ID:13253さん

キャリア向けにDDoS対策システムを開発しました。DDoS対策を行うハードウェアは海外製品でしたが、ユーザの使用するUI及びハードウェア操作を行う必要があり、客先の要件をまとめながらシステム構築を行いました。使用した海外製品のハードウェアにはAPIが用意されていましたが説明書等が存在せず、海外メーカに質問したり、メーカーの許可を得て内部の改造を行ったりなどして、客先要件に合うように実装を行いました。 役割としては要件定義、システムの全体設計、ハードから取り出した情報をWebで使用できるようなフォーマットに変換するバックエンド側の設計およびデータベース設計、API設計およびバックエンド側の実装です。またパフォーマンスがシビアだったため、パフォーマンステストと最適化も行いました。その他、自動ビルド環境、自動テスト環境を構築し、チームに単体テストを必ず書くように教育しました。プロジェクト規模は約300人月でした。 キャリア向け特有の要求や厳しいセキュリティ要件、海外メーカーとの連携など課題が多く、またDDoS対策の経験もありませんでしたが無事にサービスインし、現在も使用していただいています。

モバイル基地局とモバイル端末間のTLSセッション確立をテストするシステムに機能を追加するプロジェクトに参加しました。このシステムは海外メーカのプロダクトでしたが、キャリアが要求するテストケースに対応するために、日本から開発拠点のある中国に出張し、現地のエンジニアと議論しながら新しいテストケースの設計・実装・テストを行いました。 キャリアの要求するテストケースを実現するためにTLSの仕様およびgnuTLSの改変をする必要があるかもしれないとのことで、gnuTLSのソースコードのセッション確立の部分を学習しました。結果的にはgnuTLSに改変を行う必要はありませんでしたが、メーカーの使用していたTLSライブラリをgnuTLSライブラリに置き換え、客先要件を満足できるようなテストケースを追加することに成功しました。海外メーカーと直接議論する経験がなかったのでコミュニケーションがうまくいかないこともありましたが、最終的には期限通りにリリースできました。

ネットワーク機器の置き換えをしたときに何らかの原因で通信ができなくなる問題を未然に解決するためのシミュレーションシステムの研究開発を行いました。 対象はTCPのみで、予めネットワークを流れるパケットを保存し、それを置き換え対象のネットワーク機器に再ストリームを行い、戻ってきたパケットと実際のパケットを比較するというものです。置き換え対象のネットワーク機器の背後にあるべきサーバー等は正しく動いているものとしてシミュレーションし、置き換え対象のネットワーク機器の問題点を抽出します。 お客様からそのような機器があれば問題の切り分けに便利だという話があり、開発を企画しました。 パケットの保存及び再ストリームは難しい技術ではありませんが、対抗となる機器をシミュレーションするためにはTCPパケットのシーケンス番号とAck番号から応答するパケットを探し出さなければなりませんが、シーケンス番号はストリームを流すたびに変わるため、正しいパケットを探し出し、実際と同じようなストリームを再現するアルゴリズムが必要です。また実際のストリームとシミュレーションを行ったストリームの差分を比較するために、これの考案および実現可能性調査、性能調査を主に行いました。またシミュレーションシステム全体の設計も行いました。アルゴリズムはTCPの仕様を十分にりかいしていなければなりません。またパケットの送出が遅れると再送処理が自動で行われて実際のストリームとは異なってしまうので性能も非常にシビアです。結果的には10Gbps程度のトラフィックであれば問題なくシミュレーションができるアルゴリズムを開発し、実際に動くことを確認しました。 本件は製品化チームに渡してしまったので実際のお客様にはまだ使用していただいていませんが、インフラストラクチャ関係のお客様にはヒアリングを行った結果いくつか引き合いがあるそうです。

C#の静的コード解析の要件定義からテストまでを担当しました。 このプロジェクトはイギリスの静的コード解析製品を販売しているメーカーが、あらたにC#、Java等の静的コード解析ツールを作りたいということで当社が出資およびエンジニアの派遣を行ったというものです。イギリスで一年半ほど暮らしながら、現地のエンジニアと要件定義をふくめてプロジェクトの進め方、プロダクトのあるべき姿や静的コード解析の仕様決めなどを議論し、開発を行いました。C#のコード解析にはRoslynを使用しましたが、C#の仕様を一から勉強し、調査のためにコンパイラを自作しました。現地のエンジニアはレベルが高く、またプログラミング言語に精通しているひとばかりだったのと、英語に不慣れだったことからかなり苦戦しましたが、海外に暮らして製品開発に一からコミットするという体験が得られたのは良かったと思います。 C#静的コード解析自体の開発規模は約60人月、C#静的コード解析を含む静的コード解析ツールの開発規模は300人月ほどで、開発手法にはScrum+Kanbanを使用しました。 この製品はC#の静的コード解析の要求がもっとも多いヨーロッパで主に販売中です。