Kaito Yamada

Pcap4Jは、JP1/NNMiプロジェクトで作成したSNMPネットワークシミュレータからスピンオフした、パケットキャプチャ・解析のためのJavaライブラリです。 シミュレータでSNMPだけを扱うのであればソケット通信をすればいいですが、ICMPに対応する必要があったので、パケットキャプチャ機能を実装しました。 Pcap4JはGitHubで公開し、現在360以上のスターを集め、Javaのパケットキャプチャライブラリの世界的スタンダードになっています。 Pcap4JはJavaライブラリではありますが、ネイティブライブラリ(3rdパーティ製)を使うため、実行するプラットフォームに応じた開発が必要でした。 当初JP1/NNMiプロジェクトで使うために開発しており、商用UNIXを含む様々なプラットフォームに対応する必要がありましたが、ネイティブコードコンパイル環境確保などの対応コストを抑えるため、JNAを採用しました。 また、設計面では、パケット解析部分をカスタマイズしやすいように腐心しました。 社内で使う際にカスタマイズが必要になった場合に、OSSの既存コードに手を入れるのは社内手続きが非常に煩雑になるので、ライブラリの外から挙動を変えられるようなアーキテクチャにしました。 このアーキテクチャのおかげで、プロトコルの研究をする学生などにも受け入れられるライブラリになりました。 品質を効率的に確保するため、Travis CI、AppVeyor、CircleCIによるCIを実装しました。 Pcap4Jはプラットフォーム依存な部分があるので、いくつかの環境でテスト実行するために3つのサービスを使いましたが、それぞれのサービスの細かな差異を学ぶこともできました。 Pcap4Jプロジェクトには、少なくとも週に1件くらいは、GitHubのIssuesやメールなどで問い合わせや改善要望が世界各地から届きます。 これらに対応する中で、ユーザの声を直接聞くことができ、ライブラリの改善につなげられたと同時に、ソフトウェアをオープンにすることの楽しさや意義を感じることができました。 この感覚を皆と共有したく、ブログに記事を書きました。(https://www.kaitoy.xyz/2016/08/21/an-encouragement-of-open-sourcing/)