緊急事態宣言に伴い、リモートワークが推奨されてから数ヶ月が過ぎました。「強制リモートワーク」という形式が取られる中で 「やっぱりリモートワークが良い!」 という意見や 「リモートワークでは解消されない問題があるので物理出社したい」 など、エンジニアの中でも意見が分かれつつあります。
そこで今回は、リモートワークが得意なエンジニアと、リモートワークが苦手なエンジニアに対談形式でお話を伺いました。
「リモートワークになって、 これまで以上に会議がスムーズになった 」という意見や「やっぱり 対面で行うコミュニケーションはかけがえのないものだった と改めて気づいた」など、意見も様々でした。
そしてディスカッションを重ねながら、 afterコロナの働き方 についても考えてみました。
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@bird_tummy(写真左下)
レシピ動画サイト「クラシル」を運営するdely株式会社勤務。Androidアプリ改善のプロダクトマネージャーを担当
@isaoeka(写真右下)
IT企業でiOSアプリの開発を担当。
ー本日は宜しくお願い致します。ちなみに前情報だと、bird_tummyさんはフルリモートOK派で、isaoekaさんは物理出社したい派と伺ってるんですけど、いかがですか?
bird_tummyさん: コロナになってから2ヶ月くらい会社がフルリモートだったんですけど、日々業務をやっている感じはフルリモートでも良いかもという気はしました。
isaoekaさん: 僕は物理出社したい派ですね。フルリモートを強制される状況になって「会社で同僚と顔を合わせて仕事をする喜び」みたいなものがあったんだなと改めて気づかされました。
対面でやりとりする重要性 を感じる場面があるんだなというか。それまでは「リモートワークしたい」って感じでしたけど、今となっては、会社に行ってちょっと話したいなという感覚にはなりました。
リモートワークのメリット
ーお二人それぞれ違った意見があるようですね。まずはリモートワークを続ける中で見えてきた良いところを伺いたいと思います。
bird_tummyさん: 僕は、片道1時間弱かけて会社に通勤していたのでそれが2時間減った分、シンプルに 睡眠時間が増えました。 以前は6時半とかに起きてたんですけど、1時間遅い7時半に起きて、大分ゆっくり準備できてるなというのはありますね。
isaoekaさん: 僕の場合は 隙間時間の掃除がはかどる というのがありました。それに洗濯物を生乾きさせてしまうということも無くなりましたね。
bird_tummyさん: あと、いつでも宅配便を受け取れますよね。ただミーティング中にピンポーンって来て「あ、すいません」ってなることが多いですが。
ーそういう場面、私もよく遭遇します笑。
実は物理出社するより会議がスムーズに
bird_tummyさん: そうそう、それで言うとリモートワークになってから、会議がスムーズになりました。
ースムーズになったというと?
bird_tummyさん: リモートワークではZoomを使うので、 ミーティングのための部屋を取らなくていい ですし。あと、Zoomならミーティングの直後に 別のミーティングにシームレスに参加できる のはいいですね。
ー確かに!社内では「会議のための部屋を確保できない」って死活問題ですもんね。
bird_tummyさん: そうなんです、だから会議の効率は上がった気がします。会社ではマーケ方面の人とよく話をするんですけど、社内ではエンジニアとマーケではフロアが違っていたので、階段を上り下りしないといけなかったんです。でもそれもなくなったので「今いいですか?」と声を掛けやすくなりましたね。
ーそういうやりやすさって、実際にリモートワークに移行してみないと分からないことですよね。isaoekaさんはどうでしょう?
isaoekaさん: 私の勤務先では元々リモートワークをする社員も多いので、こういう状況になる前から リモートワークの人も、出社してる人もオンラインで会議をする というのが普通でした。
たとえば会議室が取れない時や人数が多い時は朝会をビデオ会議で行なったり。それに社内のフリースペースで大人数のビデオ会議をしていると、スピーカーの音量やスペースの確保の問題があり、出社していても自席でビデオ会議を行うこともありました。
ーなるほど!出社しても人数多い場合は自席でZoomを立ち上げて会議するでもいいかもしれませんね。
isaoekaさん: 会議の話でいうと、 Zoom会議中にネコや子供が邪魔してくる のをよく見たり聞いたりしませんか?ああいうのは凄く良いなと思いました。
bird_tummyさん: ネコを膝においた状態でミーティングに参加したり、お子さんを抱っこした状態で打ち合わせする風景をたまに見ますが、そういうのって良いなと思います。
isaoekaさん: 子どもに会議を中断されて困るとか、ネコの声がうるさいとか、ネガティブな意見も聞きますけど、僕はそういう環境音も良いなと思います。 それぞれ家庭があり、それを尊重して働いていけること はリモートワークの一番の良さだと思います。
リモートワークで工夫してることは?
ー一方で、リモートワークをやってみて「実はこんなことが大変だった!」という発見も多かったと思います。
isaoekaさん: そうですね。強制という形でリモートワークを強いられると、窮屈に感じる場面がちょくちょくありましたね。
ビデオはオンにする?オフにする?
ー冒頭でisaoekaさんは「同僚と顔を合わせて仕事をしたい」と言ってました。そんな風に仕事をしたいと思う瞬間ってどんな時ですか?
isaoekaさん: 僕はオンラインで会議を行うときにビデオをオンにする派なんですが、僕のチームではビデオオンにする人が少ないですね。 相手の表情が見えず音声だけのコミュニケーションは味気ないな と感じます。
ーどうしてそんな風に感じてしまうんでしょう?
isaoekaさん: フィードバックが音声だけだと、コミュニケーションの要素がかなり減っているように感じます。僕はそう感じるだけで「それは気にし過ぎ」という意見もありますが。
bird_tummyさん: うちは結構ビデオオンにしてくれる人が多いんですよね。一方でビデオオフにしてる人の話も聞いたことがあります。
シンプルに自分の顔を見るのが嫌だという意見と、回線の都合でバーチャル背景を設定できないというのが理由としてあるようですね。そうなると部屋の中を映したくないから、ビデオオンにしないということは聞いたことがあります。
Discordはつなぎっぱなしに!後輩フォローのこころがけ
isaoekaさん: 僕は時として「SlackやZoomだけのコミュニケーションは難しいな」と感じる場面があるからこそ、後輩へのフォローは手厚くしています。 「ちょっと相談しづらい」って思ってほしくない ので、特にそこは工夫してるかな。
ー例えばどういったことでしょう?
isaoekaさん: 基本的にはプルリクエストベースでやりとりをしますが、込み入った話をする必要があればGitHub上ではなく ビデオ通話を使って、口頭で確認 しています。
あとはSlackで専用のスレッドを用意して、思ったことや作業ログを垂れ流しにしていました。そこで 気になることを見つけたら都度相談 してます。よく世間話をしていたメンバーとはミーティングついでに「最近どうですか?」と話しかけてみることを心掛けています。
ーそれならisaoekaさんの後輩も困った時に声を掛けやすそうですね。bird_tummyさんは何か工夫されていることはありますか?
bird_tummyさん: そうですね、僕のチームでもSlack上に情報を残しておく文化はあります。でも特に新卒は、「何を知りたいのか」や「それを知った後どうしたのか?」みたいなものがまだ簡潔に言えないことも多いですよね。
そんな時は周りも 「それはこういう聞き方をすると答える側が分かりやすいよ」 とアドバイスしています。「自分が新卒を育てる」というより「チーム全体が新卒を育てる」という感覚ですかね。
ーじゃあしっかりチームの中でオンボーディングができているというか、チームで新卒を育てていこうという意識がちゃんとあるということですか?
bird_tummyさん: そうですね、分析チームに配属された2人の新卒社員はDiscordとかで繋ぎっぱなしにして、質問しやすくしているそうです。
出社している時よりメンションが増えた
bird_tummy: そういえば、物理出社よりも声を掛けやすくなった分、僕宛ての問い合わせも増えましたね。元々メンションが飛びまくることが多かったんですけど、 以前よりも1.5倍くらい増えた 気がします。ちょっとメンション地獄だなとは感じています。
ー問い合わせが増えたことで作業に集中する時間が減ってしまったみたいなこともあるんでしょうか?
bird_tummyさん: そうですね、でも最近は Slackオフ にして「今は反応遅いです」ってステータスに書いてますね。
isaoekaさん: それはSlack上でもオンオフを切り替えるというか、集中する時間を敢えて設けているみたいな感じなんですか?
bird_tummyさん: そうそう。ただ最近Slackのステータスを変え忘れていることがたまにあって。だから カレンダーに「集中時間」と入れておこうかな と思っています。
ーそうして共有しておいてもらった方が、周りも声を掛ける上でちょうど良いタイミングが掴めそうですよね。
気持ちを切り替えるために、ベランダに出よう
ーリモートワークでは作業効率について、捗るという意見もあれば効率が落ちたという意見も耳にしますよね。isaoekaさんはどのように感じていますか?
isaoekaさん: 集中できる場合も多いのですが、そうでない場合は 会社にいる時より作業効率の下限が下がる 気がしています。自宅という環境が気持ちの乗らない時間を長引かせていると思います。
一度そうなると「ああもう寝よ!」って開き直ります。集中が切れて作業効率がすごく落ちている時は「出社したいな」と思ってしまいますね。
ーそうなると、オンオフの切り替えがとても重要になってきますね。
isaoekaさん: 今思えば 通勤時間 って「今日はどの仕事を進めようかな?」とか、 思考を整える時間 だったんですよね。
これは最近気づいたのですが、僕にとって電車の「ガタンゴトン」という振動が精神を整えてくれるんですよね。サウナやランニングと同じように、 電車は心を整える っていうのを、提唱していきたいと思います笑。
ー良いですね、どんどん提唱していきましょう笑。でも、自由に通勤できない状況では気軽に電車も乗れないですよね。
bird_tummyさん: 僕の場合、 1時間とか区切ってベランダに出ますね。 折りたためるキャンプ用の椅子をベランダに出して、PCだけ持って一時間カタカタするっていうのをよくやってます。外の空気を吸おうとしてるんですね。
ーなるほど!それは良いですね。屋外で作業するだけで、だいぶ気持ちが切り替わりそうです。
「afterコロナの働き方」はどう変わる?
ーさて次に、afterコロナの働き方についてみなさんで話し合っていきたいと思います。
リモートワークと出社のバランス
ー現在は強制リモートワークを解いている企業も増えてきました。これからリモートワークと出社の両立をはかる必要がありそうですが、お二人はリモートワークと物理出社、どんな割合がベストだと思いますか?
bird_tummyさん: 割合というよりかは、自分が好きな時にリモートワークできたらいいですね。 出社するしないを、自分で決められる というか。
ーサイバーエージェントでは「月曜日はリモートワークの日」という風に設定したそうです。例えば、曜日でリモートワークの日が決まっているのはどう思われますか?
bird_tummyさん: 僕は以前勤めていた会社がサイバーエージェントだったんですが、コロナになる前からチームによっては火曜日は会議ないからリモートワークOKの日みたいなのは結構チームでやってたので、あれを見た時はいつも通りだなと思いましたね。
やっぱりミーティングルームが取れない問題はあると思うので「○○人以上の会議はZoomで」というのは良いと思いますね。
isaoekaさん: 僕も全然アリだと思いますね。アジャイル開発のスクラムを回してるとイベントをまとめる日を作っているチームも多いと思うので、 曜日ごとで「○○する日だから出社」という風に決める のはアリです。
ーチームで連携を取りながら決めていくのが良さそうですね。たとえば「今日は会議が多いから出社の日にしよう」とか。
afterコロナの働き方
ー最後に「今後、日本の働き方がどのように変わるか」についても、お二人のご意見を伺いたいと思います。例えばリモートワークのおかげで、働く場所にとらわれなくなりましたよね。
bird_tummyさん: そうですね、リモートワークが当たり前になったら、東京にいる必要性も薄れそうだから、 地方に行くとかアリだな と思いますね。たとえば、大阪に住んで週一東京に来るとか出来たらいいんだろうなとは思いますね。
あと、色んな制約で地方にいざるをえなかったエンジニアが、東京にある会社にリモートワークで働けるようになるので 「遠方に住むエンジニアと闘うことになるぜ!」 というのをTwitterで見て「確かにそうだな」と思いました。
そういう人たちが東京にいる人たちと交流して、もっと強くなって、 もっとOSSなどが盛り上がったら面白そう なので、可能性を感じています。
isaoekaさん: 僕はコロナ前とそれほど大きな変化は起きないのではないかと思っています。人が集まらなくても働きやすい環境は整っていくと思うのですが、都心部で広く綺麗なオフィスで働く喜びみたいなものもあると思いますし、 対面によるコミュニケーションが効率の良いタスクもある と思います。
だから会社もエンジニアも都心部に集中する状況は変わらないのではないでしょうか。
ーお二人それぞれのご意見があっておもしろいです。いずれにしろ、リモートワークとどう向き合っていくかは今後も大きなテーマになりそうですね。
bird_tummyさん: そうですね、今は巨大な敵が来たからなんとか武装したけど、突貫で武装したので、ところどころボロが出てきている状態だと思います。今後はそれを直していくとより良い形が見えてくるんじゃないでしょうか。
リモートワークについて様々な意見がありますが、やはり何より大事なのは「エンジニア自身が、自分で働きたい場所を自由に選べること」です。転職ドラフトではこれまで通り、エンジニアと企業のマッチングを図ることはもちろん、リモートワークという新しい働き方を選ぶエンジニアを応援すべく、キャンペーンを行っています。これを機に、エンジニアが活躍する場の選択肢を増やせれば幸いです。
「#リモート転職ドラフト」キャンペーン。