早稲田大学在学中である2006年に起業、2011年には25歳1か月の史上最年少で東証マザーズ上場を果たしたリブセンス代表取締役社長・村上太一。そんな村上の最近の悩みは、ボディバランスキープのためのトレーニングや食事制限に反して、なかなか減らない体重にあるという。
そこで今回は、同社サービス「転職ドラフト」の参加企業であり、排便日誌アプリ『ウンログ』や腸内フローラ検査などのヘルスケアサービスを提供するウンログ株式会社に協力を依頼し、村上の排泄物(つまり、ウンチ)から腸内フローラを調査。検査結果を元に、ウンログ代表の田口敬氏から生活習慣改善のアドバイスをもらった。果たして、最年少上場を果たした起業家のウンチはどうだったのか?
村上太一の昼食は、毎日同じお店、同じ席で「麺抜き野菜タンメン」
村上: 今日はありがとうございます。解析結果はいかがでしたか?
田口: はい、ばっちり分かりました。フィードバックの前にいくつか生活習慣について質問をしてもいいですか。
村上: もちろんです。
田口: 腸内フローラ検査の結果を見ると、肉が多くて野菜が少ない。コメもほとんど食べていないようなのですが、普段どんな食生活をされているんですか?
村上: 朝は基本的に食べません。お昼は、毎日オフィス近くの老舗中華料理店「香港園」で、オーダーメイドの野菜スープを食べています。私がお店に頼んで作ってもらった特製の「麺抜きの野菜タンメン」です。夜は会食などもありますので、まちまちです。
(↑が村上社長が毎昼食べている香港園の「麺抜き野菜タンメン」。麺が一本も無い。)
田口: 毎日同じものを…ですか?
村上: はい、毎日必ず同じものを食べています。もっと言うと毎日、同じ店で、同じ食べ物を、同じ席で、同じ時間に食べています(爽やかな笑顔(笑))
田口: イチローみたいですね(笑)
村上: コメを食べると太ってしまうので、基本的に抜くようにしているんです。たまにお寿司に行った時にも、シャリ少なめでオーダーしています。気になるのは、日頃、食事は全て外食になってしまっている点です。
田口: 炭水化物抜きダイエットを徹底されているんですね(笑)
最年少上場社長の朝は、週2回の「朝マッチョ」
田口: それにしても、そもそもなぜそんなに痩せたいんですか?
村上: 遺伝的に太りやすいと思っているからです。自分と同じくらいの身長の父親が100キロオーバーなんです。
田口: そうなんですね。運動習慣はどうですか?
村上: 良い質問ですね。運動、かなりしていますよ。「朝マッチョ」と呼んでいます。
田口: あ、朝マッチョ…??
村上: 自宅にマシンがあって、週に2回、出社前に水曜は早朝6:30、土曜は8:30にマッチョなトレーナーを呼んで指導してもらっているんです。
田口: な、なるほど(笑)マッチョになりたいんですか?
村上: いえいえ、そうではなくて、ただ健康でありたいだけです。それと、苦しい筋トレを繰り返すことで、経営にも通じる苦しい境遇を乗り越える意志力を身に付けたくて実践しています。
田口: 脂肪を燃やしたいのであればランニングなどの有酸素運動が有効だと思うんですが、なぜ筋トレなんですか?
村上: ランニングは時間がかかりますよね。マッチョに自宅まで来てもらっているのも、ジムへの往復の時間が惜しいからなんです。それと、私は今ケトン体ダイエットに取り組んでいるんです。
田口: ケトン体ですか。まるでアスリートですね(笑)。
村上: そこまでではないです!カロリーを多めに摂取し、プロテインと筋トレで体重を増やす時期と、ケトン体モードに入って脂肪をエネルギーに変え、一気に落とす時期とを交互に繰り返しています。炭水化物を抜いているのもその一環です。最近緩んでいるのは、ちょうどケトン体モードに入るタイミングなのに、忘年会が多くて計画が狂ってしまったからです。今月は特にお寿司ラッシュで…。これって間違っていますか?
コメを食べない偏った食生活が、村上太一の「痩せ菌」を殺している?!
田口: 言いにくいのですが…。腸内フローラ検査と生活習慣アンケート結果を総合すると、食生活がかなり偏っていて、村上さんの腸内フローラは苦しんでいるように思います。
村上: え、そうなんですか?…詳しく教えてください。
田口: 簡単に言うと、肉が多くて野菜が少ない。コメもほとんど食べていない。おそらく炭水化物を気にして抑えているんだと思うんですが、炭水化物の中には腸内細菌のエサの食物繊維も含まれているんです。主食のコメを抜くと食物繊維が不足してしまうんですよ。
村上: えーっ!食物繊維は野菜からも摂れますよね? さきほど野菜が足りないとおっしゃっていましたが、毎日のオーダーメイドの野菜スープで摂るように気をつけています。白菜、人参、百合根、豆腐、卵と色々入ってますから、食物繊維も十分摂れているはずです(写真)。
田口: なるほど。ただですね、野菜に含まれる食物繊維は不溶性のものが多いんですよ。不溶性の食物繊維はウンチのかさを増すだけですから、ネバネバ系の海藻類や寒天、大麦といった水溶性のものも意識して摂る必要があります。
村上: うーん。あの野菜スープに寒天は合うかなあ……。
田口: 炭水化物といっても糖質を抜きたいだけですよね?なので精米した白米ではなくて、食物繊維の豊富な五穀米や玄米がをオススメです。コメ食は腸内細菌が喜んで、腸が元気になる、菌トレです。
村上: なるほどー!分かりました。他にも目立った傾向は出ていますか?
田口: お酒はいかがですか?
村上: お酒は結構飲んでいるかもしれません(汗)。検査前日も飲んでいました。ビールは全く飲みませんが、ワインや焼酎はわりと飲みますね。
田口: お酒を飲みすぎると腸内細菌のいい菌が減って悪い菌が増えるといわれています。赤ワインに含まれるポリフェノールは、腸内細菌にいいらしいですが、飲みすぎると良くないと思います。それから、肉や油ものは、食べると消化するために胆汁酸が出るのですが、胆汁酸は殺菌作用があるため、いい菌を殺してしまいます。ですので、村上さんの食生活は腸内細菌にとって過酷すぎます。
村上: 外食などでどうしても肉が多くなってしまうんですよねぇ……。食べる前に青汁を飲んでいるんですけど、それではダメですか?
田口: それはいいと思います。やめていたら、もっとひどいことになっていたでしょうね(笑)。
村上さんの食生活はアメリカ人タイプで、日本人の腸内環境に合っていない
田口: 解析結果を見ると、村上さんの腸内フローラは「プレボテラ属」や「ルミノコッカス属」が全体の6割を占めています。
村上: プレボテラ!それは何ですか?
田口: 昔から穀物をたくさん食べてきた、日本人に典型的なタイプです。なので、腸内フローラ的には、本来全く太らないはずなんですよね。
村上: それなのにコメで太ると言われるのはなぜなのでしょうか?
田口: ポイントは、食生活が腸内フローラに合っているかどうかだと思います。村上さんのような日本人によくあるタイプは、食物繊維が摂れるコメを食べることで腸が喜びます。にもかかわらず、村上さんの食事にはコメがほとんどなく、逆に肉が多い。つまり、アメリカ人のような食事で、腸内フローラのタイプに合っていないことが問題なんです。
村上: ということは、日本人とアメリカ人とでは、何を食べるべきかの答えが違うってことですか?
田口: その通りです。実は、カロリー摂取量の定義にしても、腸内フローラによって変わるんですよ。例えば海藻は一般的にゼロカロリーだと思われていますが、日本人だけはそれを消化して、エネルギーに変える菌を持っているんです。
村上: それは初耳ですね。
田口: それから、パンダとクマって同じクマ科ですけど、パンダは竹ばっかり、クマはは肉ばっかり食べてますよね。これも、腸内フローラが違うから食べるものが違うんです。つまり、腸内フローラによって、何を食べるべきかの最適解は変わってくる。日本人とアメリカ人に、一様にこれを食べたらいいとは言えないんです。
村上: それでは、具体的にはどう改善すれば良いですか? 普通にコメを食べると、やはり太る気がしてしまいます。かと言って、外食では玄米を継続的に食べることは難しいですし…。
田口: 例えばコメに雑穀や大麦といった食物繊維豊富なものを混ぜるとか、特に大麦は痩せ菌が増えるのでオススメです。
村上: 大麦ですか。12月12日に放送されたWBSでも、「スーパー大麦」が取り上げられていましたね!
田口: よくご存知ですね。スーパー大麦、めちゃくちゃいいと思います。スーパー大麦を食べて、少し肉を減らせば、腸内フローラは劇的に改善するように思います。
村上: それならできそうです。あとは野菜スープの改良ですね。何の食材を足したら良いか指導してもらえませんか?
田口: たとえば水溶性食物繊維が豊富なサプリがあります。飲み物に入れたりコメを炊く時に入れたりするだけで、野菜をたくさん摂るのと同じだけの水溶性食物繊維が摂れます。味はほとんど変わらないので、これを足すというのはどうでしょう?
村上: いいですね!ではスーパー大麦と水溶性食物繊維サプリで、腸内フローラに合った食生活に改善するところから始めてみます。
田口: ちなみに、スーパー大麦は人気すぎで、買えないみたいです…
村上: 本当ですか。人脈を駆使して何としても手に入れるか…
田口: 人脈すごそうですね(笑)
上場企業の社長のウンチに傾向はある?
村上: 田口さんは、他にも有名な方のウンチを調べていらっしゃるそうですね。
田口: はい。色々な社長さんに調べてさせてもらっていて。
村上: 何か共通する傾向は見つかりましたか?色や形とか。。
田口: いやいや、色・形などはみんなそんなに変わらないと思います。、先日、堀江貴文さん(ホリエモンさん)にも同じ腸内フローラ検査をやってもらったんですけど、堀江さんは大酒飲みなんで、いい菌が全然いませんでした(笑)。逆に未知の菌がほとんどで……。
村上: そういえば私も未知の菌が多かったんですよね。なかなか菌の解明が進まないのには、どんな理由があるんですか?
田口: 嫌気性菌が多く、空気に触れると死んでしまうので、これまで研究が進まなかったようです。今は、遺伝子解析の技術が進み、死んでいる菌でも調べることができるようになりました。小型カプセルロボットで腸の中で菌を取るとか、空気のない、宇宙空間で培養するとか、できるようになるんじゃないでしょうか。
村上: いい菌が見つかれば、その菌を身体に注入するだけで元気になるということもあり得るんですね。それだけ未知の領域が残っているということは、研究のやりがいがあるでしょうね!
田口: そうですね。菌についてはまだほとんど未解明のようなので、腸内は「内なる宇宙」とも言われているんですよ。
村上: 色々と可能性がありますね。そういえば、若い頃の菌を保存するプロジェクトもあると聞いたことがあります。
田口: 良くご存知ですね!免疫機能の8割は腸内になるといわれていますが、その免疫力は20代がピークで、年をとるほどに低下しますし、病気で抗生剤を飲んだりすれば、いい菌は死んでしまう。なので、若い元気な時の菌を保存する人が増えているんです。それにしても、村上さんは本当によくウンチについて詳しいですね(笑)。
村上: ええ。ウンチにはもともと興味があったんです(笑)。面白いですもん。ウンログさんをはじめ、いろんなベンチャーがその領域に進出するのもよく分かりますよ。
田口: 村上さんも一緒にウンチベンチャーで革命を起こしましょう(笑)
無理は禁物。痩せるのは、食も運動も『カラダが喜ぶやり方』
田口: あとは運動習慣ですが、カラダが喜ぶかどうかという視点で見ると、そういう極端なやり方はあまり感心しないですね。
村上: え、ダメですか?朝マッチョ。
田口: 聞いていると、村上さんは色々と研究されていて知識をお持ちなんですが、理想と現実の間にギャップがあるようです。腸内細菌が喜ぶ食べ物を食べるという話とも共通するんですが、もう少し自分の体に合ったやり方を選ぶことが大事だと思います。
村上: 運動はどのようにすれば良いですか?
田口: 自分もやっているんですが、トレイルランやトライアスロンをお勧めしたいですね。過度な筋トレはつかなくてもいい筋肉がついてしまうけれど、トレランやトライアスロンなら、必要な筋肉が効率よくつきますから。
村上: それはしんどそうですね…。
田口: しんどいことを乗り越えることで意志力をつけたいって、たった今言ってたじゃないですか(笑)。まずは大会にエントリーすると、やらざるを得なくなるので、いいと思います(笑)。誰かが勝手にエントリーしてくれるよう仕組み化してしまうのはいかがでしょうか。
村上: 仕組み化と言われると、お返しする言葉がないです(笑) …検討します。
田口: 腸内細菌の喜ぶ生活改善をされたら、ぜひまた腸内フローラ検査をさせてください。ビフォーアフターで比較します(笑)。
村上: はい、今日はありがとうございました!勉強になりました。
次回転職ドラフトにウンログが参加します。興味ある方はエントリーをどうぞ!