ITエンジニアは海外の文献やエラーメッセージなどで、普段から英語に触れる機会が比較的多く、ある程度の読み書きができるという方も少なくありません。
さらに、近年はオフショア開発や海外向けプロダクトの開発の増加から、より高度な英語力が求められる機会も増えています。エンジニアのみなさんも同じように感じることがあるのではないでしょうか?
しかし、企業側が実際にどの程度の英語力を求めているのかや、実際に業務で英語を活用しているエンジニアの英語力などを知る機会はなかなかありません。
この記事では、転職ドラフト登録者の公開データから、エンジニアの英語力について調査してみました。
エンジニアに英語力は必要なのか?
まずは転職ドラフトのデータや指名データから、英語力需要について見ていきましょう。
1つ目は多国籍の開発組織を保有する企業の増加です。
Googleなどの世界的大企業が競合となる企業を中心に、国籍を問わないグローバルな採用活動が広がっています。転職ドラフトの参加企業においても多国籍な開発組織を持つ企業の割合は、2016年の4%から2021年は11%ほどに増加しました。
さらに、「海外向けプロダクト(英語版対応)に着手するために英語力のあるエンジニアを探している」という企業が転職ドラフト内でも見られました。
社内公用語を英語とする企業も出てくるなど、仕事を進めるうえで英語力を必要とする企業は増えており、英語力があることで職場や仕事の選択肢は確実に広がります。
実際にも以下のようなことを期待する声が見られました。
また、指名データのなかには、英語での情報キャッチアップを評価対象とするという企業もありました。
海外の情報は翻訳されるまでにタイムラグがあったり、なかには翻訳されないものもあります。
英語力があれば、最新情報や未翻訳情報のキャッチアップできて、ITエンジニアとして成長するチャンスも増えるため、評価対象としているのでしょう。
これらの理由からも、英語力の需要が高まっていることがわかります。
転職ドラフトのデータに見るエンジニアの英語力
転職ドラフトには、英語の会話力や任意でTOEICやTOEFL ibtなどのスコアを入力できる欄があり、企業はこの欄をみて英語力をチェックし、指名を行います。
まずは、転職ドラフト審査通過者のTOEICスコアから見てみましょう。
英語力について記入している転職ドラフトユーザーのTOEICスコアは796~895点の割合が最も多く、平均スコアは817点でした。日本人の一般的なスコアは620点ほどなので、200点近く高い結果です。
もちろん、ある程度の点数が取れている方が記入しているというのも一理ありますが、転職ドラフト参加ユーザーのTOEICスコアは比較的高い傾向にあるようです。
また、TOEICのようなヒアリングやリーディングだけでなく、スピーキングについてもデータがあります。
50%以上の方が日常会話・平易な文章程度としています。
TOEICと違い、会話力はどうしても主観的な判断になりがちです。
企業側も判断がしにくい部分ではあるので、「語学留学◯ヶ月、定期的に英語での会議に参加し発言している」などの具体例を追記すると、実力が伝わりやすくなります。
企業が求める英語レベル
英語力を求める企業は、多国籍組織での仕事上のコミュニケーションや、オフショアとの調整を英語で行うことに抵抗感がないレベルの英語力を必要としています。
企業によって求める英語力に違いはあるものの、具体的には英語圏への長期留学経験や英語での情報発信、多国籍組織・海外企業での勤務経験などが、評価されているようです。
TOEICの点数で見ると、英語力を期待している場合は800点以上のユーザーに指名が集まる傾向があります。
しかし、企業が求めるのはあくまで英語でのコミュニケーション力や調整力なので、600点台でもオフショア開発などの実務経験と組み合わせで、評価されている方もいました。
TOEICなどのスコアや会話力、これまでの経歴や経験など、それぞれ単体からでもある程度は英語力を測れますが、企業は総合的な観点で見ています。
社内の仲間と英語で話す、取引先と英語のメッセージでやり取りする、英語版のコンテンツを作成するなど、英語の使いどころは企業によって異なります。
自分にあった職場と出会うためにも、英語力はわかりやすく正確に伝えていきましょう。