一時的な効果を追い求めるのではなく、自律的に改善を進められる組織を育てたい。
私は個人事業主として活動する中で、多くの企業/チームからテストや品質の改善コンサルティングを実施してきました。
しかし、多くの組織は目の前の問題や課題、解決方法に執着してしまっており、中長期的な目線が抜け落ちています。
確かにスタートアップなどではスピードが重要な瞬間はあると思います。
しかし、そうして目の前のことを優先するばかりでは、教育・学習・改善といった組織能力における負債が蓄積するばかりです。
自動テストやDevOpsといった手段に着目し、一時的な効果を追い求めるのではなく
組織が自律的にプロセス改善できるように、組織文化を改革し、プロセス品質を高める習慣をつけることが重要だと考えます。
そうすれば「うさぎとカメ」のように、1歩1歩あゆみが積み重なり、本当の意味で組織力が向上することで、社会的にもビジネス的にも高い価値と成果が発揮できる組織が作れると信じています。
私のこうした想いに同調いただける皆様と、共に力をあわせて本当に強い組織をつくることで
真の意味で品質の高いサービスを提供していきたいと考えています。
このプロジェクト詳細は公開されていません
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某製造業様では、新しい挑戦的な事業開発のため、scrumによる内製開発をスタートさせていました。しかし、アジャイル開発でどのように品質をマネジメントすればよいかわからず、また製造業ということもあり、改善を考えようにもどうしてもハードウェアの品質文化を持ち込んでしまうことから、外部人材である私に品質・テストに関するコンサルティングを依頼されました。
開発対象のサービスは複数のスクラムチームによって開発される大規模なものでした。また、ソフトウェアのトラブルが、依頼元企業様のブランドをおおきく毀損してしまう可能性があるようなサービスであり、要求品質の高い甲難易度の開発でした。
そこで、私は現状の開発の状況や、要求品質、サービスリリースまでのスケジュールなどを確認した上で、以下のような取り組みをおこないました。
①アジャイルテストの4象限を用いて、スクラムチームによるテストのスコープを明確にしました。
②スクラムチームによるリリースをβリリース、その後第三者テストによるβテストを経て正式リリースとなるよう、リリースの計画を立てました。
③上記前提と、要求品質を満たせるようスクラムチームと第三者テストのスコープを明確にしました。
④スクラムチームがアジリティを失うことなくテストを遂行できるように、テスト方針を立案しました。
⑤第三者テストが遂行できるようにテスト環境などの整備を行いました。
⑥スクラムチームや第三者テストチームが質の高い開発が行えているか確認できるよう、DevOpsのFour Keysをはじめとしたチーム成績のメトリクスを選定し、各チームのパフォーマンスを見える化しました。
⑦各チームがパフォーマンスを改善できるよう、プロセス改善の仕組みを設けました。
私の参画前は、漫然とテストして、あまり意味のないメトリクス(バグ密度など)で評価し、勘と経験でリリースを判定していましたが、参画後は以下のような改善が見られました。
①βリリース期間が生まれることにより、プロダクトオーナーが自身の判断でリリースを承認できるようになりました。
②スクラムチームは自身のやるべきテストを理解し、Doneの定義に組み込むことで漫然としたテストではなく、主体的に目的にむかってテストできるようになりました。
③βリリース期間で第三者テストが行われることで、スクラムチームのテストのスコープが限定的になり、アジリティが確保されました。
④βリリース期間で第三者テストが行われることで、正式リリース後のトラブルが抑止されるようになりました。
⑤各チームは自身のパフォーマンスがメトリクスで可視化されることで、自発的かつ建設的にプロセス改善が行えるようになりました。
チームが自主的かつ主体的にプロダクトやプロセスの改善を進めることのできる組織文化を醸成すること
チームが破綻してしまわぬよう一定の成果を主張すること、予算やスケジュールなどの約束を果たすこと
上記を満たしつつ様々なステークホルダーとの合意を得ること
ルールや規則によって行動を制限し、マネジメントするのは短期的には効果的であっても、中長期的には悪影響であると考える。行動を制限することで、メンバの自主性を失わせ、心理的安全性が悪化する。心理的安全性の低い職場では建設的な意見交換ができなくなるため、プロダクトやプロセスの改善が素直に進められなくなり、誰かの顔色を伺ったような仕事になってしまう。結果的にチームメンバのモチベーションがさがり、生産性も悪化し、ビジネス上の成果も得られない。
なので、私は極力、ルールや規則による行動制限をつかわず、組織文化を変えることで行動変容を産むことに注力し、その結果のメトリクスの1つとして各種マネジメント要素を確認していきました。短期的には結果が出ないこともあるとおもいますが、そうした場合はマネジメントの立場にある私が責任をとってステークホルダーに説明を行い、理解が得られるよう努力し、メンバが自主的な改善を行ってくれるのを待ちます。組織文化の変革のためには、いわゆる7Sとよばれる評価制度や組織構造などの要素の改善を行いつつ、パーパスの浸透を注力します。また、目指す組織文化やパーパスに合致しないひとは能力がたかくてもそもそも採用しません。そうして組織文化を変えていくことで中長期的に活躍できるチームを作ることが重要だと考えます。
組織変革のための具体的手法
心理的安全性の高い組織