転職先を選ぶのは何度やっても悩むものです。
「現職が忙しく、多くの選考を受ける時間がないため、企業を絞る必要がでてきた」
「同じくらいの年収で指名されたので、何を基準に企業を選べばいいかわからない」
選択の連続だからこそ、本当に自分の選択で良かったのかと、不安になることもありますよね。
人によって状況も違いますし最終的にどの企業を選ぶかは自分次第。企業選びの基準に「これ!」という答えはありません。
しかし、転職に成功した人や転職してよかったと思えている人が、企業のどんな部分を見ていたのかは気になるところ。
そこでこの記事では、転職ドラフトにある企業選びの基準に関するデータや、実際に転職成功した方の経験談から、ITエンジニアがどんな基準をもってどんな方法で企業を選んでいるのかを探っていきます。
データで知る企業選びの基準
まずは転職ドラフトに登録している方のデータを見ていきましょう。
「やりたいことができる」
これは転職先を選ぶ際にも、かなり重要な要素になってきますよね。
ということで、まずは「直近で一番やりたいこと」のデータから見ていきましょう。
やりたいこと | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
サービスを作りたい | 2,126 | 42.5 |
技術を極めたい | 1,837 | 36.7 |
現場にいたい | 305 | 6.1 |
組織を作りたい | 261 | 5.2 |
マネジメント力を上げたい | 245 | 4.9 |
無回答 | 129 | 2.6 |
その他 | 102 | 2.0 |
調査対象者:全期間(2021年9月まで)の審査通過者
「サービスを作りたい」と「技術を極めたい」が圧倒的に多い結果に。
どの世代やキャリア層であっても、手を動かすことを大切にしたい方が多いのが、ITエンジニアなのかもしれません。
次は、今回のテーマである「企業を選ぶ基準」も見てみましょう。
会社を選ぶ一番の基準は? | 人数 | 割合(%) |
---|---|---|
一緒に働く人 | 1664 | 33.2 |
プライベートとの両立 | 742 | 14.8 |
風通しの良さや意思決定ライン | 701 | 14.0 |
理念や社会的意義 | 600 | 12.0 |
年収が第一 | 543 | 10.8 |
好きなプロダクトがある | 410 | 8.2 |
その他 | 158 | 3.2 |
無回答 | 122 | 2.4 |
会社の安定性 | 34 | 0.7 |
会社のブランド・知名度 | 31 | 0.6 |
調査対象者:全期間(2021年9月まで)の審査通過者
こちらでは、一緒に働く人を選ぶ方が圧倒的に多く、プライベートとの両立や風通しの良さや意思決定ラインなどが続く結果となりました。
逆に重視する方が少なかったのが、ブランド力や安定性です。
たしかに、仕事内容やプロダクトに思い入れがあっても、一緒に働く上司や仲間とうまく行かず異動や退職をしてしまうという話はよく聞きます。
一緒に働く人を企業を選ぶ基準とするのは、ある意味、やりたいことをしっかり叶える上での基礎と言えるのかもしれません。
ただ、一緒に働く人も含め、肝心なのはそれをどうやって見極めるのかです。
ここからは、転職した方の声から、それぞれの判断基準や見極めるための方法について紹介します。
個々の事例から見る、企業の選び方
転職活動を通して、どのようなポイントに注目して企業をみていたかをチェックしていきます。
のふのふさん
大手のパチンコ・パチスロメーカーからロボットを使用したサービスのスタートアップに転職したのふのふさん。
転職後すぐに公開された転職成功体験談とは別に、業界や企業規模も大きく変化した転職を振り返って、前職との違いなどを紹介したブログもアップされました。
働き方についての一番の感想としては、出社や時間などが自由になったので子育て世代には最適な環境であり、本当に転職してよかったと思ってます。
引用元:【個人振り返り】202107-09を振り返る
スーツでフル出社という環境から、現在の企業に転職したことで、子育てもしやすくなったとブログの中で語るのふのふさん。気になる企業選びの条件についてもお話を伺いました。
ー転職先の企業は子育て世代に最適な環境とあるが、選考の段階からそのあたりはある程度見えていましたか?もし見えていた場合は、どのような部分でそれに気づきましたか?
のふのふ: 働き方に関しては、「リモートワークが可能か」と「裁量労働制が名ばかりではないか」の2点を軸にしていました。
これによって家族と朝晩一緒に食事ができたり、子供に関する急な用事などにも対応できるので、子育て世代にとっては一番大事な要素かと思います。
これら2点は、基本的に転職ドラフトの企業詳細ページや指名文、企業の採用ページだけではすべては読み取れないので、カジュアル面談で確認する(このあたりについての話がなかったら聞く)ようにしていました。
ー子育て以外で、大切にした企業選びの条件はなんですか?
のふのふ: 企業選びに関しては、自身が得意または興味のある技術と企業の使用している技術の親和性が高いことや、WebだけではなくAIやロボットなど今後も伸びるであろう業界のコア技術をもっていることなどを軸にしていました。
前職が右肩下がりの業界だったので、今現在伸びているまたは伸びる可能性の高いと思う業界というのは、特に重点を置いていたと思います。
働き方などは少し聞きにくいと思う方もいるかも知れませんが、カジュアル面談などで早めに聞いておいたほうが、ミスマッチに早めに気づくことができます。
絶対に譲れないと思うことほど早めに確認しておくのが、お互いにとっていい結果に繋がるのかもしれませんね。
yotuba_engさん
過去に転職ドラフトを利用して転職したyotubaさんは、当時の転職ドラフト体験談の中で以下のように語っています。
相手の企業も指名しているということで、きちんとレジュメを読んだ状態で面接に望んでくださいますので、基本的な職歴の話だけでなく、自分の性格や入ったらやってみたいこと、エンジニアのチーム体制や課題など面接で深い話が出来るケースが多かったです。
引用元:転職ドラフトを使って転職したRailsエンジニアの体験談
企業側がレジュメやアウトプットを読み込む必要がある転職ドラフトでは、面談や面接での会話内容がより深くなるという話は、他の体験談でもよく聞かれます。
では、yotubaさんは選考を進める中で、何を企業選びの基準としていたのでしょうか?
ー指名を受けた5社すべてと面談したそうですが、選考を進める企業を絞るための判断材料として、企業のどのような部分に注目していましたか?
yotuba_eng:
- 面談した相手の印象や雰囲気
- サービスの内容と使用している言語
- 社内やチームの雰囲気
この3点に注目していました。
ー指名を受けた企業から転職先を決めるときの、最終的な決め手はなんでしたか?
yotuba_eng:
- 当時CTOの方が経営にも強く関わっていたこと
- サービス開発においてエンジニア主導でというのが強調されていて、エンジニアが働きやすそうなこと
- 営業経験のあるエンジニアである自分の文系力が求められている、活かせるように感じたこと
- 使用している言語がRuby on Rails/Vue.jsでぴったりだったこと
- 強力な技術顧問がバックエンドとフロントエンドともに1人ずつおり、エンジニアを大切にしている、力が着くと感じたこと
これらのことが決め手になりました。
指名いただいた企業に1年半の間勤めましたが、上記の入った理由はまさにその通りで、自分の力を会社に貢献することもできたし、技術顧問の方からたくさんのことを学びました。
選考を進めるうちに企業選びの判断軸の解像度が高くなった様子が伺えました。
職場の雰囲気や言語などが希望とマッチするだけではなく、自身の経験やスキルが活かせそうなことや、エンジニアを大切にする企業であることなど、実際に働いたときの具体的なイメージができるかどうか、面談や面接で確かめておきたいですね!
Tomoyuki Hataさん
Tomoyuki Hataさんは、指名段階での企業の視点に注目していたようです。
3社もらった指名のうち、1社の指名のみを承諾したのはなぜなのでしょうか?
転職ドラフト全体を通して、
フロントエンドやマテリアルデザイン、AWS などの知識が豊富であり……
といった使用技術にマッチした指名理由よりも、
企画から開発まで行っていて、OSS 活動もしている……
といった活動内容にマッチした指名のほうが、自身の印象に残りました。
そして、3回の面談を経て内定をもらいました。年収が 1.4 倍になったほか、既存メンバーの方の SNS アカウントがすぐにわかり、GitHub や公演にも積極的に発信している会社はとても魅力的です。
引用元:Web 開発系への転職で年収が 1.4 倍になりました
Hataさんは技術よりも活動内容のマッチングをより重視し、コミットしているOSSとの関連が高かった1社の指名を受諾しました。
また、企業としてのアウトプットや所属メンバーのSNSからも、企業について知ることができたようです。
SNSではメンバーの人となりや指向性を知ることもできますし、企業のアウトプットからは企業としての意思を感じることもできるでしょう。
一緒に働く人や企業の思想が自分に合うかを見極める一つの手段として、企業側のアウトプットのチェックは有効な手段と言えます。
tatsuo48さん
tatsuo48さんもHataさん同様、指名時に出る企業色について、感じるものがありました。
提示年収の傾向としては、以下の二つがあるなと感じました。
他社の提示年収に合わせていくスタイル(4社)
レジュメを読んで感じた通りの額を提示するスタイル(2社)
転職ドラフトとしては後者の方が理想だとは思うのですが、やっぱりレジュメだけを提示年収の指標にするのは難しいようで、他社に合わせるスタイルの会社の方が多いのかなぁと感じました。
引用元:転職ドラフトを使って転職しました
転職ドラフトの場合は、レジュメをきちんと読んで指名のコメントを書いたり指名年収を決めているかが、最初の判断基準となるようです。
企業はレジュメだけでなくアウトプットなども含めて総合的に判断していますが、他社の提示金額をつい意識してしまうこともあるかもしれません。
しかし、たまたま他社と似たような金額になってしまうことあるため、ぜひ金額だけでなく指名メッセージの内容もしっかりチェックしてみてください!
まとめ
終身雇用の考え方もなくなり転職に抵抗感が少ない方も増えていますが、せっかくなら自分の希望が叶う企業を選びたいですよね。
そのためにも、まずはキャリアの棚卸しをして、今後どうしていきたいのかをはっきりさせて、自分の企業選びの軸を定めておくことが大切です。
新しい環境を選べるせっかくの機会だからこそ、そのチャンスを最大限に活用していきましょう!