オンラインDVDレンタルサービス事業に始まり、通販、ゲーム、英会話、FXと、多角的なビジネスを展開してきたDMM.com。モノづくり拠点『DMM.make AKIBA』の設立、スマートロボットキャリア事業とさらなる拡大を続ける。これらの新規事業を次々にリリースできたのは、DMM.comラボという強固な開発体制があるからだ。中で働くエンジニアから見たDMM.comラボの魅力とは? 前編となる今回は、システム本部ビッグデータ部副部長の勝部公彦氏に話を聞いた。
株式会社DMM.comラボ
システム本部ビッグデータ部副部長
勝部 公彦(かつべ きみひこ)
SIerにて主にWEBアプリケーション開発に携わり、PG~PMとしてのキャリアを積む。
医療・介護分野の事業会社で開発組織の管理職を経験した後、エンジニアとしてのキャリアを再度積みたくなりDMM.comラボ社に2015年夏に入社。
入社まもなくビッグデータ部の立ち上げにjoinし、発足後はマネジメントに従事。
オンプレミスのHadoop環境でビッグデータ解析。技術的挑戦のしやすい会社
Q:勝部さんが所属するビッグデータ部とはどんな部署ですか?
システム本部は、事業単位でサービス開発を行っている「事業サービス開発部」や、すべての事業で共通して使う課金基盤などを開発している「プラットフォーム開発部」などさまざまな部門からなるのですが、ビッグデータ部はこれらの部署からデータを収集し、売り上げアップに利活用することをミッションとする横串の組織です。昨年12月に正式に立ち上がり、現在30人強のメンバーが在籍しています。
Q:立ち上がってまだ半年と、比較的新しい部署なんですね。
DMMはこれまで、データ活用のための専門部署がありませんでした。事業によっては非常にコンテンツの力が強く、そう言った事をしなくても十分売り上げが立っていたので。ただ、当然ですがもともと売れていたものも、データを活用すればさらなるドライブにつながる可能性がある。そのために部として立ち上げることになったのが、ビッグデータ部です。
Q:具体的にはどんな取り組みをしているんですか?
現状でもっとも売り上げにつながっているのは、レコメンデーションです。DMMではWeb解析ツールを自作していて、それを使って各サービスのユーザーの行動ログを取っています。これらを一元化してビッグデータとして解析し、各事業にデータとしてフィードバックするということを行っています。
より具体的に言うなら、Hadoop環境をオンプレミスで抱えていて、Hive、Sparkなどを用いて機械学習の処理を行っています。現状のレコメンドは1日1回の集計にとどまっているのですが、今後はリアルタイムに集計を行うことにより、即時でレコメンドされる商品が更新されるようなチャレンジもしていく予定でいます。
使っている技術は非常に汎用的だし、最近のトレンドにも合致していると思います。一つひとつの技術選定に関しては基本的にエンジニアの裁量に任されてもいるので、こうした領域に関心のある人にとって、とてもやりがいのある環境と言っていいのではないかと思いますね。
SIer出身者も在籍。事業が幅広いから、さまざまな人が活躍できる
Q:どんな条件を満たした人なら活躍できそうですか?
例えば、これまではHadoopの運用保守を行っていたというような人であっても、スキルを伸ばすための学習コンテンツが社内にあるので、問題なく活躍していただけると思います。適性次第では、その後、機械学習やアナリストといった方向にキャリアを伸ばすことも十分に可能です。
言語に関しても、フロントエンドは現状、Node.js、Scalaといったところを使っていますが、必ずしも使用経験は必須ではありません。私自身も前職で使っていたのはJavaやPHPが主で、入社した直後はすべてが知らない言語で動いているのを見て面食らったものです(笑) なので、他の言語で活躍してきたという方であれば、応用という形で足りるかと思います。もちろん、経験があるというのに越したことはないですが。
Q:ビッグデータ部以外に関してはいかがでしょう?
動画配信からソーラーパネルまでと、扱っているプロダクトが非常に多いのが弊社の特徴。だからこそ、さまざまなバックグラウンドの人が活躍できる余地のある会社だと思いますね。やはりWebサービスをやってきた人が多い印象ですが、サーバサイドを中心にやってきた人もいます。課金基盤を作る部署などでは、金融系システムを作っていた経験がかなり活きるといったケースもあるようです。
会社全体が急速に組織を拡大しているフェーズにあるので、特にグループやチームのリーダーとして引っ張っていってくれる人を求めています。プロジェクトマネジメントなどのリーダー経験をお持ちの方であれば、非常にマッチするでしょう。
プロジェクトをどう推進していくかは社内でも強化しようとしている部分なので、体系的に学ぶための社内勉強会を設けたりもしているんです。
「なんでもあり」の自由な社風。一社員のアイデア全てを経営会議で真剣討論
Q:他社と比べた、御社ならではのやりがいはどんなところにありますか?
ビッグデータ部で言えば、まだできたばかりの部署なので未整備な部分が多いというのが実状です。裏を返せば、意志を持った人であればいかようにも変えられるというところは魅力だと思います。極端に言えば、必要とあれば部門そのものを新たに立ち上げることだってできますから。
というのも、実はビッグデータ部そのものがそういう経緯で立ち上がっているんです。もともとはCTO室内でR&D的に検索エンジンや行動解析基盤、レコメンドエンジンなどを作っていたのですが、想定していた売上貢献という実績を出すことが出来たためある程度の成果が出たということで、より本格的に行うために自分たちから専門部署の立ち上げをCTOに提案をしに行きました。そうしたところ会長である亀山へ直接提案をする機会を頂け、決裁を得ることで立ち上げとなりました。
Q:経営陣との距離が近いんですね。意見が通りやすい社風と言えそうですか?
そうですね。CTOがよく言うのは、DMMは「いい意味でなんでもあり」の会社だということです。ビッグデータ部で言えば事業の売り上げを向上させること、プラットフォーム部で言えば安定してカタイものを作ることといったミッションに反しない限りであれば、何をやってもいいというカルチャーがあります。
そうした文化を体現する特徴的な制度として、「DMM.idea」というものがあります。新規ビジネスから業務の効率化まで、あらゆるアイデアを社員であれば誰でも書き込むことができるという、オープンな掲示板のようなもの。ここに書き込まれたアイデアは全て、一件一件、経営会議で真剣に議論してもらえます。ここから実際の事業につながったケースもあるんですよ。
社員2000人規模の普通の会社であれば、一社員の上げたアイデアが経営陣に真剣に議論してもらえるというのはなかなかないのではないでしょうか。自分の上げたアイデアが会議の中でどう扱われたのかはすべて確認できますし、オープンになっているので、他の社員からコメントがつき、そこからさらなるアイデアにつながるといったこともあり得るんです。
Q:最近はどんなアイデアが盛り上がっているんですか?
先ほども言ったように最近は急速に組織の人数が増えてきているので、社内制度をどうすればいいかという議論が活発になっている印象ですね。弊社ではそもそも経営会議の模様をビデオで公開しているのですが、これまでは非公開だった一部の部署についても、ここで出された意見がきっかけとなってオープンになりました。
エンジニアもアフリカへ。急成長の過渡期だからこそ、自分次第でいかようにも変えられる
Q:あらためてDMMの強みとは?
やはりやっている事業の幅が広いことでしょうね。私自身がこの会社に転職したのも、いろんなビジネスモデルに触れることができるというのが大きな理由でした。新規事業は今もどんどん立ち上がっていますよ。
最近で言うと、アフリカ進出のプロジェクトは世間でも話題になりましたね。現時点で何かはっきりとした事業があるわけではなく、アフリカへ行ってみてビジネスモデルの種を見つけてくるという話ですが、職種に限りはないので、エンジニアであっても手を挙げれば行くことができます。
今回は25人の応募から9人が選ばれ、実際にアフリカへ渡ったようです。このように、情熱とちょっとした素養さえあれば、新規ビジネスに携わる機会がたくさんあります。技術的にもビジネス的にもチャレンジできる、チャンスが多いところがこの会社で働く最大の魅力ではないかと思います。
この自由さは、上場していないからこそというところもあるでしょうね。上場していると四半期毎に成果を求められたりしますが、長期にまたがる投資も可能です。製造・流通を支援するサービス『DMM.make』などはその典型だと言えるでしょう。
Q:では、最後にユーザーに向けてメッセージをお願いします。
DMMは今、過渡期にあります。私が入社した1年前と比べてもエンジニアが50人以上増えているし、売上も増えて、事業を拡大するフェーズにもある。急激に大きくなったからこそ、社内の制度はもちろんですが昔に作ったシステムなど技術的にも未熟な部分もあります。
なので、こういう組織にしたらいい、こういう取り組みをするべきだというアイデアをお持ちの方にはぜひジョインしてもらって、一緒により良い会社に変えていきたいと思っています。その意味では、いろいろ決まっていないと動けないという人よりは、自分から動ける人の方がマッチするでしょう。
これだけの規模にありながら大きな裁量権を持ってやれる会社はなかなかないと思うので、そういう部分にやりがいを感じる人にぜひ来てもらいたいと思います。
文:鈴木 陸夫