【完全保存版】ITエンジニア転職市場の変化と市場価値の高め方【2021年→2022年】

2021-12-28 15:30

ITエンジニア転職市場の変化と市場価値の高め方のキャッチ画像

年末年始は、1年を振り返ったり、次にやりたいことを考える絶好のタイミング!

事業も組織も個人も、あらゆるものを取り巻く環境が変化し、将来の予測が困難なVUCAの時代。「この先、どんなキャリアを描いていけばいいんだろう」という迷いや疑問を抱えているエンジニアは多いもの。

今回は、2021年のエンジニアの転職市場の動向と、これからのエンジニアの市場価値の高め方を、転職ドラフトのデータを交えて、たっぷりお伝えします。

読んでくださった方が、攻めの姿勢で2022年以降のキャリア形成へ踏み出したくなるコンテンツをまとめました。

2021年のITエンジニア転職市場の変化!

withコロナのITエンジニア採用ニーズは復調を超え過去最高へ

まずはエンジニア採用ニーズの変化を知るために、2020年から2021年にかけての転職ドラフト参加企業の指名(年収つきスカウト)数の推移をみてみましょう。

ITエンジニア転職サービス転職ドラフトに参加したITエンジニアの年収つきスカウトの数の推移の画像

2020年の1月回から4月回には、指名数が887件から337件へと約1/3にまで減少した時期がありました。COVID-19(以下、新型コロナ)の流行への懸念や不安による影響をダイレクトに受けて、採用に慎重になった企業が多かったと言えるでしょう。

しかし、指名数が減少に転じたのは約3ヶ月の期間のみ。2020年5月以降は、徐々に指名数が増加しています。2021年11月回では、転職ドラフトがリリースされた2015年以降で最高の1848件の指名数となりました。

採用ニーズが短期間で回復した背景には、エンジニアを採用する企業の多くがリモートワークなど柔軟性のある働き方へ対応したことが一因として考えられます。

リモートでの働き方に対応できた企業からすぐに、採用活動を再開できたため、新型コロナの影響を受けにくかったではないでしょうか。

ITエンジニアの転職相場は平均700万時代へ

年収いくらのエンジニアがどのくらい求められているのか、年収帯ごとに変化はあるのか探るために、転職ドラフトの指名に添えられた年収の変化を年収帯ごとにみてみましょう。

特に違いがみられたのは、年収400万円台の減少と800万円台の増加です。

400万円台は2016年には11.2%でしたが、2021年には1.8%に減少しました。いっぽう800万円台は2016年の5.9%から2021年の12.4%に増加しています。

IT/Webエンジニアの年収は、年を追うごとに全体的に引き上がっている傾向にあるといえるでしょう。

ITエンジニア転職サービス転職ドラフトに参加したITエンジニアの年収帯別の年収つきスカウトの割合の画像

平均提示年収と、中央提示年収も顕著な変化があります。

2020年1月からの2年間の間には、平均提示年収は644万円から696万円へ、中央提示年収は624万円から696万円へと増加しました。

転職ドラフトに参加したITエンジニアの平均提示年収と中央提示年収の推移

これらの結果を踏まえると、一定以上のスキル・経験を持ったエンジニアを求める企業が参画する中途エンジニア採用市場においては、「ここ2年間で平均年収が約50万円上昇し、中央提示年収は約700万円である」という捉え方もできるのではないでしょうか?

リモートワークはITエンジニアのあたりまえの選択肢へ

新型コロナの流行によって働き方が大きく変わり、リモートワークは一時的なものではなく、活用可能な選択肢として多くの企業で定着しつつあります。

ITエンジニア転職サービス転職ドラフトに参加した企業が採用予定のITエンジニアに週に何日リモートワーク ではなく出社を求めるかの画像

2021年の9月回から12月回の転職ドラフトに参加した企業が、エンジニアに週に何日の出社を求めるかというデータでは、253社回答のうち、出社日数週0日(フルリモート)の企業が60%、週1日出社が21%、週2日出社が11%、週3日出社が6%、週4日出社が2%という結果になりました。

6割がフルリモート体制で勤務が可能であることに対して、4割の企業が1日以上の対面での働き方を必要としているのは、コミュニケーションや業務上必要があるためと考えられます。

とはいえ、週に3回以上の出社を求める企業は8%ということから、リモートワークを軸にしつつも、必要に応じて対面でコミュニケーションをとるハイブリッドな働き方を推奨する企業が多くみられます。

2022年以降は、さまざまな試行錯誤を経た各社オリジナルのリモートワークが拡大していくことでしょう。

ITエンジニアの市場価値の高め方

どんなエンジニアが転職市場で求められ、市場価値が高くなる傾向にあるのでしょうか?
様々な視点から探ってみます。

転職市場の仕組みと需要の変化を理解する

転職における市場価値は「需要」と「供給」のバランスで決まります。

特定の経験・スキルを持つ人材を採用したい企業が多いとき「需要が高い」といえます。「需要が高い」にもかかわらず、そのスキルや経験を持つ人材が少ない場合、需要に対して供給が追いつかないため「市場価値が高い」ということになります。

経済産業省は「 IT 人材需給に関する調査 - 調査報告書」において、「AI」 や「 IoT」、「ビッグデータ」などに携わる先端IT人材の需要は年々高まり、需給のギャップが増えていくと予測しています。反面、従来型の業務に携わるIT人材は、2030年に10万人の余剰が生まれるという推計をしています。

需要の高まるスキルを中心に磨く

リアルな採用市場の需要を反映している転職ドラフトで指名を得られた方の経験言語から、転職市場における技術トレンドの変化をみてみましょう。

ITエンジニア転職サービス転職ドラフトにおける経験言語ごとの平均年収2016年から2021年の画像

ITエンジニア転職サービス転職ドラフトにおいて指名を獲得した方の経験言語の比率2016年から2021年の画像

バックエンドエンジニアのスキル

バックエンドで使用するRuby、Java、PHPなどの言語は、トレンドに左右されにくい傾向があるなか、全体としてはまだ少数ではあるもののGo言語の比率が高まっていることがわかります。

この背景として、転職ドラフトの参加企業は、IT/Webの事業会社が中心で、クラウドネイティヴなプロダクトの開発・運用している企業が多いことが考えられます。

クラウドネイティブは、ただ単にオンプレミス環境で動作させていたシステムやアプリケーションをAWS等のパブリッククラウドに載せ替えてインフラの数を増やすだけではなく、初めからクラウドを活用することを前提に既存の開発プロセスや実行されるアプリケーションの内部まで最適化を求める考え方です。

処理が非常に高速で、goroutineやchannelという方法で並行処理が可能なGo言語は、クラウドネイティブな環境で活躍できる言語としてのニーズが高まっています。

また、深層学習/機械学習をベースとしたプロダクトを自社開発している企業の参加が増えたことで、それらの開発に強みを持つPythonも徐々にニーズの高まっています。

フロントエンドエンジニアのスキル

フロントエンド領域では、技術トレンドの移り変わりが早いため、常に最新の技術のキャッチアップが求められます。

ここ数年のフロントエンドの最も大きな変化のひとつは、TypeScriptのスキルを持つエンジニアの増加だといえるでしょう。静的型付けのクラスベースオブジェクト指向言語であるTypeScriptは、JavaScriptでは難しかった中規模以上のアプリケーション開発において、多くのエンジニアの支持を集めています。

エンジニアから支持の多い言語は、採用する側としてもチームを構成しやすく、その言語スキルを保有する人の需要が高まる傾向にあります。

また、グラフデータにはまだ出現していないものの、デザイナーとの共同作業のチャンネルにしやすいstorybookのスキルの需要や、JavaScriptライブラリのReactを使用する際にstyled-componentsの使用が注目されるなど、フロントエンド領域はニーズが常に変化し続けています。

インフラエンジニアのスキル

インフラエンジニア領域では、AWSやGCPなどクラウド環境構築経験が主に評価される様になってきています。日本ではまだクラウド技術の普及率は20%程度と言われていますが、Web系自社開発企業の多い転職ドラフトにはクラウド環境を備えた企業が多くいます。

またTerraformの様にインフラのコード化ができるエンジニアへの需要も高まっています。
直近の大きな変化としては、インフラエンジニアの領域だけに留まらず、インフラとアプリケーション双方の品質改善などを行うSREへの需要も高まっているようです。
転職ドラフトでも、徐々にではありますが、SREでのポジションアサインを行うような指名件数も増加しています。

意思決定能力を磨く

市場価値を決めるのは、特定の技術スキルの需要だけではありません。

エンジニアのなかでも、プロダクト企画や技術選定など、何をどう作るかの意思決定を担う人材には普遍的なニーズがあります。

転職ドラフトでも、ITアーキテクチャやプロダクトマネージャの経験のあるエンジニアへの指名数が多くなる傾向にあり、そのような候補者の専門技術を「システム設計面接」で見極める事例もみられています。

システム設計面接では、以下のような問いかけが行われます。

  • ユーザーは何人いますか?
  • 彼らはそれをどのように使うつもりですか?
  • システムは何をしますか?
  • システムの入力と出力は何ですか?
  • システムが処理すると予想されるデータの量はどれくらいですか?
  • 1秒あたりのリクエスト数はいくつになると思いますか?
  • 予想される読み取りと書き込みの比率はどれくらいですか

コーディングなどの開発実務を どのように行うか だけではなく、 何をなぜつくるのか を意識して課題に向きあえることが求められます。

普段からWhyを意識して業務に向き合うことはもちろん、そういった前工程の開発業務をになっている企業に身を置いて、システム設計を行うエンジニアの仕事を間近で見ること、自ら手を挙げて機会をつくっていくことが、意思決定能力を磨く近道となるでしょう。

組織開発能力を磨く

自身の役割に応じて、チームのパフォーマンスを向上させることができる能力が高いエンジニアも、常に高いニーズがあります。

2021年に転職ドラフトに参加したエンジニアのうち、指名数上位10%のレジュメを分析すると、

  • チームの規模
  • チームでの役割
  • チーム内での育成
  • チームの生産性向上の工夫
  • 特定の技術領域だけでなくフルスタックに開発した経験

がトピックとして書かれている傾向がみられました。チームメンバーの育成や、チームの生産性向上の実績があるエンジニアは、多くの企業から求められやすくなることがわかります。

インプットとアウトプットを習慣化する

技術の変化のめまぐるしいエンジニアの業務において、常に最新の技術を学習し、業務に活かせることはもはや必須といえるでしょう。

単に技術力だけのキャッチアップに留まらず、世の中でどんな風に技術が求められるのか、ユーザーは何を課題としているのか。AIだけでは判断しにくいトレンドやユーザーのインサイトを深く考察したうえで、技術選定やシステム設計ができるエンジニアは、今後ますますニーズが高くなるでしょう。

幅広い視野と深い考察を伴うインプットを行うためには、アウトプットすることで学習を整理し定着化することや、外部からのフィードバックを得ることで、より深い学びにつなげていけることが必要となります。

勉強会でLTをよくする人材のニーズ

転職ドラフトにおける「勉強会でLTをよくする」人の一人あたり指名数は11件と、全体平均の5件を大きく上回ることから、アウトプットできる人材のニーズの高まりがみられます。

エンジニア界隈には言語ごと、職種領域ごとなど様々なコミュニティが形成されていて、ナレッジシェアが活発に行われます。LTのアウトプットに対するフィードバックが得られることで学びが深まるだけでなく、日常的にナレッジシェアを行い、切磋琢磨できる仲間との出会いの機会も得られます。

外部アウトプットが加点要素となる

アウトプットと指名年収の関係性をみてみましょう。

指名の提示年収1000万円以上の方はGitHubとQiitaのアカウント記載率は100%。提示年収500万円以下の方も96%以上の方が記載しています。

転職の際のレジュメに外部アウトプットを添えることはもはやマジョリティとなっており、企業に内容のユニークさや技術の高さが伝わることで、評価の加点要素となっているのが実情です。

ITエンジニア転職サービス転職ドラフトにおける外部アウトプット記載割合の年収500万円以下と年収1000万円以上の比較

英語力を活用したインプットとアウトプットも高評価へ

英語力をインプットやアウトプットに活かせることも、さらに高い評価を得ることにつながります。

ここ数年、メガベンチャー企業などを中心に、国籍を問わないグローバルな採用活動が広がっています。転職ドラフトの参加企業においても多国籍な開発組織を持つ企業の割合は、2016年の4%から2021年は11%ほどに増加しました。

多国籍企業でなくても、英語での情報キャッチアップを評価対象とするという企業も見られます。海外の最新の情報は翻訳されるまでにタイムラグがあったり、なかには翻訳されないこともあります。

英語力があれば、最新情報や未翻訳情報のキャッチアップできて、エンジニアとして成長するチャンスも増えるため、評価対象としているのでしょう。

まとめ

私たち転職ドラフトが目指すものは、単に今より高い年収で転職できるエンジニアを増やすことばかりではありません。

キャリア開発の転機となる選択肢や客観的なデータを公開していくことで、自身のキャリア開発に能動的になれるエンジニアが1人でも増えて、実力が正当に評価される世界の実現へ近づくことを目指しています。

2022年も引き続き、市場価値の把握や、キャリアの定期的な棚卸し、そして年収つき指名から始まる転職活動にも、転職ドラフトを有意義に活用してみてくださいね!

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