地域コミュニティアプリ「ピアッザ」のプロダクトチーム(PdM 1〜2 名、デザイナー 1 名、エンジニア 6〜12 名。iOS / Android / サーバサイド)。2024 年 8 月からテックリードとしてエンジニアリング全般を担当し、2026 年 9 月の 7 チーム体制への再編後はエンジニアリング基盤・データ基盤・DX/AX の 3 チームを管掌。
退職した CTO とデータエンジニアの業務を引き継ぎ、プロダクトのエンハンスに加えて SRE・セキュリティ・データ基盤・AI 活用を含むエンジニアリング全体を、属人化せず安定して前に進められる状態にする責務。具体的には、技術的な方向性と優先順位を決めて経営・PdM と合意すること、メンバーが自律的に設計・実装・レビューできる仕組み(開発フロー、AI ツール、監視、ドキュメント)を整えること、四半期・月次で計画と実績を全社に説明すること。
【前提と課題】
会社の状況やステークホルダーとの関係で施策の優先度やスケジュールが変わりやすく、リソースの制約からメンバーがそれぞれ別のエンハンスを担当することが多い。フルリモートのチームで、コミュニケーションの敷居を下げないと設計の意図や判断が共有されない。2024 年に CTO とデータエンジニアが退職し、SRE・データ基盤・採用を含む範囲を自分が引き継いだことで、抱え込みの構造が広がった。
【考え方】
人員確保は「作業の分散」ではなく「認知負荷とオーナーシップの分担」のために行う、と定義した。個々のタスクを割り振るのではなく、領域ごとに責任を持てる人と仕組みを作ることを優先している。また、課題を Fact / 解釈 / 仮説に分けて出典付きで整理する型を決め、チーム内でも経営向けでも同じ型で議論できるようにした。
【工夫と打ち手】
1. 開発フロー: スクラムのプラクティス(スプリントの振り返り・プランニング)を運営し、エラー監視(Rollbar)とパフォーマンス監視(New Relic)の体制を整備。技術的負債のリファクタリング方針を策定し、Ruby/Rails のアップグレードは実装主担当のメンバーに任せて自分はレビューと安全網のテスト追加で支援した。
2. AI ツールの導入と廃止: GitHub Copilot Business、CodeRabbit、Devin、Claude Code、Codex を導入し、コストと効果で判断して 2026 年は AI レビューを Copilot に一本化(CodeRabbit と Devin は廃止)。AI で実装が速くなった分レビューが詰まる問題に対し、過去 PR 2,646 件を分析して「人のレビューが必要な変更」を判定する仕組みを設計した。
3. 事故からのガードレール: AI エージェントが他メンバーの PR に誤って push した事故を受け、エージェントの実行権限と作業範囲のルールを整備。hotfix 手順や docs 更新のルール化も提案した。
4. 会議体の再設計: 朝会・定例を見直して自分の会議時間を週 7 時間から 4.75 時間に減らし、中期経営計画への時間を確保。「アプリ体験改善」定例は課題整理が終わった時点で廃止し、ファシリテーションを人に任せた方が議論が回るという学びも得た。
5. 管理構造: チーム→プロジェクト→サブプロジェクト→タスクの階層と Notion の 3 DB の使い分けを定義し、2026 年 9 月に 7 チーム体制へ再編。プロダクト目安箱(Notion DB + Slack)を新設して現場の要望を拾う経路を作った。
6. 全社への説明: 四半期の事業戦略共有会と月次の全社会議で、計画と完了を区別し出典を付けた資料で報告する型を定着させ、非エンジニアにも基盤整備の意味が伝わるようにした。
【うまくいっていないこと】
セキュリティの仕組み化(Secret Scanning、鍵ローテーション、Runbook)と AI 活用ナレッジの共有は、重要度が高いのに最も進んでいないと自己評価している。自分が会議で喋りすぎる傾向もあり、委譲とファシリテーションの分担を次の課題にしている。