黙々と作業するイメージを持たれがちなエンジニアですが、実際には周囲の人と関わりながら仕事を進めていますよね。
だからこそ、「もっと居心地のいいチームで開発したい。自分になにかできないだろうか」「自分の考えを他の人にもっと分かりやすく共有できたら…」と思うこともあるのではないでしょうか?
もしかすると、その課題を解決するヒントは、ソフトスキルに関係しているかもしれません。
ソフトスキルは、仕事をする上でとても重要です。
しかし、定量的に測れないものが多く、その定義や解釈は人によって異なることも。
そこで今回は転職ドラフトのデータから、 エンジニアに必要なソフトスキルや、どのようなソフトスキルを持つエンジニアが評価されているのか を探っていきます。
この記事が「これから身につけていきたいソフトスキルとは何なのか」を見つけるきっかけになると嬉しいです。
エンジニアにとってのハードスキルとソフトスキル
エンジニアのスキルといわれると、プログラミング技術やシステム設計などの専門的な能力や知識を想像する方が多いと思いますが、それらは一般的にハードスキルと呼ばれています。例としては以下のようなものが挙げられます。
ハードスキルの例
- データベース管理
- ネットワークセキュリティ
- ユーザーインターフェース設計
- モバイル開発
- プログラミング言語
- サーバー保守
- 機械学習
ハードスキルはエンジニアとして働く上での基本ですが、キャリアアップした先や、仕事をスムーズに進めようとする場面では、その他のスキルが必要になる場面も多くあります。
それが「ソフトスキル」と呼ばれるものです。
ソフトスキルは職種に関わらず求められるスキルですが、実際にはどのようなものがあるのでしょうか?
まずは、代表的なものを見ていきましょう。
ソフトスキルの例
課題解決力 | 適応力・戦略的思考・情報分析力 |
対人スキル | 協働力・説明力・交渉力 |
発想・想像 | 柔軟性・創造性 |
ビジネススキル | 読解力・文章力・プレゼンテーション能力・コスト管理 |
セルフマネジメント | メンタルケア・タイムマネジメント・メタ認知 |
ここに書き出したのはほんの一部に過ぎませんが、それでもだいぶ多い印象を受けます。
対人スキルやビジネススキルなどは社会人に必要なスキルとしてよく取り上げられますが、それはエンジニアにとっても例外ではありません。
例えば、1つのWebシステムを作るにしても、そこにはデザイナーやディレクター、他のエンジニアなど複数の人が関わります。
チームメンバーと円滑に作業を進めるためには、自分たちの知識を噛み砕ける説明力、上長や関係者にチームの希望する案をプレゼンテーションする能力や交渉力など多くのソフトスキルが役立ちます。
また、対人関係だけでなく自身のメンタルケアやタイムマネジメントもソフトスキルの一つであり、その種類は多岐にわたります。
もちろんすべてのソフトスキルを身につけた完璧なエンジニアなんて存在しませんし、そもそも誰しも得手不得手があります。
職種や役割によって重要視されるソフトスキルにも違いがあるので、一概に「このスキルが必須です」ともいえません。
さて、次の章からはいよいよ転職ドラフトのデータから実際に評価されたエンジニアのソフトスキルの傾向を見ていきましょう。
700万円以上の指名を受けた人が持つソフトスキルとは
転職ドラフトのレジュメには、「自信を持って人より秀でているといえる点は?」という質問があり、12の項目から3つまで選べるようになっています。
今回は、平均提示年収よりも高めの年収で指名されている方の結果を集計してみました。
(2021年11月回の平均提示年収は696万円)
人より秀でているスキル | 割合 |
---|---|
問題解決力 | 26.7% |
学習能力 | 23.8% |
責任感 | 15.1% |
分析力 | 11.6% |
調整力 | 7.7% |
巻き込み力 | 6.4% |
企画立案力 | 3.1% |
プレゼン力 | 2.7% |
交渉力 | 1.0% |
人を集める力 | 1.0% |
経営判断力 | 0.8% |
営業力 | 0.2% |
1位は問題解決力、2位に学習能力、3位が責任感 という結果になりました。
正直、ここまで差が出るとは思いませんでしたが、学習能力が上位にくるあたりは、目まぐるしく変化する技術やトレンドを学習し続けることが求められるエンジニアの特徴が強く現れていると感じました。
また、トライ&エラーを繰り返しながらシステムを作りあげるエンジニアにとって、 問題解決力や分析力は重要なソフトスキル であることもうなずけます。
逆に営業力はエンジニア界隈ではさほど重要視されていないように見えますが、周りが持っていない能力だからこそ評価されることも。実際、過去にはエンジニアスキル+営業経験が評価された指名もありました。
また、転職ドラフトには「エンジニアとしてのあなたの強み、他人から評価されているポイントは何ですか?」という自由記載欄があり、ハードスキルやソフトスキル、その他の経験を自由に書き込むことができます。
ここでは先ほど登場したソフトスキルのほか、キャッチアップの速さなどを記載している方が多く見られました。
その他にも、暗黙知を言語化して共有する力や、期待値調整力、セルフブランディングなど思い思いの内容が並びます。
自由記載の部分を読んでみたところ、ハードスキルとソフトスキルの記載量は半々くらいのようです。
どうしても技術力に注目が行きがちなエンジニアのスキルですが、エンジニアのみなさんがソフトスキルの重要性を理解した上で、アピールしている事が伝わってきます。
マネジメント力について
キャリアアップに必要なソフトスキルとしてよく挙げられるマネジメント力ですが、実際のところはどうなのでしょうか?
レジュメのマネジメント欄から少し調べてみました。
転職ドラフトの指名で最も多い年収帯は600万円台ですが、マネジメント力を記入した方の約68%は700万円以上で指名を受けていました。
この結果からも、 キャリアアップとマネジメント力には一定の関係性がある といえます。
内容を詳しく見ていくと、700万円以上で指名された方の多くは、5人以上のチームマネジメントを行っている方やプロダクトマネージャー・エンジニアリングマネージャーの経験者が多いようです。
ただし、経験とスキルはイコールではないことは忘れてはいけません。
どんな規模のチームを、マネジメントによってどのような状態に導いたのか。
どんな課題をどのように解決し、その成果として何を生み出せたのか。
定量的に伝えづらい マネジメント力などを評価されているエンジニアの多くは、難易度や成果、役割が伝わるエピソードを記載している ことがレジュメからはわかります。
まとめ
エンジニアとして活躍するために、ハードスキルをしっかり身につけておくことが重要であることに変わりはありません。
しかし、スムーズな開発や自身のキャリアアップのために、ソフトスキルが必要になってくる場面も必ず訪れるでしょう。
仕事をする上で、「これは必要ない」というソフトスキルはありません。
自分自身が気持ちよく仕事を続けていくためにも、今持っているものを活かしながら、新しいスキルの習得に自分のペースでチャレンジしてみてください。