「実力が正当に評価される世界を作る」。転職ドラフトの信念

2017-04-04 16:00

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2016年3月にサイトローンチした「転職ドラフト」。野球のドラフト会議のようなイベントがweb上で開かれ、企業がユーザーを競争入札をするのが特徴だ。企業からユーザーにオファーを出すことを「指名」と呼ぶが、転職ドラフトでは指名時に年収が提示される。なぜこのサービスを作ったのか、何を重視し進めているのか。そのこだわりに迫る。
(※リブセンス社内用インタビューを転用しています)

転職ドラフトメンバー紹介
松栄友希: プロジェクトリーダー兼ディレクター。2011年リブセンス入社。子育てしながら働く1児のママ。
マコト: サーバーサイドエンジニア。2010年リブセンス入社。企画から開発まで幅広く手がける。
千田拓治: 営業。2015年リブセンス入社。営業戦略、営業商品設計、顧客開拓などを担当。社内の超愛されキャラ。

「転職先の年収が実力に応じて決まるわけではない」のはおかしい!転職市場のあたりまえを見直す

- さっそくですが、なぜ転職ドラフトを作ろうと思ったんですか?

マコト: まずメンバーですが、リブセンスで古くから転職サイトを作っていた僕と松栄さんの2人と、人材領域の仕事に熱意を持っている千田さん。この3人が、「転職市場で当たり前になっているけど、なんで?おかしくない?」と感じていたことを、変えていきたいと思って作ったのが転職ドラフトです。

- どんな「あたりまえ」があるのでしょうか?

マコト: そうですね。たとえば、一般的な『転職時の年収の決まり方』ってご存知ですか? 実力で決まっているわけではないんです。たいてい現年収をベースにして金額が決まります。なので、実力がどうであれ、現職で買い叩かれていたり、会社業績が悪かったために年収が上がらなかったりすれば、転職後も上がりづらいわけです。これはおかしいな、と。

松栄: そう、だから私たちは「実力が正当に評価される世界を作る」というビジョンを掲げて、サービスを作ってきました。そのため、転職ドラフトでは、ユーザーから現年収を聞かないんですよ。つまり企業には、現年収以外のレジュメ情報などから実力を推し量り、年収を提示してもらっています。

千田: この「現年収を聞かない」を決めるときは、チーム内でも非常に揉めました。仕様を決定する前に企業にヒアリングをしたところ、どの企業に聞いても「現年収がないと年収は決められない」と言われたからです。確かに転職業界においては常識はずれの行為です。だから、最初は営業として絶対OKを出せませんでした。どの企業も指名しなくなるよと。

マコト: ただ、それでは実力が正当に評価され、適正な年収が提示される世界は作れない。お互いに絶対譲りませんでしたね。

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- どうやって落ち着いたんですか?

松栄: 現年収は聞かずに、希望年収を聞くのではどうか、という話が出たんです。

マコト: 完全にフラットに実力を評価される方がいいと思っていたから、入れたくなかったんです。でも、完全フラットを全ての人が望んでいるか、というと違うかもしれない、ユーザーの希望が叶うならあってもいいかもしれないと思い、入れることにしました。ただ、純粋に市場価値が知りたいよ、という人もいるから、希望年収は今でも任意項目です。

千田: ただ希望年収はまだ課題もたくさんあって。希望年収の扱い方が企業によって結構違うんですよね。希望年収を基準に提示年収を考える、という企業もあれば、希望年収を全く見ていないという企業もある。

松栄: ユーザー側からしても、自分の市場価値がわからずに、低めの希望年収を入れてしまっている人が低めの金額で指名されていたり、逆に希望年収が高すぎる人は指名されなかったりと、課題はたくさんあります。企業は、希望年収が高すぎる人は「この人はうちの年収帯で指名しても承諾しないだろうな」と思っちゃうんですよね。でも、ユーザーさんに対して希望年収を「こういう金額で入れてください」と私たちが指示するのは、提示年収を操作してしまうことにつながりかねない。ここに対しては、上手い解決策がまだ見つかっていないんです。

- 奥が深いですね。純粋に実力で評価されることにこだわってらっしゃるんですね。

マコト: そうですね。他にもいろいろあります。例えば、ITエンジニアとしての実力に、性別も本来関係ないはずだと思っているんです。だから取得していません。また、年齢もある程度わかれば充分なはずだから幅でしか提示していません。前職や学歴は多少関係するかもしれませんが、前職がここだからイコール実力が高い、とはならないはずなので、企業には学歴フィルターのような機能を提供していません。

- 提示年収が市場価値以外の要素で決まることを極力避けているんですね。

千田: そうです。これは企業への商品設計でも同じです。最初は人材紹介と同じように、入社時年収の30%のフィーを企業からもらう、という年収に比例した料金体系を考えてたんですが、やめました。なぜなら、フィーを抑えようとして、企業が提示年収を低めに出す、という可能性があるからです。それでは「実力が正当に評価される世界」というビジョンに反してしまう。だから結局、企業が払う成果報酬額は固定金額制にしました。

マコト: この辺は絶対に譲れないポイント。フィーのためにその人の年収が下げられたらたまったもんじゃないですからね。「なんでその人の年収の高低で仲介業者の報酬まで変わるんだよ!」って思ってました。

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KPIを下げる施策もガンガン行う。本来どうあるべきかを追求

- では今度は、プロダクトを作る上でのこだわりを教えていただけますか?

松栄: KPIを下げると予想される施策もガンガンやって来たのが特徴ですね。転職ドラフトは、参加企業数や参加ユーザー数、指名数、承諾数、採用数などをKPIにしているんですが、KPIよりユーザー体験を重視しています。

マコト: そう。KPIは目標じゃなくて指標ですよね。例えば、僕らは採用成功報酬型なので、売上を上げるなら採用数を増やしたい、となれば参加者数や指名数のような数値を上げようとするのが一般的ですが、僕らは逆に指名数が減りそうなことをたくさんしました。

- 例えばどのようなものですか?

マコト: まず、ほとんどの転職サイトの企業管理画面にある、指名の一斉送信機能は転職ドラフトにはありません。また、テンプレート機能はあるけれど、勤務地などの一部の項目にしか使えなくて、指名理由などのフリーテキストは一人ひとり個別に書かないといけません。効率的に指名を打てるような仕組みは一切ないんです。こういう仕組みにしたら、フリーテキスト欄をコピペする企業がいたので、複数回同じ文言を使うとその文言はエラーになって使えなくなるという仕様を追加しましたね。

- それは…指名はたくさん打てなさそうですね。

マコト: でも、本質的にはそうであるべきなんですよ。一人ひとりをちゃんと見て、自社に合うか、何を任せたいか考えて、個別のメッセージを送るべきです。実際、指名理由のあるなしで承諾率に差が出たんですよね。だから翌回から指名理由の記載を必須にしました。やっぱり、自分のレジュメをちゃんと見てくれていることがわかり、なんで指名したのかがわからないと、人は返事をしませんからね。

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- なるほど。

マコト: 僕は、転職市場によくある負のサイクルをやめたかったんです。企業はスカウトメールを大量に配信し、ユーザーは読まず、返事がないから企業はさらに大量に配信する。そしてそれで得をするのは転職サイトだけ、という構造。これが大嫌いだったんです。

松栄: 指名数が減るからこの施策はどうなのか、という議題は何度もあがったけれど、本質的なのはどっちだって毎回話しましたね。結局、これらの施策で指名数は減ったけれど、一番最後の数字である採用数は上がりました。私達は間違ってなかったと思っています。また最近、ユーザーの参加もオプトアウト(不参加に変更するまで自動的に継続参加)からオプトイン(参加表明したときのみ参加)に変更しました。これで参加ユーザー数はグッと減る予想だけれど、本来、参加意思のない人を無理に参加にさせても意味はないはずなので、きっと良い結果が出ると思っています。

千田: このオプトインへの変更は企業からも賛同する声がほとんどです。なぜなら、企業も参加意志のある方を優先して指名したいと考えていたから。企業側とこういうコミュニケーションがとれるようになってきたのも、一つの成果だと思っています。

次記事は、 指名されるITエンジニアや選ばれる企業の違いとは?転職ドラフトの指名の裏側に迫る! のお話です。ぜひそちらもご覧ください。

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