていきたいんです。
目指すのは個の強さから、チームで強さを発揮できる開発体制
桂: では最後に、読者のみなさんに伝えたいことがあればぜひ!
増井: トレタは今、フェーズが変わってきているんです。今までは少数精鋭!って感じだったんですが、今は映画の『アベンジャーズ』みたいな組織を目指したいなって話していて。
桂: 『アベンジャーズ』というと?
増井: 『アベンジャーズ』はとてつもなく強い敵を倒すために、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどのヒーローを集めてチームを結成し、力を合わせて戦う、という映画なんです。トレタも、まさにそれと同じチームのあり方を目指していて。一人一人がすごく強いけれど、その強い人達がチームになったら、個々人の力じゃ解決できないもっと難しい課題解決できるよね、と。トレタはiPadアプリ以外にも複数のプロダクトが立ち上がり始めているので、これまでの経験を元に成功を連続させることができるチームを作ろうとしています。個の力だけでは達成できない、大きなビジョンを実現したいという人は、ぜひドラフトを通じてお会いしたいので、参加してください!とお伝えしたいです。
桂: 本日はありがとうございました!
増井: ありがとうございました!
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