2016/09/17

チャットワークの存在意義を自分達で体現する〜第2創業期を迎えたChatWorkの戦略

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日本発のWebサービスで、世界で成功している例はまだまだ少ない。大阪、東京のほかにシリコンバレー、台湾に拠点を置き、昨年から今年にかけて大規模な資金調達をしたChatWorkは、どのような戦略で世界を獲ろうとしているのか。また、同社は2009、10年と2年連続で社員の満足度日本一に輝いたことでも知られる。そんな同社がプロダクトを通じて実現しようとしている「働きやすさ」の本質とは何か。開発本部長の春日重俊氏に話を聞いた。

春日 重俊
ChatWork株式会社 開発本部本部長
明治大学経営学部を卒業後、電通国際情報サービスに入社し、大手企業の基幹会計システム導入を複数社経験する。
その後、リクルートに転身する。主に日常消費領域の新規事業の業務に従事し、組織マネジメント・サービス企画・BPRなどの経験を経て2016年1月にChatWork株式会社に入社。現在は第2創業とも言えるChatwork全体の開発組織を統括して組織全体の生産性を向上させるべく日々邁進している。

「日本発世界」を本気で目指すChatWork

――ChatWorkさんはなぜシリコンバレーに拠点があるのでしょうか?

ChatWorkの前進であるEC studioは、中小企業向けに先進プロダクトを紹介する「ITのセレクトショップ」として始まりました。ただ一方で、創業者である山本の胸の内にはずっと、自社プロダクトで世界で勝負したいという思いもあったんです。チャットワークはリリース当初から世界展開を視野に入れ、サービスコンセプトからUIに至るまで、グローバルスタンダードになることを意識して作っています。そこから拠点を置くに至りました。

――いきなりシリコンバレーはなかなか厳しいと思いますが、それでも拠点を置くのですね

そうですね。生存競争の激しいシリコンバレーでは、日常的に最新のプロダクトの情報が飛び交います。ヒト・モノ・カネ・情報が集まるIT最先端のシリコンバレーでサービスのアイデアや仕様設計を行い、その設計を基に緻密で正確なモノづくりが得意な日本ではサービスを作り、世界で売るという日本とアメリカの強みを生かした“ハイブリッド開発”を採用しています。この製品開発方法を行うことによって、世界標準となるサービスの開発・提供・販売を実現しています。

2012年からもう4年ほど拠点を構え、代表取締役である山本(敏行氏)自ら常駐しています。シリコンバレーにこれだけ長く腰を据えている日本のIT企業は、他にないのではないでしょうか。世界展開を見据える上での弊社の強みであり、本気度の表れでもあると思っています。

――なるほど。

現在の主要プロダクトである『チャットワーク』はもともと、大阪と東京に分かれて開発していた社内のコミュニケーションツールとして、専務取締役でCTOの山本(正喜氏)が開発したものです。それが、取引先の中小企業に紹介したところ、思った以上に引き合いがありました。

今でこそ激選区になっていますが、リリースした2011年当時はまだ、ビジネス向けのチャットサービスがほとんどなかった。これなら世界で勝負できるのではということでサービスを一本化し、社名もChatWorkと改めたんです。

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――本気度を裏付ける思い切った決断ですね。

日本発で世界で勝負できるプロダクトはまだまだ珍しいです。実際、『チャットワーク』はすでに205の国と地域で使われています。世界で戦える土壌にある環境だったことは、私がJoinした理由でもありますね。

シリコンバレーの最新トレンドを感じながら開発できる

――シリコンバレーに拠点があることは、エンジニア目線でいうとどんなメリットがありますか?

まず、向こうのスタートアップとの交流から、プロダクトに関しても最新の情報が仕入れられるので、日本ではおそらくまだどの企業も導入していないであろうツールをいち早く導入して、開発を効率化することができます。

――日本では話題にものならないような情報の少ないものとか?

はい。例えば、AWSのエンジニアがスピンアウトして立ち上げた『Neptune』というインフラの自動化ツールは、まだ日本語の情報自体どこにも出回っていないと思います。

――Neptuneはどのようなものか教えていただけませんか?

弊社のプロダクトはサービスの性質上、急激にトラフィックが増大し、インフラエンジニアが夜間に叩き起こされるということもしばしばあります。そうした場合に、障害があったら電話で通知するというアクションをすべて自動で行ってくれるのが、この『Neptune』です。

従来ChatWorkで使っていたツール・サービスは、異常検知から通知までしかカバーできておらず、本番環境にフィードバックを施さなければ行けない異常については、運用者の介在が必要になっていました。Neptuneの革新的な所は、異常検知から通知、さらに本番環境にフィードバックを施して、調査内容や修正方法を記録するところまでをカバーしている、つまり人手が要らないオペレーションフローの構築を可能にしようとしているところです。

現在ChatWorkではNeptuneを使って、軽微かつよく起きる障害パターンの障害への対応を自動化し、運用者の時間を軽減する取り組みを行っているのです。

――シリコンバレーと国内の交流ってあるんでしょうか?やはりアメリカで働きたいというエンジニアは多いかと。

開発部隊の拠点は基本的に国内ですが、エンジニアが直接シリコンバレーへ行って最新トレンドに触れる機会もあります。「シリコンバレー合宿制度」という制度がそれです。不定期開催で、プロジェクトの立ち上げフェーズなどは1週間程度チームで向こうへ行き、企画からオペレーションまでを現地で決めるミニ合宿のような形をとることがありますよ。やっぱり直接会って話した方が早いということもありますからね。また、現地のスタートアップと交流したり、GoogleI/OやAWS Summitなどのイベントに出て勉強することもできます。

――おお、制度化されているのですね。

ええ。現地から持ち帰ったエッセンスは、月に1回開催している社内勉強会でチームの他のメンバーに共有するようにもしています。

――今「直接あって話したほうが早いこともある」と仰いましたが、リモートワークについて伺っても良いでしょうか?

現在弊社では広島、山口、神奈川などにフルリモートのメンバーがいますね。家庭的事情などを考慮した上で勤務体系は柔軟に決めています。

より多くのユーザーにより長く使ってもらえるプロダクトを開発するためには、開発する側にも年齢、ライフステージ、働く場所など多様性が必要だと思っています。いろいろなバックグラウンドを持ったメンバーがそれぞれの視点を持ち寄り、それをまとめた時にプロダクトの価値を最大化できる。リモートワークも、そのための一つという認識です。

――個々に合わせた柔軟な形をとってるのですね

一方でface to faceのコミュニケーションは絶対に必要だというのが弊社の考えでもあります。特に物事を形にする瞬間は、画面だけでは伝わらないことも多く、ホワイトボードを駆使するなどしないといけない。そんな時は普段はリモートでやっているメンバーも、必ず顔を合わせて話を進めるようにしています。

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ChatWorkが実現しようとしている「働きやすさ」とは?

――柔軟な体制の話から続けてなのですが、社員の満足度が高いと聞いています。これはそうした取り組みもあってこそでしょうか。御社の考える「働きやすさ」とはどんなものでしょう?

弊社は「Make Happiness」という理念に基づいた経営をしています。ITを通じて幸せを作り出すこと。それはプロダクトを通じて社会に生み出す価値でもあるし、自社の社員の働き方についても言えることです。

――Make Happinessですか。ちょっと抽象的ですね。

そうですね。ここでいう幸せとは、経済的な豊かさ、時間的なゆとり、円満な人間関係の3つからなると定義しています。なので、社内にもそれに合わせた制度があるんです。

例えば、僕らの目指す世界のためには、円満な人間関係も重要だと考えています。なので、月に4000円分、社員同士がランチへ行って交流するための補助が出る、とか、時間的ゆとりでいえば、GW、夏休み、年末年始と年に3回の大型連休がちゃんと取れる、といった感じの制度を置いています

――意地悪な質問ですが、会社によっては有給が有名無実化しているところも多いですよね。実際に休めるものなんですか?

そうですね。会社としても有給を使いなさいというスタンスで、休んでいなければリマインドされますし、社員の側も積極的に消化していますね。僕自身も前職では休みなどなく猛烈に働いていましたから、入った直後は結構なギャップに驚きました。

――運用がきっちりされていると。

先日の台風の日も、誰がどう見ても会社には行けないような状況でしたよね? それでも日本の企業には、出社しなさいというところが多い。弊社は当たり前のように、その日の朝に出社するなという連絡がありました。

そうやってちゃんと実行できているのは、やはり先ほどあげた理念に共感して入っている人が多いからではないでしょうか。

――休んでばかりでは成果がでないのでは?と思ってしまうのですが…

もちろん、その裏側では短い労働時間でもきっちり成果を出すことが必要ですし、社員がどこにいても仕事が成り立つような制度や仕組みが整っていることも不可欠です。

私たちがプロダクトを通じて実現したいと思っているのも、そういう世の中なんです。チャットでも仕事ってできますよね。だからチャットワークを作っているんですよ。

――すごく納得しました!

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勝負の第2ステージへ

――さて、大規模な資金調達も経て、ChatWorkは今どんなフェーズにあるのでしょうか?

創業以来、自己資金だけで運営するというルールの下にやってきていて、ほとんどオーガニックで成長を続けてきたのがこれまでの歩みです。そのため、組織的にも社員のほとんどがエンジニアという状況でした。

それが昨年と今年に渡り大きな資金調達をして、ちょうど今、第2創業期に入ったところです。昨年までは社員30人程度で経営を続けてきましたが、この1年で77人まで倍増し、開発本部だけでも35人まで増えました。

――急激な増え方ですね。そこまでして増やすにはなにか理由が?

今、ビジネスチャットはリリースした当時とは比べられないくらいホットな領域になっています。ここから海外を本気で取りに行くのには、これまで通りのプロダクト任せでは難しい。

現状でもかなりのユーザーに使ってもらってはいるのですが、資金調達して組織を拡大したというのは、そこそこの成功で満足するのではなく、勝負する道を選んだということです。チャットワークを世界へ普及していくためには、企業スケールや資金量が足りないと気づかされたのです。自己資金を貫くスタイルを維持しこれまでの市場に甘んじるか、資金を入れて一気に勝負に出るか。ChatWorkは後者を選択しました。すでに海外では台湾やベトナムで販売代理契約を交わすなど、新たな施策も実行に移しています。

――組織はうまくワークしていますか?

そうですね。開発組織のあり方も、今まさに改革を進めているところです。僕がこの会社に入ったのもその一環と言えます。

それまでは専務取締役でもあるCTOが開発組織のトップにいて、残りは現場のエンジニアという組織でしたが、それではうまくいかなくなってきた。そこで今は、プロダクトごとのチーム制を敷き、自分と副本部長がミドルマネジメントを行うことで、役員や他部署との折衝などを巻き取る形に変更しました。

組織のあり方や人事制度はまだ最適な形を模索している段階ですが、その点で弊社に特徴的なのは、チーフラーニングオフィサー(CLO)という役職を置いていることです。

――CLO?

大きな会社でいうところの人事部長のような存在ですが、このCLOが、組織のフェーズに合わせて、どんな制度が良いのか、どんなマネジメントをすべきなのかといったことを、各マネジャーにフィードバックしてくれるんです。これは、弊社のような規模のベンチャーには珍しいことなんじゃないでしょうか。

――なるほど。では最後にそんな御社に合いそうなのはどんなエンジニアでしょうか?

弊社のエンジニアに共通した特徴として、人と接するのが好きな人が多いというのは言えると思います。普段は口下手だったり朴訥としたイメージの人でも、いざ人に何かを教えると、上手だったりする。コミュニケーションに芯のある人が揃っている印象です。

幸せに働くために、コミュニケーションは非常に大切な要素。採用過程で1日体験入社を設けているのも、そこを測るためです。1日一緒に働くと、その人のコミュニケーションのくせがだいたい分かります。スキルはもちろん、そうしたクセも含めて一緒に働きたい人かどうか、配属先となるチームのメンバー全員がOKした人だけを通すようにしています。

エンジニアによっては自分の仕事だけに専念するというタイプの人もいると思いますが、コミュニケーションをより良くしていくというところに、本当の意味で共感している人にぜひ入ってもらいたいですね。

――ありがとうございました!

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