みなさんこんにちは!転職ドラフト運営です。
ご好評いただいているエンジニア向け書籍特集の記事。
おかげさまで、6年分のデータを蓄積することができました。
そこで今回は、転職ドラフトが開始された2016年から2021年までの全データを集計してみました。
ランキングのほか、テーマ別のおすすめ書籍もピックアップしました!
まだ読んでいない本との出会いもあるのではないでしょうか?
『リーダブルコード』は殿堂入り!? 影響を受けた本ランキング
まずは6年間の総合ランキングをご覧ください!
書籍ランキングで毎回1位を獲得している『リーダブルコード』は、2位と3.7倍の差をつけました。集計を始めた2016年以降1位を譲らない堂々たる姿は、もはや殿堂入りですね。
ランクインした本は、2016年以前に発売され長く支持され続けているものがほとんどです。
そんな強者揃いのなか、途中参加で唯一ランクインしたのが2018年発売の 『Clean Architecture』 。
2021年単体の集計では、『リーダブルコード』に次いで2位という結果でした。
比較的新しい本ではありますが、著者はアーキテクチャ開発の第一人者と言われるロバート C. マーティン氏。崩壊しないアーキテクチャをいかにして作り上げるかがまとめられています。
まだ手にとっていない方は、ぜひチェックしてみてください!
- 『リーダブルコード - より良いコードを書くためのシンプルで実践的なテクニック』(オライリー・ジャパン)
- 『ハッカーと画家 - コンピュータ時代の創造者たち』(オーム社)
- 『Team Geek - Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』(オライリー・ジャパン)
- 『アジャイルサムライ――達人開発者への道』(オーム社)
- 『UNIXという考え方 その設計思想と哲学』(オーム社)
- 『リファクタリング - 既存のコードを安全に改善する』(オーム社)
- 『Clean Architecture - 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計』(アスキードワンゴ)
- 『SOFT SKILLS - ソフトウェア開発者の人生マニュアル』(日経BP)
では、ここからはテーマごとに選んだおすすめの書籍をピックアップしていきます。
指名数上位10%の方が選んだ書籍
最初にご紹介するのは、転職ドラフト参加者のうち、1開催あたり25~30指名を獲得した方が影響を受けた本です。
- 『LeanとDevOpsの科学 テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する』(インプレス)
- 『プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと』(オライリー・ジャパン)
- 『Joel on Software』(オーム社)
- 『デスマーチ ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか』(日経BP)
全体的に、マネジメントや組織について言及する本が多くみられました。
そのなかから、今まで紹介していなかった書籍をピックアップしています。
『LeanとDevOpsの科学』 はタイトルにもあるように、LeanとDevOpsなどの開発スタイルが組織のパフォーマンスなどにどのように影響しているかを、エビデンスをもって明らかにしています。
『プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと』 は、実体験に基づいた97本のエッセイから、様々なプロジェクト・マネジャーの考え方を知ることができます。同シリーズの『プログラマが知るべき97のこと』も人気が高いので、あわせてチェックしてみてください。
発売から15年以上経っている 『Joel on Software』 や 『デスマーチ』 は、エンジニアとしての心構えやプロジェクトの進め方などが記載されています。時代が変わっても活用できる内容なので、今でも根強いファンがいるようです。
プロダクト企画
サービスや商品のイメージを明確化していくためには、情報収集、課題発見、ロジカルシンキングなど、技術力以外の力も必要になります。
ここでは、プロダクトの基礎を固めていくうえで大切な考え方や方法論などを紹介している2冊をご紹介します。
- 『リーン・スタートアップ』(日経BP):44票
- 『イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版):28票
時代やユーザーに合ったプロダクト開発の方法論を知るなら 『リーン・スタートアップ』 がおすすめです。無駄なく素早く新しい製品やサービスを生み出し続けるには何をすべきかのヒントが詰まっています。「プロダクト規模に依存しない高Agilityなプロセスtipsを得た」という感想も寄せられました。
『イシューからはじめよ』 はAI×データ時代の必携書と言われるなど、多くのエンジニアから支持されているロジカルシンキング・問題解決の決定版です。
「何を解決したら大きな成果を生み出せるのか考えさせられた」という感想があるなど、多くのエンジニアから支持されています。
開発に役立つ
開発手法にはいくつかの種類があり、それぞれに専門の書籍も数多く出版されています。
今回はアジャイル開発やテスト駆動開発についての書籍をピックアップしました。
- 『達人プログラマー システム開発の職人から名匠への道』(オーム社):62票
- 『テスト駆動開発』(オーム社):48票
- 『アジャイルソフトウェア開発の奥義 第2版 オブジェクト指向開発の神髄と匠の技』(SBクリエイティブ):42票
20年以上前に発売された 『達人プログラマー』 ですが、実は2016年に新装版、2020年には第2版となる『達人プログラマー 熟達に向けたあなたの旅』(オーム社)が発売されました。第2版は現代の状況に合わせつつ第1版を強化した内容になっているので、すでに第1版を読んだことがある方にもおすすめの一冊です。
『アジャイルソフトウェア開発の奥義』 はオブジェクト指向設計について詳しく解説しています。プラクティス・SOLID原則・デザインパターンなどを順に学んだ上でケーススタディに取り組むことができます。
設計に役立つ
集計結果を見ると、設計に関する本がかなり多いことがわかります。
ここでは少し多めに、以下の5冊をご紹介します。
- 『UNIXという考え方―その設計思想と哲学』(オーム社):132票
- 『Webを支える技術 - HTTP、URI、HTML、そしてREST』(技術評論社):88票
- 『プリンシプル オブ プログラミング 3年目までに身につけたい一生役立つ101の原理原則』(秀和システム):49票
- 『現場で役立つシステム設計の原則 変更を楽で安全にするオブジェクト指向の実践技法』(技術評論社):30票
- 『ドメイン駆動設計入門 ボトムアップでわかる!ドメイン駆動設計の基本』(翔泳社):20票
どれも非常に勉強になるものですが、今回は2冊を詳しくご紹介します。
『プリンシプル オブ プログラミング』 は800冊以上の技術書を読んできた著者が、コードを書くためのプリンシプルをまとめた書籍です。
初心者向けという感想が見られる一方で、転職ドラフトユーザーのなかには定期的に読んでいる方も複数いらっしゃいました。「エンジニアとはなにか?エンジニアとしてどう考えるべきか?」と迷ったときに読み返したい一冊です。
『現場で役立つシステム設計の原則』 では、オブジェクト指向は理論ではなく設計ノウハウであると語る著者が、変化の影響を最小限にし、安定した動作を叶えるソフトウエア構築技法を紹介しています。
「ビジネスルールをこうやってソースコードに反映するのかと感動した」という意見もあるなど、その名の通り現場で役立つ知識が詰まっています。
エンジニア組織の活性化
日々変化し続けているITエンジニア界隈においては、支持される本も次々と新しいものへ移り変わる傾向がありますが、組織についての本は毎年票数が安定しています。
今回は、あえて定番と呼ばれる本を多めにピックアップしました。
- 『Team Geek - Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか』(オライリー・ジャパン):182票
- 『アジャイルサムライ――達人開発者への道』(オーム社):139票
- 『エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング』(技術評論社):83票
- 『カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで』(翔泳社):50票
- 『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス テックリードからCTOまでマネジメントスキル向上ガイド』(オライリー・ジャパン):11票
『Team Geek』 は読んだことがある方も多いと思います。
エンジニア組織についての本ではダントツの支持を集めており、これまで多くのコメントもいただきました。そのなかからいくつかを抜粋してご紹介します。
「組織のなかで自身がどう振る舞うべきかを学びました」
「開発は集団で行うことがほとんどなので、HRT(謙虚・尊敬・信頼)に沿ったコミュニケーションを心がけるようになりました」
「この本を読んでから、コードレビュー時にトゲのない言い回しを考えるようになった」
HRTという、働くうえで大切なことにあらためて意識を向けることができる1冊です。
『カイゼン・ジャーニー』 は、プロジェクトの問題を軌道修正する方法や、やる気のないメンバーへの対応方法などを、SIer出身の著者の経験をもとに紹介しています。
この本を選んだユーザーのなかには「チーム全員に読んでもらい、上司が1on1を始めたりと少し変化があった」と、仕事上での具体的な変化を実感できた方もいました。
レガシーからの脱却
レガシーなコードやシステムからの脱却は、今なお多くのITエンジニアを悩ませる課題の一つです。
後々まで使いやすいシステムを作るために読んでおきたい2冊を選びました。
- 『レガシーコード改善ガイド』(翔泳社):46票
- 『レガシーコードからの脱却 ―ソフトウェアの寿命を延ばし価値を高める9つのプラクティス』(オライリー・ジャパン):16票
『レガシーコード改善ガイド』 には、仕様がわからないコードの分析・修正・テストコードの追加方法などが紹介されています。
読んだ方からは、「既存コードの機能を損なわないように改修する際に、Howが参考になった」という意見もありました。
「自分が書いたコードをレガシーにしたくない」という方は、 『レガシーコードからの脱却』 を読んでみてはいかがでしょうか?
実践的な内容が紹介されており、「大規模システムや長く稼働しているシステムの運用・開発に携わっている方には、かなり役立つと思う」というコメントも見られました。
リーダブルコードなどの基礎知識を得たうえで読むと、より理解が深まりやすくなります。
技術面に直接関係はないけど、気になる
最後に、それぞれの項目には当てはまらなかったり、投票数が少なかったものの気になる書籍をご紹介します。
1冊目は 『SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル』(日経BP) です。表紙にある「フリーで身の立てる方法や恋人の作り方まで」という表記からもわかるように、ITエンジニアがより良い生活を送るためのありとあらゆるノウハウが詰め込まれています。
技術について書いていない本でありながら99票を獲得するほど支持されている理由、一度読んで確かめてみたくなりますね。
少数派ではありますが、漫画から影響を受けたという方もいらっしゃいました。
ドラゴンボールやドラえもんなどの超有名作品の他、エンジニアの間で人気がある攻殻機動隊も選ばれています。
また、宇宙兄弟を題材にしたチームづくりの指南書から影響を受けたという方もいました。
- 『宇宙兄弟 完璧なリーダーは、もういらない。』(学研プラス)
- 『宇宙兄弟 今いる仲間でうまくいく チームの話』(学研プラス)
読んだ方からは、「リーダーシップの型など、学ぶことが多かった」との声も。
漫画本編もとてもおもしろいので、あわせて読んでみるとより理解が深まりそうですね。
こうして見てみると、エンジニアとして影響を受ける本は、技術書だけではないことがよくわかります。
どんな本でも読む人次第で学びに繋がるのでしょう。
影響された本の欄には、ITエンジニアの学びが詰まっている
今回は2016年から2021年という6年間のデータから、ランキングとおすすめの本をご紹介しました。
読みたいと思える本が見つかって、今後のスキルアップに役立てば嬉しいです。