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2017/10/25

管理するのは「名刺」ではなく「人脈」。Sansan成長の軌跡とこれから。

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「早く言ってよ〜」のCMでもおなじみの法人向け名刺管理サービス『Sansan』。今や名刺管理と言えば『Sansan』と言われるほど高い認知度を誇るが、Sansan事業部プロダクト開発部部長の藤倉成太氏が入社した2009年時、導入社数はわずか20~30社程度だったという。そこから足かけ8年で『Sansan』は導入社数6000社、業界シェアNo.1サービス(※)へと成長した。躍進の立役者のひとりである藤倉氏が振り返る『Sansan』の歴史とは。そこからにじみ出るSansan株式会社のカルチャーに迫ってみたい。
※2016年株式会社シード・プランニング調べ

Sansan株式会社
Sansan事業部プロダクト開発部部長 兼 プロダクトマネージャー
藤倉 成太
中央大学理工学部精密機械工学課卒業後に株式会社オージス総研入社。2003年から OGIS International, Inc. にてシリコンバレーの現地ベンチャーとの共同研究・開発に従事。2009年、Sansan株式会社に入社。現職に至る。

管理するのは、名刺ではなく「人脈」

―藤倉さんが入社されたのは『Sansan(当時の名称はリンクナレッジ)』がローンチされて約1年後のこと。当時の『Sansan』はどんなビジョンを構想されていたのでしょうか。

藤倉: 今も昔も、僕たちが実現したい世界は何も変わっていません。便宜上、『Sansan』のことを名刺管理サービスと紹介していますが、僕たちが管理したいのは名刺ではないんです。

目指しているのは、人と人とのつながり、いわゆる「人脈」と呼ばれるものを、企業の資産として管理し、活用できる世界をつくること。そのツールとして『Sansan』を世界に広め、世の中にインパクトを与えていきたいと考えていました。

―その中で藤倉さんに与えられたミッションは?

藤倉: 当時の『Sansan』は「名刺を取り込んで、データ化して、検索する」機能しかなかったんです。けれど本来ユーザーが欲しいのは、いったい社内の誰が、いつ、どんな経緯で会ったのか、そこでどんな会話をしたのか。

仮に名刺の人物をA氏として、そのA氏のキャリアから得意分野までを時系列で把握できれば、ビジネスチャンスはいくらでも広がります。そうしたサービスコンセプトの刷新にあたって、僕は開発の責任者として採用されました。

―そのミッションに対して、どんなアプローチをされたんですか?

藤倉: 当時、データベースにOracleを使用していたのですが、これからグローバルに打って出ようとしている会社が、サーバが増えれば増えるほどライセンスフィーのかかるOracleを何台もスケールさせるというのは、さすがに想像ができない。そこでまずはオープンソースに移行することを提案しました。そうするとRDBMSも変えなければならないし、先程説明したサービスコンセプトを実現するにはデータベースのスキーマも変えなければならない。それに伴い、当然SQLも全部書き換えになります。

しかし、当時のプロジェクトは今後のサービスの拡張性のための基盤刷新だったため、UI/UXそのものを大きく変える気はなかったんです。つまり、UI/UXはほとんど変えずに、スキーマは今後のあるべき姿にのっとったものにしなければいけなかった。エンジニアにとってはなかなか制約のあるプロジェクトでした。

いざデータを移行するにあたっても、すでにプロダクト自体は多くのユーザーに利用いただいているわけですから、そう長期間、止めるわけにはいかない。データ移行の期間は、2日のみ。当時はまだそれほど膨大なデータ量というわけではありませんでしたが、それでも2日間という限られた時間の中で、スキーマを変換して再計算し直してデータを送るという作業を、わずか5~6人の少ないリソースで実行するということは、なかなか難題でした。

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―まだ基盤の整っていないアーリーステージの会社であったことを思うと、相当大変だったと思います。その後、『Sansan』は順調に市場に受け入れられていきますが、その中でターニングポイントになった出来事はありますか?

藤倉: 自分が関わったからという側面も強いですが、やはりクラウド入力化の仕組みをつくれたことは大きかったですね。『Sansan』では、名刺の情報をデータ化する際、スキャンされた画像をオペレーターが読み取り人力で入力するという手法を採用しています。僕が入社した頃、オペレーターの数は数名程度。それがどんどんオペレーターの人数も増え、一時は最大数百名規模に。さすがに何か対策をとらなければということで浮上したのが、クラウド入力化でした。

企画からリリースまでの期間は1年。開発に関わるメンバーは、僕と、上司である当時の開発部長の2人のみ。当社は決して大企業というわけではありませんから、立派な設備や環境が用意されているわけでもない。経営層からは、社内にあるOracleで何とかしてくれ、と。僕なんてOracleはほとんどさわったことがありませんでしたので、それはもう最初は苦戦しました(笑)。

―ベンチャーならではのあるあるですね(笑)。

藤倉: まさしくその通りです(笑)。オペレーターが名刺を入力する際も、個人情報が特定されないように画像を分割して、複数のオペレーターに分配するわけです。その分、ひとりあたりのオペレーターが入力する情報量はとても少ない。ブラインドタッチができる方なら、ものの1秒か2秒でEnterに至る。つまり、何千もの人が毎秒Enterを押してくるんです。

そうなってくると、データベースのリードライト、特に書き込みの頻度が相当高くなるわけで。それを非力なサーバと、決して個人的に得意とは言いがたいOracleを使って実現するのはなかなか骨の折れる作業でした(笑)

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どれだけ現地の商習慣やユーザー特性に寄り添えるかが、ローカリゼーションの鍵を握る

―『Sansan』の今後の展望は?

藤倉: やはりグローバル展開が大きなテーマになってくると思います。ただ最近、グローバル展開を進めていく中で感じているのは、表示言語や時間帯、ロケールに対応するだけでは決して十分ではないということです。もちろん複数言語に対応するのは、それだけで大変です。UI上の言語の違和感なんて、ネイティブレベルでないとわからない。そうしたチェック体制をつくっていくだけでも困難ですし、まだまだとてもそのレベルに及んではいません。

ただ、本当の意味でのローカリゼーションというのは、もっとその先にあると思っています。現地の商習慣やユーザーの特性などを考慮した上で無理なく使っていただける状態にして、初めてローカリゼーションは完成するんだな、と。あくまでソースコードは1本。その上で、どこの地域でも無理なく使えるソフトウェアとは果たしてどういったものなのだろうということは、これから僕たちが真摯に向き合っていかなければならないテーマだと認識しています。

―真のローカリゼーションを実現するために必要なことは何だと思いますか?

藤倉: まだまだ僕たちもそれを探っているところなので、明確な答えは言えませんが、とにかく現地のユーザーからの声をインプットすることが不可欠です。そこに何かしらヒントは隠されていると思います。その手がかりをひとつひとつ丁寧に拾い集めていくことで、何か見つけていければと考えています。

―実際に現地のユーザーからの声を聞いて印象的だったことは?

藤倉: 僕たちはシンガポールにオフィスを持っているんですが、シンガポールと言えば、国民の7割以上が中華系。しかし、普段は英語を使っていらっしゃいますし、ミドルネームをお持ちの方が多いんです。なので、名刺も当然アルファベット表記なんですが、その場合、名が先に来て姓が後に続くのが一般的な日本人の感覚ですよね。けれど、シンガポールの方って、姓、ミドルネーム、名の順番で書くことがあるそうです。そんな些細なことから国によってバラバラ。文化圏によって物事の認識の違いは千差万別なので、ユーザーの声に耳を傾けることは大事だなと身をもって経験しているところです。

―そもそも国によって名刺の位置づけも違いますよね。

藤倉: 違いますね。アジア圏は感覚的に近いですけど、北米だとまったく別物です。たとえば日本語圏内で『Sansan』を紹介するときって、「クラウド名刺管理サービス」と言えば一発で通じるんですね。けれど、アメリカだと「ビジネスカードマネジメント」と言ってもまったくピンと来ない。

もちろんアメリカでも名刺は絶対持っているし、商談の場で交換もされます。しかし、それはあくまで名刺が常に携帯していて都合がいいから渡しているだけで、メールアドレスと名前をインプットしたら、紙そのものは捨ててもいいゴミなわけです。これは日本人の感覚だと、ちょっと抵抗がありますよね。でも、彼らにとってはそれが当たり前。なので、名刺をマネジメントしませんかと言われても、なぜゴミをマネジメントしなきゃいけないのかわからないんです。

ですから、アメリカのユーザーには、『Sansan』の本来の目的である人脈を管理すること、すなわち「コンタクトマネジメント」と紹介した方が齟齬なく本質が伝わる。国によって適切に翻訳しなければ、サービスの概念も理解されにくいんだということは、ひとつの発見でした。

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ビジョンの実現を目指す行動には、惜しみない賞賛を

―では、Sansanの社内カルチャーについても教えてください。

藤倉: 自分たちは会社のミッションを達成するために集まっているんだというのが、Sansanのエンジニアの共通ポリシー。僕自身、『Sansan』という壮大なプロジェクトに参加しているという気持ちで生きているし、Sansanで働くということは、このミッションを達成できれば僕の勝ち、できなければ負けという、わかりやすいゲームのようなものだと考えているんです。ですから、単に技術に興味があるだけの方は、当社にいらっしゃらない方が幸せかもしれません。

Sansanにとって、エンジニアとはソフトウェアエンジニアリング、コーディングを武器にミッションを達成するための専門職種のひとつ。ですから、事業に貢献できない人や、技術だけを磨き続けたい人は、Sansanで働く意味はないと思っています。面接でも事業に対するコミットメントは注意深く確認しますし、それがある方しか、少なくとも僕が面接を担当する場合は、通していないつもりです。

―Sansanもエンジニアが100名規模にまで拡大しました。人数が増えれば増えるほど、そうしたカルチャーを全員で維持・継承していくことは困難に思えますが、どんな取り組みを行っていますか?

藤倉: 人数が多くなり多様性が出てくる中で、定期的にバリューの見直しといったことは全社をあげて行っていますが、僕にできる一番の対策で言えば、たとえどんなに難しくても、事業に対する目線を持ったエンジニアを頑なに採用し続けること。それに尽きます。そもそも入口でしっかり厳選できていれば、カルチャーが弱まることはない。だから絶対にハードルは下げないと決めています。

あとは、僕たちが大切にしているミッションやビジョンを実現するための行動をとった方については惜しみなく賞賛するべきだし、もしそれにそぐわない行動があれば、たとえエンジニアとしてその気持ちがわかったとしても断固として注意しなければいけない。そうしたマネージャー陣の軸を常に揃えておくことも大事なことだと思います。

―エンジニアの育成についてはどうお考えですか。

藤倉: 書籍購入費用の支援や、マウスやキーボードが選べるといった、いわゆる一般的な環境整備はひと通り揃えているつもりです。ただし、研修については積極的に行っていません。これは僕の持論ですが、あんまり座学の研修には意味がないなと思っていて。だったら、初日から現場に出て、1行でもいいからコードを直して、プルリクを出した方が圧倒的に意味がある。最初はその1件のプルリクに100のコメントがつくかもしれません。でも、それは共に働く仲間として互いを尊重した上での愛ある摩擦。

はじめのうちはプルリクを閉じるのに1週間かかるかもしれない。けれど、ひと通り修正からリリースまで自分でやれば、確実に力がつく。そうすると、次の修正は3日で完了できるようになるかもしれないし、1行の変更だったものが今度はもっと複雑なものになるかもしれない。そういう小さなことをひとつひとつ積み上げていくことが、エンジニアを成長させるのだと信じているし、そうやってとことん相手と向き合って育てていくチームがあることが、Sansanの魅力だと思います。

文:横川良明

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