総勢20名規模のモバイルアプリ開発チームにおけるピープルマネジメントおよび組織開発を統括していました。構成は正社員4名(シニア1名、ミドル2名、ジュニア1名)と業務委託16名です。この組織において、現場の課題から逆算した採用要項の策定や正社員採用に向けた面接、入社後の目標設定、週次1on1、評価・フィードバック、育成にいたるまで一連のマネジメント全般を担っていました。
課されていた最大の責務は、「指示待ちではなく、自ら課題を発見して解決へ動く『自己組織化されたモバイル組織』の構築」であり、以下の2つの状態を作る責任を負っていた。
•【正社員採用において】
人事任せにせず、現場の課題から逆算した明確なターゲット像を定義し、技術スキルのみならず、チームのカルチャーにマッチし主体的に動ける「次世代のリーダー候補」となる正社員を厳選して獲得できる状態を目指すこと。
•【メンバーの育成・評価において】
メンバーが会社の評価基準(グレード)をクリアに理解し、自身の成長に納得感を持ってコミットできる状態を作ること。スキルレベルの高い業務委託が多数参画する環境下でも、既存の正社員メンバーの能力を底上げし、組織を牽引できるミドルクラス以上の人材へと確実に成長・昇格させる責任がありました。
【工夫した点・取り組み】
•採用要項の自作と、面接における「人物像」のブラッシュアップ:
自ら現場の課題を分析し、「技術力」だけでなく「周囲を巻き込んで課題を解決する力」を盛り込んだ具体的な採用要項を作成しました。面接ではこの要項をベースに深掘りを行い、採用には至らなかったものの、チームに必要な要素の解像度を上げ続けました。
•役割の意識的なアサインと、密な評価・1on1の継続:
単にコードを書くだけでなく、要件定義や他業種との協働プロセスの設計など、1つ上のグレードで求められる役割(プロジェクト推進の動き)を意図的にアサインしました。本人の現在地と会社の評価基準(グレード要件)を常に照らし合わせ、週次の1on1で日々の成果に対するフィードバックと軌道修正を地道に、かつ粘り強く積み重ねました。
【結果】
•正社員採用: 採用という結果には結びつかなかったものの、採用要項の言語化や面接を通じた母集団形成・選考プロセスの知見を組織に蓄積することができました。
•メンバーの成長: 日々の密な1on1と適切な役割アサインを継続した結果、当時ジュニアだった2名の正社員が着実に力をつけ、結果として1年間という短期間で、プロジェクトを能動的に推進できる「ミドルクラス」への成長・グレード昇格(評価)を果たすことができました。
自社モバイルアプリの技術基盤および機能アーキテクチャの刷新プロジェクトを統括していました。具体的には、Flutter移行、開発体制の再構築のマネジメントです。
同PJは最終的にMobile20名、Backend10名、PdM3名の計33名規模であり、他領域の運営は専門リーダーへ権限委譲しつつ領域間の調整を担当。自チームでは正社員4名の育成・評価と、業務委託16名の採用・管理を担いました。
品質・拡張性・事業戦略の観点から、プロダクトと組織の双方を以下の状態に導く責務を負っていました。
【プロダクト状態】
1 変更コストを下げ、修正容易性を高めた疎結合なマルチモジュールアーキテクチャへの転換。
2 営業ニーズに応じ、特定の機能単位での切り出し・販売が可能となるプロダクト構造の確立。
3 iOS/Android両OSへ迅速に価値提供できる共通技術基盤の整備。
【組織状態】
増員した業務委託の技術力を最大化し、マネージャーの細かな指示がなくとも現場が自走する「自己組織化された開発体制」の構築。また、PdMやBackendチームと円滑に連携・コンテキスト共有ができ、組織全体のボトルネックを作らずにプロジェクトを推進できる状態。
【直面した問題や障害】
大きく分けて2つの障害に直面しました。
1 技術選定と投資対効果の証明: Flutter、React Native、側ネイティブ等の複数手法の比較において、どれがプロダクト特性(ユーザー環境、要求性能、長期的な保守性)とチームの技術成熟度に最も適しているかを整理し、経営陣の承認を得る必要があったこと。
2 急激な組織拡大における開発効率と品質の維持: 計画を完遂するため、一時的に業務委託を16名増員してMobileチームを20名規模に拡大した結果、設計思想の統一や現場の自走力(自己組織化)の維持が難しくなったこと。特にリプレイスプロジェクトという性質上、仕様のキャッチアップや「正となる情報」の分散により、オンボーディングや実装時の手戻りコストが膨大になるリスクがありました。
【工夫した点・取り組み】
課題と対策の構造化による合意形成と領域間調整:
各技術のメリット・デメリットをプロダクト特性に照らし合わせて整理し、Flutterの採用を軸としたリプレイス計画を策定。必要な人員規模、スケジュール、想定リスクを明確にした上で、現在の課題と具体的な対策をシンプルに整理して事業部長や執行役員レイヤーへ提示し、体制構築に関する承認を迅速に得ました。また、全体の円滑な進行のため、BackendやPdMの運営は各専門領域のリーダーへ信頼して任せつつ、自身は領域間の仕様調整や合意形成といったインターフェース役に徹することで、開発のブロッキングを徹底して排除しました。
オンボーディングの仕組み化と「AI駆動開発」によるキャッチアップの極小化:
16名の業務委託メンバーが参画した初日から迷わず自走できるよう、オンボーディングプロセスを徹底して仕組み化しました。「正となる情報がどこにあるか」「困った時に誰に聞けばいいか」の導線をクリアに定義・ドキュメント化。さらに、チーム内に最低限のAI駆動開発の環境を早期に整備したことで、メンバーの実装時におけるコード解釈や仕様のキャッチアップコストをほぼゼロに抑えることに成功。通常のリプレイスで発生しがちな「仕様理解のための停滞時間」を完全に無くし、即戦力としてパフォーマンスを発揮できる環境を整えました。